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窓の向こうに潜む影【怪談・怖い話】

これは、専門学生の独り暮らしの若者が実際に経験した恐ろしい話だ。

彼が住んでいるのは、アパートの一階の角部屋。南向きの窓と東向きの出窓があり、その東向きの出窓はアパートの駐輪場に面している。出窓には大家が取り付けたプラスチックの板があるが、完全には隙間を覆っておらず、夜になるとその隙間から妙な気配を感じることがあった。

ある深夜のこと、彼は眠ろうとして布団に入ったが、どうしても眠れない。心臓がざわざわし、何かが自分を見つめているような気がして仕方がなかった。すると、突然「ザリザリッ」という音が聞こえてきた。音の出所を確かめようと出窓に目を向けたが、視力が悪くて何も見えない。それでも、気になるので起き上がり、出窓に近づいた。

彼が見たものは、信じがたい光景だった。プラスチックの板の隙間から、土気色の肌と窪んだ目の持ち主が二人、彼の部屋を覗いていた。恐怖に駆られた彼は、思わず叫んでしまった。

驚きながらも、彼はこの状況をどうにかしようと考え、包丁を手に外に出た。駐輪場に急いで向かったが、誰もいない。戻って出窓から部屋の中を覗くと、なんとその土気色の顔がまだ彼の部屋の中にいたのだ。

驚愕し、彼は全力で走り出し、学校の寮に住む友人の元へ逃げ込んだ。深夜にピンポンを連打し、友人を叩き起こして部屋に匿ってもらった。恐怖と混乱で話すこともままならなかったが、やがて友人に事情を話し、一緒に部屋に戻ることにした。

部屋に戻ると、腐葉土とカビの混ざったような異様な臭いが漂っていた。二人で部屋を調べたが、誰もいない。ただ、布団の上に不気味な足跡が残っていた。恐ろしくてその部屋に留まることはできず、最低限の荷物を持って友人の部屋に戻った。

今もまだ、その恐怖は彼の心に焼き付いている。目を閉じれば、隙間からあの土気色の顔が覗いてくるような気がしてならない。何が起こったのか、彼には一切わからない。ただただ、その不気味さが彼を取り巻いている。これは、彼が実際に体験した恐怖の一端に過ぎないのかもしれない。

[出典:904 :本当にあった怖い名無し:2021/07/20(火) 04:53:39.52 ID:wFcmgI710.net]


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