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「男性目線」の妊活と不妊治療体験談(後編)

はじめに

こんにちは、コウノトリBenefitという「妊活と仕事の両立支援ソリューション」を企業向けに提供しています、株式会社メデタの伊藤です。

"頑張る従業員をサポートしたい人事/経営者"と"妊活・不妊治療の当事者"の両方の橋渡し役に私たちがなろう、というのが事業コンセプトなので、二者それぞれの目線に立って書くのがこのnoteです。

今日は"妊活・不妊治療の当事者"、その中でも男性目線での話を自らの体験談をもとに書く、というnoteの後編です。

前編はこちら。

前回は、妻と話し合って「妊活に臨むスタンス」を、「妊活は、2人にとってのチャレンジにしよう」と決めたところでした。今日は実際の治療の話に入っていきます。

精索静脈瘤

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ここまでの検査でわかっているのは、妻の方の身体には目立って妊娠を阻害する要因はないが、私側の精子が明らかに元気がない。正しい形をしている数が少ない。

そこでお医者さんから1つの提案を受けた。「精索静脈瘤」を手術しないかと。「せいさくじょうみゃくりゅう・・・?」となった私。

精索静脈瘤は精巣(睾丸)の静脈にお腹から血液が逆流して、瘤(こぶ)状にふくれるもので、正常男性の15%、男性不妊症の患者さんの40%にみられるとされています。精巣の静脈には左右で違いがあるため、右側より左側にみられることが多いですが、左右両方にあることもあります。精索静脈瘤があると、お腹から逆流した温かい血液が精巣(睾丸)の温度を上昇させ、精子を作る働きに悪影響をおよぼすと考えられていますが、そのメカニズムについてはまだ完全には解明されていません。

https://e-dansei.com/diagnosis/varicocele
(お世話になった恵比寿つじクリニックの記事より引用)

要するにキン○マのクーラー故障とのこと。それを静脈を結紮・切断することでクーラーを正しく機能させて、熱で弱ることない元気な状態の精子が出てきてくれるようにしようと。

それの費用が占めて35万(術前検査等含む)。背に腹は変えられぬ、なけなしの貯金を使って手術をすることにしました。


そうして手術の日

手術の日はあっさりやってきました。当日クリニックに行くと手術室に通されます。

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早速「お手洗い大丈夫ですか?では、下を全部脱いでもらって手術台に寝てお待ちください」と看護師さん。

いくら看護師さんでも若い女性の前で真昼間から公然と下半身露出するのは恥ずかしいものです。赤ちゃんに戻った気分。

そして、「毛」を看護師さんに全剃りされてから先生が登場し手術が始まりました。

手術自体はものの1-2時間ほどで終了し、局部麻酔をしていたので特に痛みもありませんでしたが、男性特有の睾丸を潰されている違和感が5-6時間ほどずっと続きました。

その日は妻がちょっと豪華なご飯を作ってくれて、「手術お疲れさま、ありがとう」と言葉をかけてくれました。

男性はこの一言だけで頑張れる単純な生き物です。



術後3ヶ月の経過観察

精子はだいたい3ヶ月周期でつくられるとのことで、3ヶ月後の経過観察に行きました。

いつものようにクリニックの「採精室」でセルフ採取し、検査をした結果、「ちょっとだけ」精液の所見が回復し、あとはホルモン剤投与で様子を見ようとのことになりました。

手術の効果かどうかはわからないのですが、とりあえず少しそれっぽい結果が出てホッとしたのを覚えています。

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そこからは毎日「補中益気湯」という漢方と、「メコバラミン」というビタミン剤、そして「クロミッド」という薬を毎日飲みました。(1ヶ月分で3万円くらい)

ちなみにこの記事を読んでいる人には、「クロミッド」という名前の薬を聞いたことがある人も多いかもしれません。

これは、女性の不妊治療の際にも排卵誘発薬として使われるもので、男性に使うことで精巣内テストステロンの上昇により精子の産生を促す働きをするそうです。

そうして、自分の精子が少しずつ改善することを祈りながら、毎日薬を飲みつつ、タイミング法をしばらく続けていました。


それでも結果はついてこない

手術をしたことで、ちょっとだけ精液所見が改善した自分は、いわゆる"自然妊娠"を期待していました。

しかしそんな期待とは裏腹に、3ヶ月ほどタイミング法を試しても、妊娠の兆候すらありませんでした。

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私のその時の感情としては、妻に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

街を妻と歩いている時に子連れの夫婦に出会うとそれとなく目をそらしてしまいますし、(病院の新生児科で働く妻の)仕事の話を聞くだけで、後ろめたい感情が湧いてくる・・・そんな日々でした。



ある日、妻が「そろそろ(体外受精に)チャレンジしようか!」と笑顔で言ってきました。申し訳ないと勝手に自責していたのは自分だったようで、妻は至って前向きでした。

本当に仕事も頑張りながら、前向きに食卓を明るくしてくれる妻には頭が上がりません。いつもありがとう。

そうして体外受精をすることにしたのですが、この話は事業の構想にもつながるのでまた後日書こうと思います。


そうしてカップルは強くなる

一連の男性側の治療をやってみて、妻との「関係性」が強くなったように感じます。

私が仕事をしている人事の分野で流行りの言葉に「エンゲージメント」という概念があります。日本語でいうと約束とか婚約という意味で、従業員と企業「双方向の」関係性を表す言葉です。

それになぞらえて言うなら、"夫婦間エンゲージメント"が強くなったと。

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企業と従業員、妻と夫、親と子、友達と自分、人と人の関係性を持って生かされている以上、持ちつ持たれつの関係の中で長い信頼関係が築かれる、ということを身を以て感じた経験でした。



きっと、企業が「不妊治療と仕事の両立支援」をするのもそれに近いのだと思います。企業が従業員のための施策を打つ、従業員がそれに感謝して頑張り、利益につなげる。きれいごとかもしれませんがそんな仕組みを作っていきたい。

前編にも書いた私の事業に対する想いはその時の感情も反映しています。

企業が、従業員のために施策を講じることが、従業員の「はたらく幸せ」と「家族をつくる幸せ」の両立につながり、ひいては企業・国の持続可能な成長に繋がることを目指し、私たちは企業と従業員両方に寄り添って、いたずらに短期的な利益を追うことなく事業を展開していきます。


不妊治療は女性だけのものでも男性だけのものでもない

長くなってしまったので、そろそろ締めたいと思います。

不妊治療の領域で事業をやる、と決めていろんな人に話すと「流行りのフェムテックですね!」と言われるのですが、私はフェムテックと呼ばれるのがあまり好きではありません。

なぜなら、不妊治療は「女性だけ」の問題ではないと身をもって経験したからです。

これは、私が大学時代にダイバーシティマネジメントを研究している時に、「ダイバーシティ(女性活躍)って「女性だけ」の問題ではない」と感じた経験と近い感覚でした。

誤解してもらいたくないのは、「古い日本企業のおっさんのせい」と言う論調も違うと言うことです。

男性と女性、夫と妻、企業と従業員、そんな状況やベクトルの異なる2者の"関係性"を作っていく、よくしていく、そしてみんな幸せを感じられる。

そんな事業にしていきたいと思っています。




(なお、この記事で書いている治療の内容や効果は私個人のものであり、医学的エビデンスに基づいて効果を証明しているものではありません)

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