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おみくじ【怪談・怖い話】

これは、ある男性が経験した、気味の悪い出来事についての話だ。

五年前、彼は付き合っていた彼女と一緒に御朱印集めを楽しんでいた。当時、彼女が御朱印に熱中していたため、デートでよく神社を訪れていたという。

ある日、二人は少し遠くの有名な神社を訪れた。そこは御朱印のデザインが人気で、ネットで検索すればすぐに出てくるほどの場所だった。しかし、その神社の名前はもうネットには出てこなくなっている。

お参りを済ませた後、彼らはおみくじを引くことにした。一般的なおみくじではなく、木の筒を振って番号の書かれた棒を出すタイプだ。まず彼女が引き、普通の番号の棒を巫女さんに渡すと、何の問題もなく紙が渡された。大吉や中吉のような具体的な結果は書かれておらず、無難な内容だったらしい。

次に彼が引いたのだが、出てきた番号は2800番台の巨大な数字。巫女も驚き、後ろの引き出しにはそんな番号が存在しない様子だった。隣の巫女とも相談したが、どうにも番号が合わない。巫女は宮司に相談し、その宮司は急に慌て始めた。そして彼を指差し、恐る恐る「こちらで少しお待ち下さい」と告げられ、社務所に通された。

彼と彼女は訳も分からず2時間近く待たされた。やっと現れた神主のような人物は「今日のことは忘れてほしい」と言うのみ。これにはさすがに怒りを覚えた彼は理由を詰問したが、神主はしぶしぶ話し始めた。

要点はこうだ。彼が引いたおみくじは「引けないはずのもの」だった。その番号は、あるものを封じ込めるために存在しており、本来であれば出てくることはない。おみくじを再び筒に戻そうと試みたが、どうしても入らなかった。実際に引いたはずなのに、それは物理的に引くことができないものだったのだ。

彼は恐怖を感じ、神主に「自分は大丈夫なのか?」と尋ねたが、神主は「帰る前に払います」とだけ言い、曖昧な答えに終始した。お祓いを受けた彼は、そのまま神社を後にし、彼女とも触れることなく関係は冷めていった。

翌年、どうしても気になった彼は一人で再びその神社を訪れた。しかし、神社は閑散としており、社務所も閉じていた。おじいさんに話を聞くと、神主が一家で失踪し、宮司も引っ越してしまったため、御朱印はもう行っていないという。

その後、町には葬式が多くなり、友人たちも次々に亡くなったという話を聞かされ、彼は重い空気を感じながら神社を後にした。彼は「自分はただおみくじを引いただけだ」と信じているが、どこか胸に引っかかるものを抱え続けているのだ。

以上が、彼の背負うことになった気味の悪い体験だ。

[出典:158 :本当にあった怖い名無し:2023/03/10(金) 17:49:29.32 ]


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