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「聞き役」が生み出す、オンラインコミュニケーションの知恵

◆ 「聞き役」の苦労が報われる時代がやってきた

こんにちは、オンラインファシリテーターの福田幸志郎です。思考と対話を深めて発想を広げる、勉強を教えない塾を運営しています。

多くの人がオンラインの会議や飲み会を試し始めて、およそ3ヶ月が経ちました。使い方や関わり方には、慣れましたか?

「発言がかぶって遠慮してしまう」
「独特の間ができて気まずい」
「全然話せなくてつまらない」

といった声もちらほら聞こえてくるようです。どうやら、人の話を聞く姿勢がある人ほど気疲れしているような印象があります。

「聞き役」の人って、良い人が多いんです。笑
人の話を最後まで聞こうとしたり、会話の空気感や流れを大切にしたり。 ただ、良かれと思って聞き役に徹した結果、疲れることもよくあります。

かといって、「話す側がもっと配慮すべき」なんていうのは無理な注文なので、「聞き役」にできる工夫を考える必要があります。(上手な聞き役が離脱したオンラインコミュニケーションは、それはもうひどいものです。笑)

僕はこの3ヶ月、オンラインツールを使ったイベントを探求してきました。
・実際に自分で主催した講座や会議、101回
・人のオンラインイベントへの参加、28回
(いずれも算出期間は4/7-7/7)

さまざまな場を見て学んだのは、良い知恵を手に入れさえすれば、オンラインは「聞き役」の価値が上がる場になる、ということです。優れた聞き手は、優れた交流とひらめきを生み出すのです。(もちろんリアルの場にも応用できます)

「聞き役には、聞き役にふさわしいリーダーシップが眠っている」
ということで、今日は聞き役でがんばる人を応援する「オンラインファシリテーション」について少しお話しします。

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◆ オンラインコミュニケーションが疲れるのは、「聞き役」が育っていないから

コミュニケーションは、いつの時代も「話したい人」の方が多いものです。
人が話している時でさえ、次に自分が話したいことを考えています。特にオンラインで話せるのは一度に一人ですから、発言のチャンスは奪い合いになります。

そんな時、集まりの場を取り仕切る主催者がよく犯す間違いがコレです。
「参加者の自主性を尊重したい」
「主催者は黒子に徹する方がいい」
「あまり肩肘張らず自由に話したい」

一見、参加者のためのようで、実はコレがオンラインコミュニケーションを失敗させます。
主催者ほど、「全員」に気を遣える人は本来いないはずです。多くの参加者は、「自分が楽しむこと」を考えるものです。そこの舵取りを誰もしなくなれば……どうなるかわかりますね。

主催者が「聞き役」としての知恵を持ってないと、必然的に参加者の中の「聞き上手な人」が一番気を遣って苦労することになるわけです。

「参加者を尊重する」というと聞こえは良いですが、その裏側には「準備が面倒」という怠慢が隠れているものです。本当に参加者を尊重する場をつくりたいなら、進行や統率のための準備が必ず必要になります。

相手を尊重することと、相手任せにすることは、似て非なるものなのです。

なので、「聞き役」にまわることが多い人は、周りの人に振り回されないためにも、「聞く技術」を身につける必要があるわけです。小難しい話をしましたが、これはチャンスでもあります。「聞き上手になれると、人から必要とされやすくなる」ということでもあります。

☆ 「聞き役」がいると、みんなに一体感が生まれる
☆ 「聞き役」がいると、安心して深い話ができる
☆ 「聞き役」がいると、話の脱線や無駄が減る
☆ 「聞き役」がいると、自分の存在意義が感じられる

……だから、オンラインコミュニケーションの成功のカギは、「話すのがうまい人」ではなく、「聞くのがうまい人」が握っているのです。

では、どうすれば「聞き役」が育つのかというと、「会話の実験」を始めてみるのが第一歩になります。

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◆ 話の聞き方を、バージョンアップさせよう(聞き方がうまくなる3つの実験)

実際にオンラインイベントを体験して見えてきた、優れた「聞き役」の条件は次の3つです。

① 自分が場をリードしている意識を持つ
② 人から人へ、話題を振る
③ 話題の強弱をキャッチする

個人と全体を同時に見ながら、その時々の会話に耳を傾ける、って難しいですよね。まずは一つ一つ「観察」することから始めてみると良さそうです。

① 自分がリードしている意識を持つ

会話の手綱を握っているのは誰か?
見た目には「話し手」がリードしているように見えるでしょう。
でも、実際は「聞き手」なのです。

話し手の話題は、聞き手の質問や態度によってコロコロ変わります。
(試しに、無表情で話を聞いてみましょう。話し手は不安になるはずです)

聞き役の人が会話の手綱を握っているのだと思えば、自分にできることを考え始めるはずです。
最初は振り回されて当たり前、少しずつ観察しながら、「どう切り返せば、会話を良い方向に進められるだろう?」と振り返ってみてください。会話の振り返りは、すればするほど「聞き役」としての知恵が見つかります。

② 人から人へ、話題を振る

本当に上手な「聞き役」は、人に話を振るのがとても上手です。
「あなたはどう思う?」と他の人に話を振るのはかなり楽な戦術です。

・自分が話さなくて良いからラク
・「会話を持っていかれた」と逆恨みされにくいからラク
・話せていない人への配慮が伝わりやすくなってラク

……いいことづくめですね。笑
自分も他人も話した気になれるのでオススメです。

③ 「話題の強弱をキャッチする」

これは「脱線防止」のためのスキルです。
会話には、「重要な会話」と「どうでもいい会話」が混在しています。まじめに全部聴いて理解しようとすると、想像以上に疲れます。(なぜなら、思いつきで話す人はあまり考えずに話しているから)

1. メインテーマは何か?(話題の中心、目的、本題にあたるもの)
2. サブテーマは何か?(会話を広げる補足やユーモアなど)
3. 脱線トークは何か?(なるべく拾わない方がいい話題)

発言の中の「強弱」がわかると、会話の足並みをそろえやすくなります。

特に「聞き役」の人は、強弱の感度が低い人の発言を聞くと、「え、今その話する?」「この話を持ち出してきた意図は?」なんて考えすぎて疲れてしまいます。安心してください。話す人は何も考えてません。笑

話をうまく取捨選択して、本当に大切にしたい(相手に喜ばれる)話題に集中できるようにリードしたいものです。

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◆ (最後に)良い聞き役は、良い話し手よりも、みんなに貢献する

陰日向に咲く花のように、「聞き役」というのは、あまり歴史の表舞台に立ちません。たいていは、カリスマ性と勢いのある「ザ・リーダー」みたいな人ばかり目立ちます。(映画化されたりね)

でも、実はそういう人には、見えないところで「良き聞き役」が存在しています。むしろ、そういう聞き役のおかげで、話し役は活躍できています。

努力や工夫が目立ちにくく、誰も知らないところで気疲れしていることも多い「聞き手」ですが、実は見えないところで世の中を良くしているのかもしれませんね。

「聞き役」のための知恵は、まだまだ成熟していません。
だから、一緒に学びながら、「見えないリーダーシップ」を発揮して、一緒に世界を牛耳……じゃなかった、まわりの人や世界をハッピーにしていけたら嬉しいです。

そんなわけで、これから「聞き役:オンラインファシリテーター」のための情報やイベントをお知らせしていきますので、引き続きよろしくお願いします。

長文をお読みいただきまして、ありがとうございました。

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