姉と兄【怪談・怖い話】
これは、ある高校生の少年が経験した奇妙な出来事についての話だ。
少年は、東尋坊で亡くなった少女を弔っている最中に、兄が亡くなったという知らせを受けた。植物状態にあった兄の死を聞いた時、母の声は冷たく、悲しみの感情はなかった。東尋坊での帰り道、少年は足を滑らせ崖から落ちてしまい、次に目覚めたとき、彼はパラレルワールドに迷い込んでいた。
家に戻ると、いつもとは違う異変に気づいた。見知らぬ女性が家におり、それは少年の姉だった。少年の世界では存在しないはずの姉が生まれたことで、彼が生まれない代わりに、家族は異なる道を歩んでいたのだ。姉が存在するこの世界では、家族は幸せで、両親は不倫もせず、兄も無事に生きていた。一方で、少年はこの世界での自分の欠如が、家族にとって良い方向に作用していることに気づき、自己嫌悪に陥る。
さらに、彼が知っていた人物たちも、姉の世界では全く違う人生を歩んでいた。例として、東尋坊で亡くなった少女も、こちらの世界では明るく成長していた。彼女は、少年の世界では暗い影を映し、少年に同調して悲しみに沈んでいったが、姉の世界では姉を模倣して明るく振る舞い、幸せな人生を送っていた。
自分の存在が人々に悪影響を与えていたのだと感じた少年は、元の世界に戻りたくないという気持ちを抱きながらも、気づけば再び東尋坊に戻っていた。兄の通夜に間に合わなかったことを悔い、家に戻るべきか海に飛び込むべきか悩んでいたその時、姉からの電話が入り「イチョウを思い出して」という言葉を残された。
母親からの冷たいメールが彼に現実を突きつけ、少年は苦しみの中でどちらの道を選ぶべきか思い悩むのだった。
この話は、少年が存在すること自体が悪い影響を与えているという強烈な自己否定感と、他の世界における「もしも」の可能性が交錯する不気味なパラレルワールドの物語だ。
[出典：714: 本当にあった怖い名無し 投稿日：2011/08/29(月) 13:53:36.55 ID:wwLuh8/Q0]
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