見出し画像

【「いわきFCクリニック」の設立経緯・続きの続き】 人材の絶対数不足が解決困難な地方でも、打つべき手は必ずある

〜医療従事者不足という社会課題に対して、【全国単位での「偏在」】と【地方単位での「絶対数不足」】は、同時に取り除ける原因であるのか?〜

今回は、日本における医療従事者不足に関するの課題の原因と、その原因を取り除く実践を続けるいわきFCクリニックでの取り組みについて触れていきます。

偏在vs絶対数不足

● いわき市の動態データに衝撃:"自分事"として地域医療に動き出す

私が起業をする前に、いわき市の医師不足解決にボランティア・プロボノとして取り組んでいました。その時の、国の統計情報を参考にしていたのですが、下図は、国が提供するデータをグラフ化したものです。

画像3

▲ 2018年の都道府県・政令指定都市・特別区・中核市別「人口10万人当たりの医師数と40歳未満の医師の割合」(HealtheeOne作成)

上図に示すプロットは、2018年の全国の都道府県、政令指定都市・特別区、中核市別の人口10万人あたりの医師数と40歳未満の医師の割合を示しています。ほぼ中心の実線が全国平均です。「右上にいけばいくほど、医師の数も多く若い医師の割合も多い」となります。

この図を眺めると、中核市の一つである福島県いわき市は左下に位置しており、比較対象としている宮城県仙台市や福島県郡山市と比べても限られたリソースで地域医療が守られていると言えます。

● ● ● ● ●

● 努力を続けながらもゼロサムゲームである地域間競争で負けてしまっている地方自治体はどのようにすべきか?

次の図はいわき市、仙台市、郡山市、福島県全体、全国の2000年〜2018年までの推移を表しています。

画像4

▲ 2018年の都道府県・政令指定都市・特別区・中核市別「人口10万人当たりの医師数と40歳未満の医師の割合」【2000〜2018年の推移を含む (全国、仙台市、福島県全体、郡山市、いわき市)】(HealtheeOne作成)

ここで読み取れるのは、少子高齢化の中で人口10万人あたりの医師数は全国的に増えているものの、いわき市の動態が他の地域と異なっているということです。他の地域は右下に向かって推移していますが、いわき市は下(やや左下)に推移しているように映っています

上図に示す地域間動態比較に衝撃を受け、地元・福島県いわき市の喫緊課題であるとの認識のもと、その克服に向けた取り組みを私はボランティア・プロボノから始めました。

この課題改善に共に取り組んできた私たちは、アイデアを出すだけにとどまりません。「いわき市の医師不足」の解決に関する議論を行い、首都圏の医学生たちから提案された「スポーツドクターを育成するまちづくり」というアイデアを地域の皆様との協力も得て約1年ほどで具現化させています。

● ● ● ● ●

● 厚生労働省による人口構造の推計:2030年代の医療を守るために、いま行動すべき!

2017年頃からの国の働き方改革における議論を通じて、地域医療における「医師不足」や「医師の時間外労働」が課題として取り上げられました。また、昨今の「新型コロナウイルス感染症拡大」の第一波への対応では大都市で医療崩壊が叫ばれはじめました。しかしながら、地方ではコロナ禍以前から医師をはじめとする医療従事者不足が非常に深刻です。

画像2

▲令和元年6月12日 第118回社会保障審議会医療保険部会 「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ」について(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000517328.pdf 厚生労働省保険局より)

2017年頃からの国の働き方改革における議論を通じて、地域医療における「医師不足」や「医師の時間外労働」が課題として取り上げられました。また、昨今の「新型コロナウイルス感染症拡大」の第一波への対応では大都市で医療崩壊が叫ばれはじめました。しかしながら、地方ではコロナ禍以前から医師をはじめとする医療従事者不足が非常に深刻です。

医療従事者不足という課題の原因としては、中央の皆さんからの視点からは医療従事者(特に医師)は偏在していると語られ、将来に渡って医療人材が地方に配置させる政策が推進されています。一方で、地方レベルでは絶対数が不足している状態が既に顕在化し、福島県いわき市では絶対数不足が恒常化しています。

偏在vs絶対数不足

2030年代に向けて、高齢人口割合の増加による医療への需要が増し、一方で生産年齢人口(現役世代の人口)の急減やキャリア形成の多様化により医療従事者の供給がこれまでのようにはいかないと考えています。

ところで、新型コロナウイルス感染拡大によって地域医療を担う現場の皆さんの素晴らしさと、体制の危うさを実感したと思います。その一方で、COVID-19によって医療アクセスが(能動的/受動的に)制限された私たちは、2030年代の医療提供環境を擬似体験しているとも捉えています。

東京から電車で2時間ほどの中核市である福島県いわき市ではさまざまな施策を打ち出して状況悪化を食い止めようとしていますが、いわき市と同じような悩みを抱える地方自治体は全国に多数存在していると考えています。このいわき市での取り組みで得た知見が全国の地方自治体の皆さんの参考になるとの信念で私たちは行動しています。

「いわきFCクリニック」は、行政や医療関係者の皆さんのみならず地域住民や異業種の皆さんととも社会課題克服に向けて核となる拠点なのです。

● ● ● ● ●

2020年8月31日までReadyforにてクラウドファンディングを実施しています。

福島県いわき市における地域医療体制維持への挑戦を止めない!! - クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?