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板書に対する考え方について

みなさんは、板書についてどのような考えをおもちですか?

学習のポイントを分かりやすく子どもに示すもの?

子どもの発言を整理するためのもの?

子どもが新しい考えを生む手助けをするもの?

板書に対する考え方は、人それぞれですし、「これが正しい!」というものはないと思います。
目の前にいる子どもの実態によっても変わってきますし、どのような授業をしたいかという教師側の願いによっても変わってきます。

ですが、上述したような「何のため?」の答えは自分なりにもっておくことは大切だと思います。
それによって、黒板に何を書くのか、もっと言うと、“何を書かないのか”が決まってくるからです。

私は、板書をするときには、「子どもと共に新たな学びを生み出すために」という視点で書くようにしています。子どもの発言がつながっていくことで新しい何かが生まれるという期待感、自分の発言がみんなでの学びに貢献しているという感覚、それらが子どもの中に生まれるようにと願っています。

そのためにどのような基本ルールをもっておくか。
私なりの考えを3点紹介したいと思います。


私が考える板書のポイント

①横書きで書く

教科にもよりますが、よほどの理由がない限り、私は以下のような考えから板書は横書きで書くことが多いです。
そもそも縦書きと横書きでどのような違いがあるのでしょう。
どちらにどんな強みがあるのでしょう。
縦書きには、「時系列で書く」がしやすいメリットがあります。右から左へと順に書いていきたいとき、あらかじめ発問する内容が決まっているときなどは、縦書きの方が書くときの心理的な負担も少ないと思います。
しかし一方で、縦書きをしてしまうと、意見と意見を矢印でつないだり、図式化したりするのが難しくなってしまいます。
横書きにすることで、子ども同士の発言のつながりを見える化しやすくなります。
あらかじめ、挿絵などを貼っておくことで、おおまかな板書イメージももちやすくなります。
その日のテーマを書く、張り物を貼る、子どもの発言を聞きながら書き込んでいき整理していく…そのような流れをつくるとよいのではないでしょうか。

②子どもの意見を全部書く

上述した「自分の発言がみんなでの学びに貢献している」に関わることですが、私は基本的に子どもの発言は全て黒板に書きます。
話し合いの後には、子どもの発言でいっぱいになりますし、見方によってはごちゃごちゃしているようにも見えると思います。
板書に対する自分の考えがはっきりしていないと、
「何がポイントなのか分かりづらい」と思われるでしょう。
それで構わないんです。
大切なのは、子どもの意見を漏らさず、できるだけ子どもの文脈を崩すことなく書くことだと思います。
意見を書くときには、子どもの名前も一緒に書きます。
(名前マグネットを用意しておいてもよいと思います。)
そうすることで、
「〇〇さんの考えについてなんだけど…」
「〇〇さんにつながって…」
「〇〇さんの考えに、ちょっと違和感を感じるところがあるんだけど…」
と、子ども同士の交流が生まれることにもつながります。
子どもが、「いいです。」「同じです。」などとしか言えないんです。」と、嘆いている先生の声を聞くことがありますが、そもそも教師がそのためのフォローをしているのかは考えてみる必要があると思います。
そして、子どもの意見を全部書く、これは簡単なようで意外と難しいです。
黒板に書くことばかりに夢中になっては、子どもが見えなくなってしまいます。
ある程度の板書のスピードも求められます。
書きながら、同時に補助発問や問い返しを考えることもあります。
でも…そんなライブ感を楽しめる人にはおすすめです。
授業の後に、写真で板書を撮っておくと、評価の際にも活用できますし、印刷して子どもに配布してもよいと思います。
ロイロノートやクラスルームにUPすれば印刷の手間も省けます。

③まずは白チョークで書く

色チョークはとても便利です。
大事なところが一目で分かります。
…でも、気をつけたいことがあります。
それは、教師の価値づけが子どもに伝わってしまうことです。
もし、会議で自分が発言したことは白チョークで書かれて、同僚の発言は黄色で書かれたらどう感じるでしょう。
きっと、自分の考えは的外れだったのだろうと、がっかりすると思います。
教師がよかれと思って黄色で書いてあげたその配慮が、先生の正解探しをする子を育てることにつながってしまいます。
では、色チョークはいつ使うか。
例えば、子どもたちと相談をして、意見は白、理由や根拠は黄色と決めることもできると思います。
全部白で書き切ってしまった後に、出揃った意見を子どもたちと眺めながら
「ここが今日の話し合いのポイントだったね」と、黄色でなぞることも考えられます。
いずれにしても、教師側が子どもとの了解なしに「良い」意見と決めつけて色を変えてしまうべきではないと思います。
教師の独断で色を変えてしまうと、せっかく全員参加で意見を出していっても、結局、子どもの意見の間に強者と弱者をつくってしまうことにもなりかねません。


簡単にではありますが、私が思う板書のポイントを3点、書いてみました。
分かりづらいところもあると思いますし、
「実際、どんな風に書いているの…?」と思われるところもあると思います。
理想を語るのは簡単ですし、実際に子どもの発言のペースについていきながら、考えを整理して書くのは簡単なことではありません。

また、情報量の多さは、子どもの分かりづらさにも影響します。
ごちゃごちゃと書かれていると要点が掴みづらいのも事実です。
教師が意図をもって、何を書くか決めることで、何を書かないかを決めることにもつながります。

ですが、板書には様々な役割があることを意識して、教師側が何を意図して書くかをきちんともっておくことが大切だと思います。
“なんとなく”ではなく、しっかりと自分の意図をもって…
子どもと授業をするのが楽しみになりますし、目の前の子どもたちとしか書けない素敵な板書ができあがると思います。

今回は、板書に対する私なりの考えをお伝えいたしました。
もし、「面白いな」「参考になった」と思われる方いらっしゃいましたら、ぜひ活動のサポートをお願い致します。

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