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都政の構造改革の第一歩は、コピー用紙1億枚削減から!?都政のDXって何?【入都1年目の職員が副知事に聞いてみた】

東京都はなぜ「5つのレス徹底方針」を出したのか?デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のキーマンである宮坂副知事に、今年4月に入庁した安斎主事がインタビューしました。 

デジタルトランスフォーメーション(DX)って何?

-宮坂副知事が東京都の副知事に就任されてから1年になりますが、周りの先輩に話しを聞くと、宮坂副知事が来られてから、都庁のIT化が大きく進んだという声をよく聞きます。特に現在の都庁では、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という用語が飛び交っているように感じますが、このDXとは何なのでしょうか?

DXとは、デジタルの利活用で私達の生活や働き方、都市の機能をより良いものにし、社会そのものを変えることです。これにより、都民サービスの質や地域の魅力が向上します。本年2月にはスマート東京実施戦略を公表し、「『電波の道』で『つながる東京』」「公共施設や都民サービスのデジタルシフト(街のDX)」「都庁のデジタルシフト(都庁のDX)」の実現に向けた取組を推進しています。

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宮坂副知事が考える、都政のデジタル化

-先日、武市副知事にお話しを伺ったところ、これから進めていく構造改革のカギは「デジタル」だとおっしゃっていました。

今回のコロナ禍で、ハンコを押すために満員電車に乗って会社に出勤、ファックスで書類のやりとりなど、数世代前の古いテクノロジーの上で仕事をしていたことが、改めて鮮明になりました。私は小池都知事から「東京をスマートシティにしてほしい」と言われて都庁に来ましたが、まずは、最先端技術に限らず、行政のアナログ部分をデジタルに置き換えていくことが大切です。

しかし、国が2001年にe-Japan戦略を打ち出して以降、行政のデジタル化は20年止まってしまいました。

コロナ禍の今、DXという言葉が至るところで飛び交っていますが、DXに向かっていくためには、順序立てて取組を進めていかなければなりません。DXの実現を、空にはばたく「蝶」に例えるなら、手書きやそろばんで仕事をする段階は「卵」、文書や資料をパソコンやワープロ等のデジタルツールでつくる段階は「幼虫」、デジタルで作成した情報を、デジタルで共有・流通させる段階は「さなぎ」と言えます。

文書をパソコンというデジタルツールで作ってわざわざアナログの紙で出力してFAXを送信する今の都庁は、「幼虫」に留まっている段階です。民間は既に、次の段階に進んでおり、デジタル化という目線で見れば、都庁は非常に遅れています。都民にとって便利な都庁を実現し、都民のQOS(クオリティ・オブ・サービス)を向上させるためにも、ペーパーレス、ハンコレスなどの5つレスを急ピッチで実現し、まずは「さなぎ」へと進化していかなければなりません。

宮坂副知事記事 挿絵

-何故、都政のデジタル化は進んでこなかったのでしょうか、また、今後、都政のデジタル化をどのように実現していくのでしょうか?

e-japan戦略の目標、ゴールはそのとおりです。努力してきたのにデジタル化は進んできませんでした。野球に例えるなら、20年間スイングし続けてボールがバットに当たらない、何故か?スイングが悪いのです。フォームを変えることが重要です。

最初に都庁に来た時、仕事しようと思ったら、Wi-Fiがなくてびっくりで衝撃を受けました。ここでやっていけるのだろうかと・・
でも、自分が1年経って都政のことが少しづつ解ってきたように、職員の皆さんのデジタルへの意識も凄く上がってきています。今では、高速Wi-Fiが飛び、テレビ会議も日常になってきました。この先も着実に変わっていくと思います。

そして、都政のデジタル化を加速的に進めていくため、都政を一部ではなく丸ごとデジタルにシフトしていかなければならないと考えています。都庁は平成の年号の切り替えとともに有楽町から西新宿に引っ越しましたが、令和の時代は都庁がデジタル空間へ引っ越した年代だったといわれるようにしていきたいですね。

これを「バーチャル都庁」として打ち出しました。この「バーチャル都庁」の上で、都政にAIを含めたデジタル技術を徹底的に取り入れ、デジタルテクノロジーを駆使した都民サービスを実現していきたいと思います。

都庁をデジタル空間へと引っ越し

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-都庁がデジタル空間に引っ越すことで、都民にとってどのようなことが期待されるでしょうか。

現在、リアルな空間に一極集中している都民への行政サービスをデジタル空間でも提供できるようにし、デジタルの力を使って都民ニーズにあったサービスを迅速に展開していきます。これにより、役所に行かなくても、申請・相談ができるようになります。また、地震などの災害が起こっても、物理的に壊れにくいデジタル上で、行政サービスを継続することが出来ます

-デジタル空間への引っ越しとは、非常に夢のあるお話しです。ただ、有楽町から西新宿への物理的な引っ越しも当時は大変だったと思うのですが、今回のデジタルへの引っ越しにも困難が伴うものになるのでしょうか。

今、私たちが使っているファックスやコピー機も、かつては最先端のテクノロジーでした。私たちには、その時その時のテクノロジーを組織の中に取り込んで、使いこなしてきた歴史があります。だから、今回のデジタルへの引っ越しもきっとやり遂げることができると私は思います。変化というものは、不安もあると思いますが、本質的に楽しいものではないかと思います。新しい自分たちの秘めたる可能性に出会うことができるわけです。変化をあまり恐れずに、既存の制度や仕組みにとらわれることなく、柔軟な発想をもって当たっていきたいと思います

デジタルに苦手意識を持たれる方や不安に感じる方もいらっしゃると思います。こうした方々もしっかりとサポートして、誰一人取り残すことなくデジタルの空間に引っ越しができるよう、全力を挙げて取り組んでいきます。

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-おっしゃるとおり、今では当たり前となっている携帯電話やコピー機もかつては最先端のテクノロジーだったのですよね。今回、デジタルへの引っ越しはどこから着手していくのでしょうか?

先程、「さなぎ」に進化と言いましたが、今回策定した「DX 推進に向けた5つのレス徹底方針」に基づいて5つのレスの実現に取り組み、紙やコピー、はんこ、机や椅子にとらわれた今の働き方から、職員を解放して都庁の働き方をアップデートし、デジタル技術に立脚したものに変えていきたいと思います。コピー用紙やFAXでやり取りしながら、スマートシティの議論をするのも変ですしね・・・

5つのレス 到達目標

-副知事のお話を伺って、令和のデジタルへの引っ越し、ぜひ実現していきたいと思いました。まずは引っ越しの第一歩として5つのレスにしっかり取り組んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。

次回以降、7つのコア・プロジェクトなど、構造改革の取組を分かりやすくご紹介していきます!

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