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私と、スポーツと、デザインと、Number。

実家の引っ越しで、沢山の物を捨てた。その中で、雑誌『Number』を捨ててしまったことを、特に後悔している。

私とスポーツの接点は、テレビで見るプロ野球とサッカー、そして自分がやっていた水泳だった。それぞれを糸口に、様々なスポーツ(囲碁・将棋も含めて)に触れる機会が、Numberによってもたらされたと思う。

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△ 捨てる前に記念撮影。この時の自分、思い留まってほしかった...!

Numberを初めて知ったのは、シドニーオリンピックが開かれた2000年。地元の図書館に入ってすぐの雑誌コーナーで、周囲の雑誌とは異なる雰囲気を発していた中田英寿さんの表紙を未だに覚えている。「映像で見るヒデと、写真で見るヒデはまた違って見えるんだなあ」と漠然と思った。

そしてその中田英寿さんが『フリーキックを小野伸二選手とどちらが蹴るか、口じゃんけんで決めた』というニュースが記憶に新しいうちに発売された、中田英寿さんのコーナーキックの表紙の号。ただ単にスポーツを見ることが好きだった私にとって、なんだか深刻そうな表紙に驚いた。同時に、私の中では『Number=ヒデ』になりかけていた。常々、写真の印象が強い。

その後、新庄剛さんのイラストが表紙になった号には度肝を抜かれた。地元の本屋さんで平置きされていた所をスルーできなかった。それまでNumberといえば「熱気と静粛」というイメージだったので、「こんなおちゃらけたこともする雑誌なんだ...」と勝手に親近感を覚えた。

そして「小さいことはいいことかな?」と書かれたスケッチブックを持って立つ大久保嘉人選手が表紙の号も、とても印象に残っている。競技を横断する形で(さらには漫画の世界も含めて)、体の小さなアスリートを特集している号だった。どの選手も、プロスポーツの世界で不利になりやすい小さな身長を、逆に武器にしてしまうほどの努力をされていると知り、純粋に「かっこいい...!」と思った。

個人的に思い出のある号は、お年玉で買った2002年のソルトレイクシティーオリンピック総集編。食い入るように見ていたソルトレイクシティーオリンピックの一瞬一瞬、そして競技や選手の背景に触れ、読んでいるうち泣いていた。背が擦り切れそうになるまで、何度も読み返した。

ダイナミックな写真と、大胆に配置された見出し、熱と静けさのある文章。ただの一般ミーハー読者である私は、紙面に広がるそれぞれのスポーツと人に触れ、その世界に密かに憧れてきたと思う。

その憧れは、思わぬ方へと向かった。

高校生になり「Numberの誌面を作る仕事をしたい!」と思ったのだ。私の卒業文集は、当時のNumberの目次をオマージュしたもの。当時は受験でいっぱいいっぱい、何がどうしてこうなったのか思い出せないのだけど...。Numberの紙面や特集が「デザインを学びたい」と志す、きっかけの1つになっていたのだと思う。

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△ それっぽいタイトルを目指していた...。今見ると適当で、恥ずかしい。

そんな『Number』が1000号を迎えた。私が知った号は506号、2000年に発売。そこから約500号、20年が積み重なっている。

よく読んでいた当時に活躍していた、あるいは若手だったあの選手・この選手が、今や監督、指導者になってその教え子が活躍していたり、解説者として記事を書いていたり、旅人や経営者、チームの特別顧問になっていたりと、なんだか感慨深い。

先に書いた2005年の622号『小さいことはいいことだ!スポーツ小兵列伝。』の記事を見ても、大久保嘉人選手、石川雅規選手、田臥勇太選手は今も現役。森島寛晃さんはセレッソ大阪の社長になっている。山本“KID”徳郁さんが亡くなるなんて、当時思ってもいなかった。

特そして私自身も、小学校高学年から中学、高校、大学、社会人と歳を重ねていることに気づかされる。読むファッション雑誌は入れ替わり立ち替わりだったけれど、『Numuber』は変わらずに自分の中の片隅にあったような気がした。

実家の引っ越しからはしばらく経って、それぞれの号と内容に愛着があったり、当時の思い出も紐づいていたりするものなんだなと、今更ながら気づいた。だからこそ捨てたことを後悔し、バックナンバーを買い集めようとしているのかもしれない。

イラストを描くようになった今は、いつか紙面のお仕事をしてみたい、と密かに思いつつ。これからもNumberの一読者として各号を、競技を通して触れるスポーツと人の新たなページと未来を、楽しみにしています。

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デザインの仕事をしながら、イラストを描いたり、ZINEを作ったりしています。 ✍️🤳https://www.instagram.com/kouchill/

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