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#読書の日 私の愛する西加奈子の作品

今日10月27日は読書の日らしいです。

先日新宿の紀伊国屋をぶらぶらしていたら、西加奈子さん表紙のクイックジャパンを見つけました。

その中で、「今日読む西加奈子」という特集をやっていまして、

なるほどなるほど、ふむふむと呼んでいたのですが、読んでいたらまた読み直したくなってきました。

ということでいま家にある西加奈子の本をご紹介。紹介する順番は本棚から手に取った順に紹介していくので、特に意味はありません。それではスタート。


炎上する君

おそらく私が人生で何度も読み返している本第一位がこちら、炎上する君です。表題の「炎上する君」を含む8作品入っている短編集です。西加奈子を知っているけど本読んだことがないという人は、こちらから入るのおすすめです。

炎上とはいわゆる問題発言してどうのこうのということではなく、内側からメラメラ燃えている状態のことです。その炎は誰かを煌々と照らす。そしてその炎に救われる人もいる。みんな燃えていこうじゃないか。

ちなみに私の持っているこの本は、お風呂で読んでいたからでしょうか、めちゃくちゃシワシワになっています。


サラバ!

分厚い本が上下の2冊(単行本だと3冊)。とてもボリュームのある本です。2015年に直木賞受賞作品なので、一番有名なのかしら?

とにかく途中から読んでいてしんどくなる、しんどいから救いを求めるというか、早く良い方向にいってくれ!という願いからか本をめくる指が止まらない。どうかどうか主人公を救ってくれ、西加奈子!と願いながら最後まで読んだ本。一気読み必須なので、時間があるときに是非。(5、6時間くらいあれば読めるのではと。)

i(アイ)

主人公の名前は、「ワイルド曽田アイ」。アメリカ人の父と、日本人の母のハーフ。

世界は残酷だし悲しみに溢れるし悲しいことしかないし、でもそんな世界と共存していく優しさを書いてくれています。

「この世界にアイは存在しません。」という始まりがかっこ良い。


舞台

29際の主人公、葉太がニューヨークを訪れるのですが、初日に盗難に遭ってしまい無一文に。しかし自分のプライドから盗難に遭ったと警察に言うことも、誰かに助けを求めることもできぬままマンハッタンで暮らしていく。。。

自分のプライドを守るために色々と言い訳しながらしていく主人公。西さんの小説読んでいると「あれ、これ俺の話だっけ?」と勘違いすることがよくあるのですが、この小説は特にそう思いました。

自分に自信ない方、助けて欲しいときに助けを呼べないかた、プライドめっちゃ高い方、というか全ての元少年が読むと良い本。

おまじない

舞台は元少年に読んで欲しいと思いましたが、こちらは全少女に読んで欲しい本。全8話の短編集なのでとても読みやすいです。

個人的に好きなのは「孫係」。

お母さんから見て、良い子にしていないといけない「娘」と、紳士でいないと行けない「父」。
その「娘」と「父」(関係で言うと「孫」と「祖父」)が協定を結ぶのですが、それはそれぞれ良い娘と良い父を演じる係になると言うこと。こんなセリフが心にしみる。

「係だと思ったら、なんだってできるんです。」

仕事でもプライベートでもなんでこんなことしなくてはいけないんだ。。。と思うことよくあると思います。
「上司にはお酌しなくてはいけない」「娘には叱らないといけない」「面接の時はハキハキと答えなくてはいけない」
本当はこんなことやりたくないのにな、と思った時はそれは「係」だと思うとちょっと心が軽くなるような気もします。

そんなおまじないのような言葉がたくさん詰まった短編集です。


まく子

小学5年生の主人公「ぼく」。猛スピードで大人になる女子たちを恐れながら暮らしている。そして、否応無しに変わっていく自分の身体にも抗おうとしている。
そんな中コズエと言う同級生が街にやって来て。。。と言う話。

読み終わった感想としては、「西さんに俺の少年時代全肯定してもらった。。。」という気持ちになった一冊。

コズエって一体何者なのだろうか、と言う話から最後はすごいところまで展開します。少年の成長を暖かく見守ることができる。そういえば映画化するらしいですよ。


ふる

誰にも嫌われないよう、常に周囲の人間の「癒し」であることに全力を注ぐ主人公。そんな主人公の成長物語。文字が空から降ってくる文章の表現を初めて見た。


ふくわらい

マルキ・ド・サドをもじってつけられた主人公の鳴木戸定(なるきどさど)。マルキ・ド・サドを知らなかったんですけど、フランス革命期の貴族、小説家なんですね。ただ主人公は小説家ではなく書籍編集者です。

壁を作って生きて来た主人公が、プロレスラーや盲目の男性と出会うことで自分の表現や愛を知っていく物語。西さんのプロレス愛も存分に出ていると思います。


円卓

大人になると全く気にならないことが、子供の頃気になったりします。

骨折の三角巾がかっこよく見えたり、松葉杖がキラキラして見えたり、窓際の席でいつもイヤホン聞いている彼にときめいたり。

主人公のこっこは眼帯に憧れている女の子。ひねくれているけど憎めないあいつ。友達に恵まれていて羨ましく思いました。特にぽっさんという少年の世界の核心をついたセリフにはなんども感激した。


漁港の肉子ちゃん

肉子ちゃんのキャラクターが好きすぎて、それだけでもう最高です。漁港の場所、モデルは宮城県の石巻市らしいです。しかもこの連載中に地震が起きたのだとか。だからかわかりませんが、とにかく愛に溢れた作品でした。


うつくしい人

他人の目を気にしながら生きている主人公。ミスがきっかけで会社を辞めて離島に旅に出る、そこで起こる様々なできことで主人公はどう行動していくのか、という物語。短編のロードームービーを見ているような、読後感はスーッと爽やかな風が胸に吹くようなお話でした。


ごはんぐるり

エッセイです。西加奈子はエッセイも面白いのです。

面白い&超お腹空きます。読書の秋から食欲の秋へと自然に移行させてくれる本。
『マナー恐怖』と『正解すぎる店』『出汁のない味噌汁』という話がお気に入り。


ダイオウイカは知らないでしょう

西さんと文筆家のせきしろさんが、2年間題詠短歌に挑戦した記録を残した本。「短歌ってこんなに自由で良いんだ!」と思ったのと「なんでこんな短歌が思いつくんだ」と驚いた記憶が。特に短歌クロスエッセイが面白かったです。

山崎ナオコーラやいとうせいこう、星野源などゲストも超豪華です。


まにまに

こちらもエッセイ。こちらは日記のような感じで普段の西さんがどんな感じかがわかる本です。

西さんは泥酔すると大変そうだな、ととりあえず思います。


--- 🍺---

...ということで14冊紹介しました。読書の日中にまとめられてよかった。

西加奈子さんとはどんな人なんだろう。
本を読んでいる限りだと『この人は本気で世界を変えようと、平和になってほしいと願っている人なんだろうな』という人なのかと想像します。
頑張っている人を嘲笑うのがかっこ良いとか、裏のスタンスを取った方がモテるとかあったとしても、「そんなの知らん!平和が良いに決まっている!」というスタンスを突き通す感じ。
ただもちろん聖人というわけではなく、めちゃめちゃ泥酔するし、約束忘れるし、すぐ怒るし、という人懐っこいところもある。その痛快さに心踊らせ、背中をドンと押してくれるというよりも、常に背中をさすってもらいながら寄り添ってくれている感覚を覚えます。

優しくて強い、そんな小説家だと思います。次の作品もとても楽しみにしています。


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