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届出者の不便をなくす~下水道にもデジタルの波~

「シン・トセイ」戦略(案)のコア・プロジェクトの1つ、「ワンストップ・オンライン手続プロジェクト」では、都民・事業者の皆様があらゆる行政手続をいつでもどこでもオンラインで行える環境の実現を目指しています。

今回は、東京都下水道局で昨年11月に試行導入を開始した「排水設備計画届」等のデジタル化を推進する若きリーダー、施設管理部排水設備課の松澤公俊主任、松永圭右主事、佐々木徳朗主事の3人にオンラインでインタビューしました!

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左から松永主事、松澤主任、佐々木主事。先日公開した副知事とのディスカッションにも参加しました。

事務所をいくつも回って届出

今回、デジタル化した「排水設備計画届」等は、建物の新築や建替にあたり、宅地内の下水を流す排水管などの設置を行う際、提出を義務付けられています。届出者(排水管などの設置者)から委任を受けた事業者が主に提出しており、年間の届出件数は約2万件と、下水道局の中で最も件数が多い手続です。

届出者は、届出書類に記入・押印をして、各地域を管轄する事務所に提出します。メールでの書類の受付は行われておらず、事務所の担当職員との図面のやり取りなどもあるため、直接窓口に訪れる必要があります

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複数地域での工事の届出をする際は、いくつもの下水道事務所を訪れなくてはならない場合もあり、「とにかく移動の時間が大変だ、というご意見をよくいただきます。」と佐々木主事は話します。

既存のクラウドサービスをカスタマイズ

役所へ足を運ぶことなくワンストップで届出を行えるようにし、利用者の不便をなくしたい——。そうした思いから、下水道局では以前からオンライン届出の必要性を議論していました。その追い風となったのは、都庁のデジタル化推進の動き。昨年6月、まずは年間申請件数が最も多い「排水設備計画届」等のデジタル化に着手することを決めました。

デジタル化を支えるシステムは、他自治体で住民票の請求や保育所の利用に関する申請などで使っていたクラウドサービスに目をつけましたが、申請内容が異なるため、そのまま使うことができません。機能のカスタマイズに向け、7月からはベンダーと話し合いを重ねました。

デジタル化にあたり苦労している点を、松澤主任はこう述べます。
「この申請では、添付する図面などに関して届出者と職員との間で届出内容を確認するやり取りが発生します。窓口であればその場での確認で済みますが、デジタル上だと多くて2~3往復連絡を取り合う必要が生じており、デジタル上でスムーズに行えるようにすることが意外と大変です。ベンダーさん及び事務所職員と話し合いながら改修に取り組んでいるところです。」

同時に、デジタル化にあたっては、届出書の内容についても再検討し、いくつかの項目について入力を不要としました。

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「紙の届出書の様式をそのままデジタルで流用しようとすると、膨大な項目数になります。利便性向上のため、項目そのものや順番を見直して、入力を必要最小限とし、届出者の負担を減らすよう工夫しました。」

と松永主事は振り返ります。

デジタルを活用し、仕事の進め方を変えていく

サービス導入の裏では、若手職員3名がそれぞれ関係各所と連携しながら、デジタル化の推進を支えています

松澤主任は、本プロジェクトのリーダーとして、事務所の職員を交えた作業部会を立ち上げ、サービスを運用する際の課題抽出や、自身が作成した運用マニュアルの改善などを行っています。

松永主事は、関係法令等の整理を担当しています。届出については条例等で定められており、本デジタルサービスを運用するにあたって法令との齟齬が生じないよう、その整理を鋭意進めています。

佐々木主事は、事務所での窓口業務の経験を活かし、デジタル化のための新たな業務フローを考えるほか、サービスを利用する届出者との窓口役を担っています。

内部業務のデジタル化が課題

現在はまだ試行実施中ですが、このシステムにより、これまで複数の下水道事務所に出向いて行う必要があった届出が、インターネット上で完結でききるようになりました。

利用者からは、
今までは書類を提出するために、移動だけで2〜3時間も費やしていました。その時間がゼロになって嬉しいです。

など、高い評価をいただいており、佐々木主事は手応えを感じています。

また、デジタル化に合わせて、21年1月からすべての認印を廃止。届出には、当該工事の施主及び施工事業者から認印を得る必要があったことから、廃止により、手続にかかる時間を最大で1週間ほど削減することができました。

ただし、デジタル化により別の課題も浮き彫りになりました。

現在は内部事務のデジタル化が進んでいないため、せっかく申請書がデジタルで届いても、それを紙に出力して、従来のワークフローに乗せざるを得ない状況です。

今後は、内部事務をデジタル化により効率化することが次なる目標。
と3人は口を揃えます。

「これが実現できれば、執務室での作業は減り、職員もリモートワークがやりやすくなります。」と松澤主任。

今後は、より一層の効率化に向け、内部事務のデジタル化にも取り組んで行きます。3人の挑戦はまだまだ続きます。

今回、ご紹介した事例は、「シン・トセイ」戦略に掲げる改革実践のキーワード「デザイン思考」を具現化した取組です。都は今後も、より利便性の高いサービスを提供できるよう、様々な手続のデジタル化を進めていきます!

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