宇宙樹

竹村真一さんの著書です。

第1章

採らない技術、植物と環境と天体

・植物は、大きな環境という全体の中の部分として振動している。その時と場所での天空のポリフォニー(融合していない自立した複数の声や意識が織りなす対話的関係によって、高度な統一を実現していく構造をもつこと)を写実し、記憶している。このような交響性を具体的なリアリティとして生きるようなワークスタイルが、伝統医学や林業、建築の世界には継承されていた。

・ある色をまとうことは単なる装飾ではなく、むしろ内面の「調律」である。

・化粧を意味するコスメティックは、宇宙(コスモ)を由来にするように、化粧や服飾(コスチューム)によって返信していく行為は、宇宙の所存とコンタクトをとり、コミュニケートしていくプロセスであった。社会的アイデンティティをリセットし、人間という限定を超え動植物に同一化するような、大きな次元でのデザイン性を秘めている。宇宙論。

第2章

・樹が静止した物体に見えるのならば、それは我々の生命感覚のレンジが狭すぎるだけなのだ。

・木を一本一本の「樹」としてみてしまうような私たちの実在強迫的な味方を、ホロニック(個々には異質な要素が集合しているにもかかわらず、全体としては調和がとれているさま)な関係性が融解させてくれる。どの樹にもアイデンティティはなく、全てが母胎であり子であることが財産である

ゲーテの形態学

・植物は、動物を裏返したもの(動物にとっての消化器官が根や葉となって外側にあるため) 植物は、人間が逆立ちしたもの(口は根となり、生殖器は花となる)→めちゃくちゃ怖いこというやんけアリストテレス

・動物の循環路は閉鎖的なcircleであるのに対し、植物のこれは日光、大気を廻る開放的なrouteとなる。植物は、おのれのからだの一部として自然を保有している。

・宇宙を孕むホロニックな環としてのメタ樹木は、時間的にも多様な生命記憶が積層した歴史性のモザイクである。そうしたコンテクストを観てとる感性、宇宙的な関係の束として植物を扱う姿勢こそ、薬草医や染織家の核心にある。

第3章

木のクセがすごい

うすっぺらな人工ではなく、天と地を結ぶ「工」である

第4章

・植物は音を聞く(https://gigazine.net/news/20141022-plants-hear-pests-attack/)、愛憎、危害を加えた人間を記憶する、ネイチャーゲーム、

・森林破壊への象徴的なアンチテーゼとなるチプコ運動 森を守るというときに木々に抱きつくという方法をとるだろうか。 彼らのとって木はどのような存在だったのかという「意味」の次元であり、固有の森林経験の質、樹木と人のパートナーシップである エコロジーを物的な自然保護の文脈で語るには不十分であり、文化的・社会的な側面の森林経験の質についての視点、20世紀の政治イデオロギーとしてのエコの脆さ

・人間と森の関係構築には、宇宙的メディアとしての木というコンセプト(象徴的、文化的)と、普遍的な概念を等身大の個人的なコンテクストに着床させるパートナーとしての木(属人的、社会的)が、相補的に存在していた。

感想

TCP/IPって偉大ですね

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