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パーフェクト一問一答 レビュー

本日もよろしくお願いいたします。
先日発売されましたパーフェクト一問一答のレビューをさせていただきます。
今までの一問一答との違い、併用をしたらいい問題集など忖度なくまとめていきたいと思います。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。


■パーフェクト一問一答の概要

まずはここからいきましょう。
この本の構成は見開き2ページでコンパクトにまとめています。右下には記述式や資料を使った問題が単元ごとにまとめられています。
また、各ジャンルの最後には要点整理をまとめているので、最後の確認をするには使えると思います。
配列ですが、学校の進度に合わせて構成されていますので、学校の進度に合わせて活用していくことができます。
あと、受験研究社独自の網掛けも使ってますので、赤フィルターの活用もやりやすいと思います。

■パーフェクト一問一答の利点

さて、この本の利点ですが、先程も言った通りコンパクトにまとめられているところです。これは軽く確認をするための配慮だと思います。どちらかと言うと、普段の学習、入試に向けた基本確認を中心に行うのに適してます。
解説についてですが、二択問題の誤りの語句については解説を入れてます。これは誤りの論拠を理解するにも使えると思います。

また、同じ受験研究社から出ている『自由自在一問一答』と併用して使うのもいいでしょう。
学習するなら『自由自在一問一答』→『パーフェクト一問一答』という流れで学習を進めてもいいと思います。

あとは、最新の用語にそれなりに対応してる点です。これについては改訂などが入れば随時対応できるので、そこまでの強さではないと思います。

また、歴史分野ではテーマ史も入りました。これは画期的なものとなります。
が、僕が想定していた作りとは全く異なります。これについては拙著の購入特典を見ていただければ、今後の作成でより詳細なテーマ史が仕上がると思います(そのためにはまず、いま出ている拙著が10000部ほど発刊及び売れれば話が上がると思います。また、ニーズが高まれば企画も動きやすいと思います)。

■パーフェクト一問一答の欠点

では、この一問一答の欠点ですが、まずは問題文で入試問題を使ってないという点です。基本から入試対策までを考えているとは思いますが、やはり、素材に入試問題を使っていないのはややマイナス評価となるでしょう。

そして、先程の利点で述べたところがそのまま欠点にもつながります。それは、解説が思った以上に充実していない点です。
これについては『自由自在 社会科用語』(受験研究社)とリンクさせても良かったと思います。ただ、そうなると『自由自在一問一答』と役割が重複してしまうという問題も出てきます。
結果的に、記述対策にあまりなっていなく、単調な知識整理になってしまっています。言い方を変えると、従来の一問一答と大きく変わらない、ということが言えます(ただし、拙著『高校入試 社会が一問一答がしっかりわかる本』(かんき出版)に関してはこの限りではない)。
特に一問一答のレイアウトとなれば、KADOKAWAの一問一答の二番煎じになってると感じました。

■今までの一問一答との比較

これについてですが、先程も言ったように、従来の一問一答と立ち位置は大きく変わりません。言い方を変えると、二番煎じになってる、と言わざるを得ません。
ただし、今までの一問一答との違いとしては、『自由自在』→『パーフェクト』という同出版社ルートができてるのは強みではあります。

近年の傾向である記述式などの対策になってるか、というとそれは残念ながら十分にできないと言っていいです

活用する場合、問題→解答、解答→問題と使わないといけません。使い方を間違えれば、従来の一問一答とあまり変わりません。特に解説が少なすぎると尚更ですが、この本は少しは対応できると思いますが、拙著と比べるとまだ甘い感じがしています。

■では、この本は買いなの?

結論をいうと、拙著(『高校入試 社会が一問一答でしっかりわかる本』)で学習を進めてる人は買う必要は全くありません。ただし、どうしても受験研究社の本でやりたい人は先程のルートに用語集を合わせるといいでしょう。
入試問題でやりたい人は旺文社か拙著でいいと思います。ただし、記述式や思考型(正誤問題も含む)の問題が多い都道府県については拙著一択です。旺文社の一問一答では記述式の対応はかなり難しいです。
基本土台をまとめるなら、『パーフェクト一問一答』を使うよりは『自由自在一問一答』のほうがいいです(塾用教材を使う人はそちらでもよい)。その後、『高校入試 社会が一問一答でしっかりわかる本』を使って記述、正誤対策などを行うのがいいと思います。

なお、テーマ史部分においては助かる生徒もいらっしゃると思いますが、僕が今後テーマ史の一問一答を作成すれば、このテーマ史が霞んでしまうほどのものになります!これは自惚れで言ってるわけではなく、自信を持って対応できる、その準備ができている、と自負しているからです。
すでにある程度の原稿はできています。加えて、今後の問題演習の作成にも対応できますので、ぜひそのような本を出したい出版会社様がいましたらお声がけいただけると幸いです(日本史や歴史総合のお仕事でも歓迎です)。
オンラインでも8月に訪問でも対応できますので、一度問い合わせていただけると幸いです。

■既に誤った内容がある

発刊されて確認しましたが、勘合の項については明らかな誤りです

明との貿易で、倭寇の船と区別するために用いられた右のような合い札を何というか。

『パーフェクト一問一答』P81 14より

なお、説明の都合上、問題の数字は対応する語句に変えています。
突っ込み箇所は太字にした2つです。

まず、勘合は倭寇と区別することは物理的に難しいため、教科書などでも近年はこのような記述は消えてます(育鵬社と自由社は未だに残ってますが…)。この誤った記述は参考書や問題集ではいまだに残ってます。そのうえ、この記述については近年の高校入試では回答例としても採用されていません。学校の定期テストでこれを回答例とするなら、明らかな誤りなので、気をつけてください。
また、勘合は合い札ではなく、かなり大きめのものを折りたたむとP81の写真のような形になるだけなのです。実際のものといわれてるのが下記の写真です。実際はこんなに大きかったといわれてます(東京書籍や山川出版社などの教科書はこちらの勘合を使って解説してます)。

橋本雄研究所HPより

詳しくは僕がまとめた公式note(「倭寇 教科書の記述」)でもまとめてます。

これらについては活用の際に気をつけてください(ただし、拙著についてはこの話はキチンと対応しています)。

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。