Dr.STONEをちょっと読み始めて

『Dr.STONE』を読んだ。面白かった。その感想をば。
ストーリーを粗雑に言うと、
突然、世界中が石化した。石化から復活した主人公が科学の力を使って全人類を石化から復活させようと考える。復活させた人と敵対したり、生き残っていた人類の末裔と出会ったりする中で、一旦0になった科学技術を再発展させつつ復活に向かって進んでいく話である。

その中で印象に残った要素を何点か。

この話はまだ完結していない。完結していない範囲であるが、言うまでもなく主人公にとっての目的は、科学の力を使って全人類を石化から救うことである。
単純にとらえると「石化=悪」となる。ただ、この石化は絶対悪としては描かれていない。例えば、石化した部分を石化から解除すると、石化していたその部分の不調は治るという描写がある。たぶん、ただ乗り越えるべきものであればこんな描き方はしない。
また、単行本の最新刊では、瀕死の仲間を生き残らせるために「石化する」描写がある。本来は避けるべき、逃げるべき、忌むべき石化を自ら呼び込んでいる。短期的には”死”に近い状況に陥るが、長期的には回復・復活すると知っている・信じているからできる振る舞いである。
なんかこの、石化に対して、大きくは救うべきものとはとらえているものの、状況によってはうまく使えるという発想は、薬と毒の度合いのように、物事を冷静に見ているように見える。物事の捉え方のフラットさにあこがれる。

主人公は、いろんな人に頼る。最初は体力、武力とか、様々に。そそんな中で明らかに強い相手に対して、うまく交渉できるように持っていく。その試行錯誤は怠らない。

また、割と序盤からメンタリストが味方になる。これは割と興味深い。科学とメンタリストって私のイメージではあまり近しくない。ただ、メンタリストはかなり強力に役に立っている。1人で進んでいくわけでなく、誰かと進み、誰かと誰かと協力したり交渉したりするときにまぎれもなく役立っている。チームで進むことの1つの要素なのかもしれない。
そして、メンタリストがいることで状況は好転する。単純な戦争状態を回避することができる。

この主人公は紛れもなく科学の手法を信じている。また、科学がどんな力につながり、それでどんな風に戦えるのか(どんな価値があるか)まで理解している。そのうえで基本的に交渉をする。
科学への向き合い方とアプローチ、利用法が心地よい。

「科学は全ての者を平等にする」など、すごい今の時世に合っているような言葉が出てくる。なんかそんな意味でも魅力的である。
科学は確かにすごいが、科学のみで独歩しないし協力してより生きているイメージである。

漫画を読んでいると、石化する前の世界を「現代」と呼ぶ。時系列的には完全な未来が原始化している。なんか、この言葉のおかしさもちょっと面白い。時間軸のいびつさを感じる。
また、原始状態から作るという過程を踏むことで、今当たり前に使っているものについて多少要素を知ることができる。

漫画先行で読み始めるのはかなり久しぶりであったが、とても面白い。まとまって、科学の営みを繰り返して目的を目指す姿勢は、かなり心地よい。

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