作品集-70

デジカメUI: カスタムしよう

カメラと人の関係は恋愛に似ている。
思い通りにならず、丁寧に扱わないと壊れてしまう。
でも長年連れ添っていると、お互いの癖が分かってくる。
そうなると手放せなくなる。 そして、ときどき浮気をしたくなる。

カメラの設定項目が少なくシンプルだった時代には、欠点や長所を知って人間がカメラに合わせて「使いこなし」ていくことで愛着が生まれた。
現在のデジカメでは、ユーザーの使い勝手に合わせてさまざまな調整ができるようになり、「カスタム」していくことで自分のカメラになっていく。

撮影現場では被写体と対峙し歩き回り、タイミングを待っている状態では、それほど多くの設定を変更できないため、事前にある程度自分の好みの設定に「カスタム」しておくことになる。
また沢山の機能が、それを必要とするシーンごとに存在するため、被写体や写真表現によっていくつかのカスタムを使い分ける場合も多い。

育てる愉しみ

たまごっちやAIBOのように、カメラもまたカスタムをしていくことで個性的なカメラへと成長していく。
鉄道趣味に乗鉄、音鉄などいろいろな宗派があるように、カメラ趣味にも写真そのものが好きな人から、撮影旅行が好きな人、レンズ沼にはまった人まで様々であるが、私はだんぜん「カスタム好き」である。外観から使い方まで永延と手を加え続けては、写真を撮ってニヤニヤしている。

G9ではどなたかと「うちの子が一番」とか言いながらカスタム自慢をしてみたい。

SUIかGUIか

モードダイヤルやレバーなどのSUI(ソリッド・ユーザーインターフェイス)は、電源OFFの状態でも設定内容が確認でき、変更操作も直感的でカメラらしさを演出する上でも欠かせない存在であるが、カスタム設定においては不都合が多い。

カスタム設定のメリットは、それまでどのような設定で撮影していたとしても、瞬時に特定の設定セットに切り替えてくれることであるが、SUIを多用しているとその内容が設定セットに含まれないか、または内部設定とSUIに矛盾が生じることになる。

この問題を解決するためには、全てをGUI化しダイヤルやボタンなどは操作するだけのものにしておく方法がある。
キヤノンのEOS-1などはモードダイヤルを持っていないため、この点では理想的だといえる。

カスタムリセットと同じように「電源リセット」でも同様の考え方が存在する。
電源のON/OFFは、撮影シーンが変わることと同期している場合が多く、その場合には前のシーンでの設定を一度リセットして失敗確立が低い状態にしておく方が良いという考え方である。
現在のデジカメでは電源ON/OFFでも設定を覚えている機種が多いが、昔の銀塩コンパクトカメラではリセットするのが普通であった。


LUMIX DC-G9のカスタム設定

この週末の撮影へいく前に、機能の把握と基本設定のカスタマイズに取り組んでいる。

当初イメージしていたのは、このような組み合わせで被写体ごとにまとめて切り替えることであったが、実際はカスタムでは切り替えできず、その都度SUIを使って変更する必要がある。

具体的にはこのダイヤルとレバーがG9のカスタムを使いにくくしている。(当然ですが、撮影中の変更はとてもやりやす)

被写体ごとにまとめて切り替えたいドライブモードとフォーカスモードが独立したダイヤル/レバーになっており、結果としてカスタムモードは露出や画調を切り替えるだけのお好み調整機能に限定されてしまっている。

カメラ設定の保存とシェア

もう一つ忘れてはいけないのが、育てていける仕組みを持っていることである。
カスタム設定を呼び出して利用している状態で設定を変更し、そのまま再度同じカスタム設定に上書きできるのである。少しづつ使い勝手を上げていくのに都合が良い。
また、作ったカスタム設定を含むカメラ設定をカードやスマホに保存することで、バックアップをとった上で冒険的な設定をいくつも試すことができる。
このカメラ設定の保存は複数のカメラで同じ設定を使うことにもつながり、カメラ設定を他の人にシェアすることで新しいコミュニティ活動が生まれる可能性がある。

現在のカメラ設定の共有利用は、同一機種に限定されているが、複数機種で利用できるように中間フォーマットなどを作ることができれば、個人のステップアップにそれまでの設定を活かせるだけでなく、レベルの違うユーザーが教え合うコミュニティにつながる。

まだまだ楽しみはある

G9では各機能の設定値を覚えておくだけでなく、UI動作のカスタマイズが豊富にそろっている。
ファンクションボタン、ファンクションレバー、ダイヤル機能といったSUIへの割り当てだけでなく、GUI上のメニューも、Q.Menu(クイックメニュー)、メニューのカスタムセット登録など実に多彩である。

G9のカスタムは制約も多く、多彩なのでまだ全てを理解できているとは言えないが、これから実践投入していくなかで新し気付きがあればこの記事に追記していきたい。


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