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あなたにとっての『夏の日』が素晴らしいものになるように。

夏の限定フレーバーがお客様に届き始め、それぞれの夏をお楽しみいただけたらなと思う今日この頃ですが、今回は僕がこのフレーバーにつけた名前とこのフレーバーについて改めて伝えなければと思い、書いています。

そもそも夏にフレーバーを作るのはまだ2回目で、前回のヒラミレモン(シークワーサーにミントや山椒、オリーブオイルを合わせたフレーバー)と今回の『UN ÉTÉ mango passion』です。

(ヒラミレモン、上には沖縄の塩もかかっています)

夏は僕にとって特別な季節であり、思い入れがとても強い。夏の高校野球から始まり、フランスでの修行の開始も夏。僕の中で夏という季節は様々な物語があり、自分の人生を語る上で欠かせない季節となっています。

(2003年。もう18年前なのやばいな)

そんな夏にどんなおいしさをお届けしたか?『暑い夏にチーズケーキなんて食べないよw』という人もきっといる中で、どうやったら食べてみたいと感じてもらえるか。そんな事を去年の冬くらいから考えていました。自分にとって特別な季節だからこそ、その想いとおいしさをお届けしたいなと。

マンゴーの季節は初夏(と言っても5月くらいから)から夏です。日本で有名な宮崎県産のものは7月くらいがピークとの言われています。品質の高いマンゴーは贈り物にもされているし、高級なフルーツとしての認知も高いと思います。

そんな生で食べてもおいしいマンゴーを使う上で、自分の中で決めた事があります。『チーズケーキとして最高のマンゴーを表現する』です。

これはマンゴーの入っているチーズケーキを作る、ではなく、マンゴー風味のチーズケーキを作る、でもなく、マンゴーを食べているかのようなチーズケーキを作る、という事です。

マンゴーの香りや味わいが活きるように、ライムやパッションフルーツで適度な酸味を持たせ、ココナッツを加える事でマンゴーのミルキーさを引き出しています。半発酵ほうじ茶はそのフローラルでフルーティーな香りからマンゴーのフレッシュさを引き出してくれている。

勿論マンゴーの味だけではなくて、あの独特な濃い食感を表現するために、通常のミスチよりも食感を強めにしています。口の中でねっとりと濃厚に、でも口溶けは良く、余韻も長く。本当においしいです。

勿論ケーキの中にマンゴーの入れて焼けば、マンゴーの味がするかもしれません。でも加熱の途中で中にいるマンゴーのフレッシュさや繊細な香りは変化してしまいます。焼いたケーキの上にマンゴーを乗せれば、フレッシュ感のあるままにマンゴーもチーズケーキも味わえるかもしれません。でもそれはあくまでも乗っているだけで、チーズケーキとしてのマンゴーの表現ができているかは分からない。

だからこそ、ケーキ全体をマンゴーとしてどこまでおいしくできるか?にフォーカスを当て、マンゴーを食べるよりもおいしいくらいの味を目指しました。それはとても分かりにくいかもしれません。マンゴーが乗ってた方がおいしいでしょ!と思う方もいると思うし、その方が見た目にも分かりやすかったかもしれない。

でも僕は、他がやらない領域でおいしさを突き詰めるべきだと思っているし、そうでなければMr. CHEESECAKEでやる意味がないと考えています。お客様にそれが伝わるかは分からないけれど、やはり自分の中でのこだわりは大切にしながらも、お客様に少しでもおいしいものを届けたい。その気持ちを常に持っています。

なぜ『UN ÉTÉ 』なのか?

(僕が過ごしたコートダジュールという南仏の地域があるのですが、そこの海や空の青さを表現したboxも本当にこだわって作っています。食べる前から、少しでも楽しい時間を過ごして頂きたいからこそ、僕たちは全てにこだわりを持っています。)

もっと分かりやすい名前もあったのではないか?もっとストレートな方が伝わるのではないか?社内でも様々な意見がありました。しかし僕は夏というものに思い入れがあり、夏だからこその味を作ったので、今回は情緒的な名前を選びました。

『UN ÉTÉ 』とは、ある夏という意味があって、僕が高校野球に全てをかけていた夏もあれば、フランスで初めて働いていた夏もあり、それぞれの人の中にある夏という思い出が存在していると思っています。

まだコロナ禍の出口は見えておらず気兼ねなく自由に外出できる日は来ていません。今年は甲子園が開催されますが、夏に全てを出しきれなかった高校球児も沢山います。でもだからこそ、家で過ごす時間が少しでも豊かになるような、大切な時間になれるようにしたい。

Mr. CHEESECAKE UN ÉTÉ mango passionを食べた夏が、いつの日か思い返されるような、記憶に残る夏になれたらなと、僕の想いを込めました。

多くのブランドがある中で、分かりやすさはとても大切だと思っています。自分たちのやっている事を少しでも伝えるという意味でも大切です。しかし、分かりやすさを追い求めすぎるのも違うと感じるし、そこにはブランドのスタンスというか意思表明が必要だと思っています。

まだまだ出来る事が沢山あるし、コミニケーションも足りていないのであれですが、こうやって自分の想いを文章にする事で、一人でも多くの人に僕やMr. CHEESECAKEの想いを伝えたい、知ってもらいたい。ただケーキを作っているのではなく、新しい文化や価値観も作りたいと考えています。

まだまだ暑い夏が続くからこそ、少しでも『UN ÉTÉ 』で素敵な夏を過ごしていただけたらなと思います。あなたの夏が記憶に残る素晴らしいものになりますように。

皆様の優しさに救われてます泣