見出し画像

キャンプ場で仕事してみたら、こうなった

2月上旬、本来は海外出張が入っていたのですが、コロナウイルスの流行により急遽中止に。出張のために日程を確保していたので、スケジュールはガラガラ。普段どおり、オフィスに出勤するのも能がないなあということで、何か変わったことをやってみようと思ったわけです。

で、思いついたのが「キャンプ場で普通に仕事をしたら、どうなるのか」というテーマ。昨今、リモートワークも一般的になりつつあり、ワーケーションなる言葉も広まっているわけですが、じゃあ、キャンプ場でやってみたらどうなのと、と。ある程度環境が整っているところであればリモートワークできるのは当然として、キャンプ場だとどうなんだろうというのは、個人的にも前から気になっていたんですね。

さらに言うと、じつはとある事情から近いうちに自宅の引っ越しを余儀なくされており、その中で「都心とキャンプ場の二拠点生活」にチャレンジしてみたいと思っているんです。そのテストも兼ねて、という思惑もありました。

(本記事は全文を無料で読むことができますが、もし面白い、気に入ったという方がいらっしゃれば有料購入していただけると嬉しいです。今後の検証活動の原資にしていきます)

どんな働き方をしたのか

まず、ざっくりの流れ。
2月2日から2月4日の午前中までは千葉県酒々井町の某所を拠点にしていました。正式なキャンプ場ではないため、トイレ、水道以外の設備はありません(遠くに電源はある)。なお、2月3日はいったん都内でミーティングがあったので、酒々井と都内を車で往復しています。
2月4日の午後からは、僕が日頃から利用している山梨県道志村のキャンプ場に移動し、2月6日の朝まではここにいました。こちらはキャンプ場ですので、トイレ、水道のほか、電源もありますし、場内にはWiFIも設置されています。

基本的な過ごし方ですが、現地では寝泊まりするためのテントと、仕事をするためのタープを分けて設営しました。で、明るくなったらタープに「出勤」して仕事をし、昼、夜は自炊。暗くなったらテントに戻って、食事をしつつくつろぐ、という流れです。

画像2

仕事の内容ですが、これは極力都内にいるときと同じスタイルを守っています。すなわち、打ち合わせの予定が入ればオンラインでそれに参加し、それ以外の時間帯はメールやメッセンジャーでの連絡や作業、インプットにあてるというもの。
ミーティングの件数は、通常に比べれば多くはありませんでしたが、定例的に行っているものや出張がキャンセルになった後にアポが入ったものもあり、トータルでは10件弱ありました。

結論だけ先に言うと「かなり普通に働ける」という感想でした。以下、いくつかのトピック毎にレポートしたいと思います。

通信環境

先述のとおり、酒々井の拠点には通信環境がありませんので、用意する必要があります。iPhoneのテザリングを使っても良かったんですが、夜にNetflixを見たりするとギガ死する可能性もあるので、今回は別の手段として「どんなときもWiFi」を用意しました。月額3480円で、基本的には通信容量の制限なし。もし気に入らない場合は8日以内なら解約可能ということで、お試しのつもりで契約。結果的には、特に不満も支障もなく使え、酒々井だけでなく道志村でもフルで使えたんで、解約せずに継続して持ち歩いてます(おかげで最近は、移動中に動画を見ることが増えました)。

ミーティング環境

今回、オンラインミーティングのために使用したツールは「Zoom」と「Teams」です。どんなときもWiFiの通信速度は、だいたい安定して10Mbpsくらい出ていたと思いますが、この環境であれば特に問題なく行えました。
このところ、オンラインミーティング用のアプリとしてはZoom一択という流れがあったように思うのですが、Teamsのほうが自然に「会議」をしているという感覚を持ちました。画質や音質、安定性、遅延の少なさという要所で、Zoomを上回っていたように感じます。日進月歩ですね。

寒くない?

冬ですから、寒いは寒いです。
ただし、日常的に冬キャンプをしており、ウェアもダウンコート、ダウンパンツ+ユニクロ「極暖」を着込んでいると、昼間は特に支障なし。なお、日中の気温は酒々井で10度超、道志村で10度弱、という感じです。晴れてましたし、風もなかったので、寒さはシビアな問題にはならなかった。
ただし、絶対的な気温は低いわけで、素手でいると手がかじかみ、キーボードが打ちづらいという状況はありました。
手袋をするわけにもいきませんので、できる対策としては薪ストーブで空間全体を暖めるくらいなんでしょうかね。もっとも、開放的な空間では薪ストーブの効果が出ないだろうし、おこもり空間をつくれば暖まるだろうけど屋外で仕事をしているという醍醐味が失われる。このへんは課題ですね。

電源は?

今回、唯一準備不足だと感じたのが電源です。
今回持ち込んだのは、Ankerのモバイルバッテリー1個(21000mAh)。それに対し、電気を使う器具はiPhone(プライベート用と会社用)、iPad Pro、Macbook Air、Thinkpad(会社用PC)です。もちろんこのすべてをフルに使うことはないんですが。あと、ACアダプターはUSB Ttpe-Cで出力可能なモバイルアダプターを一つ持っていました。
基本的には、夜のうちにACアダプターでモバイルバッテリーを充電しておいて、昼間に各デバイスを充電しながら使っていくんですが、ケーブルもそんなに本数持っているわけではないので、同時に充電できるデバイス数も限られるわけです。
加えて、冬の屋外、バッテリーに対しては厳しい環境なので、PCやスマホを満充電していても消耗は早いし、モバイルバッテリーもそれは同様。充電しても回復は遅い。なので、かなり自転車操業的なやりくりになってしまいました。
理想としては、テント内に置いておけるポータブル電源を用意すべきなんですが、結構な値段がするのと、USB Type-Cに対応している商品が少なく、どうも食指が動かないんですね。こちらも、今後検討すべき課題です。

捗る?

仕事が捗るかどうか。
どうなんでしょう。正直言って、キャンプ場で仕事したからといって、スピードが3倍になるわけでもないので、捗ったとは言いにくいかもしれません。いわゆる単純作業であれば、大差はないと思われます。
ただ、効率的だとは思います。通勤時間はゼロですし、ミーティングのための移動も発生しない。あと「暗くなるまでが仕事時間」という区切りが明確なので(今回はそう決めていた)、短い時間に集中するという効能はありそうです。
もともと、僕がソロキャンプにハマった要因の一つに「良きインプットと内省につながる環境が手に入る」というものがありました。この効果はこのときも実感しており、少しまとまった空き時間ができたときに集中して記事や本を読んだり、それを頭の中で反芻したりという作業は、間違いなく「捗った」と言えます。
つまり、仕事の内容によって向き/不向きがある、ということかなと。

疲れない?

屋外で長時間過ごすというのは、思いの外、疲れるものです。日焼けもしますし、気温の変化に体を適応させるにもエネルギーを使う。そこで仕事をして疲れないの?という疑問はあると思います。
また、夜もテント内で寝袋にくるまり、寒い中で寝るわけで、それで疲労が取れるのか?と感じる人もいるかもしれません。
今回の検証で、疲労に関しては特に意識しませんでした。都内で仕事をしているときに比べて著しい疲労感を覚えることもないし、夜眠れないというもともない。朝起きたときに、疲れが抜けてないと感じることもありませんでした。
むしろ、ふと作業を止めて周囲の自然を眺めたり、夜は焚き火でリラックスしたり、というように、精神的な疲労を回復してくれる環境だと感じるところのほうが大。
ただし、もっと気温が低かったり、風が強かったり、雨が降っていたりすれば、違った感想になることもあり得ますね。また、就寝環境をしっかり準備していればこそ、とも思いますので留意すべきポイントです。

都内との移動

今回の検証では、2月3日の午前中に日比谷に行く必要があり、また2月6日も10時には自宅に戻った後に出勤したいと思っていました。2月3日は酒々井から、2月6日は道志村から、都内に「出勤」したことになります。
休日であれば、酒々井と都心は1時間前後、道志村も1時間半から2時間で移動できます。平日の午前中の場合、どうなるのか。
酒々井からの移動は、大きな問題にはなりませんでした。途中、京葉道路がやや渋滞しましたが、8時に出発して9時には浅草の自宅に到着していました。そこからシャワーを浴びて出勤し、10時のミーティングには余裕で間に合いました。
厳しかったのは道志村からの移動です。中央道〜首都高4号線の渋滞にハマり、3時間以上かかりました。たまの機会ならいいですが、冒頭に書いたようにキャンプ場と都心の二拠点生活をするならば、日常的に行き来をする必要が出てくるわけで、この通勤時間は苦痛です。なんらか工夫が必要ですね。

その他

普段の不規則な生活から比べると、格段に「ちゃんと」します。
自炊しますし、その準備もそんなに難しいことではない。ランチタイムの1時間あれば、パスタ茹でて、その間に材料用意して、食べて、食器洗って、くつろいで、ことくらいできるわけです。
夜も、暗くなったら焚き火に火を付けて、ビール飲みながら食事の準備して、食べて片付けして21時前には暇になっている。そこから酒を飲みつつ映画見たり本読んだり。で、いつもより早く寝たら、朝は日の出とともに自然に起きる。たまらんです。

まとめ

いくつか課題はありましたが、総じてポジティブな印象です。
同僚やチームメンバーからも「特に違和感はない」「思ったより自然にできる」という声をもらっており、大きな問題はないようです。
ただし、上にも書きましたが、今回は(寒さを除く)気象条件に恵まれた部分はあったと思います。雨が降ったら、風が強かったら、違う印象になっていた可能性は高い。「キャンプ場でワーケーション」という世界観を広めるためには、ここを解決する必要があると思います。
具体的には、キャンプ場であったとしても、気象条件が悪いときに避難できるような建造物があったほうがいい。そこにシャワーやキッチン、トイレ等の水回りなどを集めて「コア棟」とし、その周囲にキャンプサイトを用意して「中でも外でも働ける」という選択肢を用意すると、利用者の裾野は広がりそうです。

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?