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給付金は「家庭内での仕事環境」を整えるために使う #給付金をきっかけに

私は田舎でフリーランスをしている。パソコンとインターネット環境があればできる仕事を選んでいるので、田舎暮らしをしながら仕事ができるのだ。

ただ、田舎暮らしでは、何事も「代わりになるものがない」と考えておかなければいけない。病院やスーパーマーケットなど、たとえ相性が悪くても、違う病院や店を選ぶことが難しい場合も多いのだ。また「スタッフがコロナウイルスに感染したことが分かったので、消毒などが済むまで休業します」というケースが、身近にあった。このような「急に決まる休業」があっても、簡単には別の店を探すことができない。

仕事選びでも同じことが言える。もしも「パソコンさえあればできる仕事」が立ち行かなくなった場合、田舎暮らしを続けながら他の職業に就くというのが、なかなか難しい。これまでは「イザとなったら田舎暮らしをやめて、都市部で新しい仕事を探す」という方法もあったかもしれない。でも、コロナがもたらした「都市部にも仕事がない、求人がない」という現象が今後も起こった場合、田舎暮らしをやめればなんとかなる、とは言えないだろう。

さて「特別定額給付金の支給が大都市ほど遅れている」という報道があった。私はマイナンバーカードを使ってオンライン申請をしたのが5月1日の18時ごろで、給付されたのが5月13日だったので「こんなに早くいただけて、ありがたい」と思ったものだ。大阪市内の友人や他県の知人からは「ものすごい速さ!」と驚かれた。人口が少ない地域に住んでいることが、有利に働いたという初めての現象だったように思う。

また、緊急事態宣言が続いていた間、防災無線を使って市長さんの短いスピーチが毎日流れていた。昼と夕方、これまで聞いたこともなかった市長さんの声を、毎日聞いているうちに
「市長さんや市役所の人が、頑張ってくださっているんだなぁ」
「そもそも、防災無線の整備をしてくれた人がいるから、こういう放送が聴けるんだなぁ」
と、ありがたく感じるようにもなった。

これまで「田舎に暮らしながら、都市部のクライアントや都市部で活躍するフリーランスと、どう肩を並べて仕事をしていくか」と、意識は都会に向かっていたのかもしれない。刺激や出会いが多く、さまざまなチャンスが転がっているように感じられる都市部に、意識が向くのは仕方がない。

でも、クライアントも在宅勤務が増え「都市部の本社に誰もいない」という状況に、今後は変わっていくだろう。そうなれば、都市部に意識を向ける必要はなくなる。

また、病院や商業施設などがあっても「感染症にかからない、広げないよう配慮しながら利用しなければならない」「これまで、そこにあった施設が、急に閉鎖されることもあり得る」という意識は、これから持っていなければならない。この点は都市部でも田舎でも同じことだ。むしろ「代わりがない」からこそ、お店や医療機関が閉まった時どうするかを考えながら暮らしていた田舎暮らしの人間のほうが、イザという場合には対処ができるのかもしれない。

これからは、都市部だからこうだ、田舎だからこうだ、という外部環境の違いよりも、家庭環境の違いが仕事に影響を及ぼす割合が増えていくだろう。他の環境で暮らしている人、他の環境で仕事をしている人に意識を向けるよりも、まずは自分の住む家をどう「過ごしやすい空間にするか」「仕事ができる空間にするか」を考えていくことのほうが大事になる。だから私は、「家庭内での仕事環境」を整えるために、給付金を投資しようと思う。

河野陽炎の本とコンサルティング

これまでご依頼いただいた業種
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