僕なりのアンガーマネジメント

　ある発言にとんでもなく腹が立った時、反射的にその発言主に憤りをぶつけられる人が羨ましい。僕はその点、実に反射神経が鈍くてその発言が通り過ぎて８分ほど経った頃に「さっきからもやもやしてるんやけどあいつがさっき言うたこと、めちゃくちゃ腹立つよな」ということがよくあります。８分経ってしまうと残念ながらその場での話の主軸はもうどこか別のところに動いてしまっており、それはそれで盛り上がっているなか「ところでさっき君が言ったあの件ですけどよくよく考えてみたら実に僕に対して失礼だからこの場で謝罪してくれはしまいか」というには時すでに遅しなのです。

　よくアンガーマネジメントってやつで「６秒待てば怒りがおさまる」って言うじゃないですか。確かにそういうタイプの怒りもありますけど僕の場合は圧倒的に８分後にやってくる怒りのほうが多いからアンガーマネジメントの先生たちにはどちらかといえばそっちの怒りへの対処法を教えてほしかったりするんですよね。

　ものすごくいろいろ端折ってしまいますと僕はコロナの関連のあれやこれやで十日間ほど職場へ行けずに自宅待機をしておりました。ワーケーションとかリモートワークとか言われるなかですが僕は家で作業したくないので家には妻のパソコンしかないし、もちろんラジオ番組の編集に必要なソフトも無いから自宅でできることといえば大人しく読書したり動画見たりすることくらいです。僕が職場へ行けない間は後輩が僕の仕事を全て代わりにやってくれました。これについては実にありがたいことで本人にも鬱陶しいくらいに感謝の気持ちを述べさせていただいており、何かしらのカタチで改めて御礼しようとは思っております。

　それはそれとしまして今日は実に久しぶりに職場へ行きましたところ、他の会社のスタッフさん(ラジオは複数の制作会社が制作していたりするのです)やＤＪさんに「大変やったね」とか「久しぶりのシャバの空気はどないや」とか、まぁ皆さんなりのあたたかい言葉を投げかけてくれるわけなのですが、その中である人が僕に対して「ずっと何してたの」と聞くから「何もできないから本読んだりYouTubeで久しぶりにプロレス動画見たりしてた」と言ったら返す刀で鼻で笑いながら「給料泥棒やな」と言われたんですよね。

 それが８分くらい経ってから腹が立って腹が立ってもうどうしようもなくなってきたんですが先ほどから書いている通り８分経ってしまうともうその怒りって表明できないんですよね。仕事を代わってもらった後輩に言われるならまだしもこちらの事情を碌に知りもしない人にどうしてそんなことを言われないといけないのかしら。別に休みたくて休んだわけでもないしできることなら自分でやりたい仕事をやむなく代わってもらったことを「給料泥棒」呼ばわりされた男の気持ちを答えなさいって試験に出してもあの人は正解できないんだろうな。

#令和4年2月18日  #コラム #日記 #エッセイ
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