ジェレミー・バンバー【怪談・怖い話】
これは、ジェレミー・バンバーという男が引き起こした惨劇について、地元では知られた話である。
多くの人々は、彼が遺産目当てで家族を皆殺しにしたと信じている。しかし、この事件の背後には、単なる金銭欲とは異なる、深い憎悪が隠されていたという。
ホワイト・ハウス・ファームと呼ばれる農場は、美しい田園風景の中にひっそりと佇んでいるが、その静けさは、この家で起こった惨事を覆い隠すにはあまりに薄っぺらいものだった。
ある日、ジェレミーの通報を受けた警察が現場に駆けつけたとき、家の中は既に血の海と化していた。家の主であるネビル・バンバーは、無残にも頭部に8発の銃弾を受けて倒れていた。その姿は、まるで耐えがたい苦痛を耐え忍んだかのような激しい殴打の痕があり、彼が最後まで抵抗したことを物語っていた。
さらに、ネビルの双子の孫、6歳の男の子たちは、眠るようにベッドの上で命を奪われていた。無邪気な彼らは、まるで悪夢から覚めることなく、そのまま冷たい銃弾に貫かれていったのだ。口に親指をくわえたまま絶命していたその姿は、見る者に深い悲しみと戦慄を与えた。
家の奥へ進むと、主寝室ではネビルの妻、ジューンが聖書を脇に放り出し、無数の弾痕に包まれて横たわっていた。彼女の眉間には致命的な一発が貫通しており、その死は即座に訪れたことが伺えた。
そして、最後に発見されたのはジェレミーの義姉、シーラだった。空になったマガジンを抱え、彼女自身の命をも奪った銃を手にしていた。家族全員を殺害した後、自らの顎を狙って引き金を引いたのだと推測された。
しかし、事件が進むにつれて、警察の捜査は次第にジェレミー・バンバーに向けられていく。彼の冷淡な態度、生前のシーラが銃を扱えなかった事実、そして最も決定的だったのは、犯行に使われたライフルのサイズだった。サイレンサーを装着した状態で自らを撃つには、彼女の腕の長さでは到底届かなかったはずだ。
捜査が進む中で、ジェレミーのガールフレンド、ジュリーがついに真実を語り始めた。彼女は警察に対し、「真犯人はジェレミー・バンバーである」と証言したのだ。法廷でジェレミーは何の後悔も見せず、その異常性を露わにしていた。彼は人の感情を理解することのできない、冷酷な人間だった。
ここで一つの疑問が浮かび上がる。ジェレミーもシーラも、バンバー夫妻の実子ではなく、それぞれ別々の家庭から養子として迎えられた。それにも関わらず、なぜ二人はこうした悲惨な結末に至ったのだろうか。バンバー夫妻は厳格で敬虔なカトリック信者であり、外から見れば理想的な家庭を築いていた。しかし、その裏には、恐ろしいほどの抑圧と束縛があったのではないか。
シーラが「世の中のほとんどは悪魔で、自分は白い魔女だ」と信じ込むようになった背景には、義母ジューンの過度な宗教心があったのだろう。彼女の精神は次第に蝕まれ、ついには取り返しのつかない狂気へと突き進んでいった。そして、ジェレミーもまた、義母への憎しみを隠さず、他の女性に母性を求めていた。
ジェレミー・バンバーは、5回の終身刑を言い渡され、この世から隔絶された。しかし、ここで一つ不気味な事実がある。この一家惨殺が起こったホワイト・ハウス・ファームの前の所有者は、馬用の水槽で謎の溺死を遂げ、そのさらに前の所有者は不審な点の多い首吊り自殺をしていたというのだ。これらの奇妙な事件は、まるでこの家そのものが何か邪悪な力を持っているかのように感じさせる。
もちろん、これはただの偶然かもしれない。しかし、この地に根付く暗い影は、容易には消え去らないだろう。
[出典：241 ：本当にあった怖い名無し：2005/08/31(水) 23:56:11 ID:OPtObW7E0]
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