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嗚呼 #004

11月5日
憎たらしいほど青い空。そこに白い月が浮かぶ。僕は煙を吹かす。

ニコチンがカラダ中に沁み渡る。血液を巡って全身に行き渡るのがわかる。クラクラしてくる。これが最近の朝イチの日課。これがないと一日が始まらない。スマホを打つ親指が止まらない。「書きたい。兎に角、書きたい。今の想いをぜんぶ書き留めておきたい。」

煙草は依存性がある。ニコチン成分だ。しかし、僕の飲んでいる薬にも依存性がある。煙草は悪くて薬なら良いの?「タバコはやめとき‥‥」知人のカメラマン兼サーファーの中年男のお節介がヤケにウザく思えてくる。

僕の両親の「愛情」はどこか歪んでいるように思う。特に母の愛情に関しては、むしろ息子に対する「依存」としか言いようがない。「どこでも良いから遠くに行きたい、地元から離れたい」、その一心で僕は沖縄に移住した。でも、沖縄の街は僕を受け入れてくれなかった。体調が優れず寝たきりの日々が続き、結局、宮崎に戻ってきた。そして、親が持っていたマンションに住まわせてもらっている今、親の脛を齧っている以上、親に下手に逆らうこともできない。そういう自分に苛立つこともある。親に甘えている自分がいる。早く自立したい。

11月7日
やっとこうやってまた文章を書ける元気が戻ってきた。元気がないと文章を書く行為さえもできない。そして、空が晴れてきた。「空が晴れたから僕の気持ちが晴れてきたのか?それとも僕の気持ちが晴れてきたから空も晴れ間を見せてくれたのか?」時々、空模様と自分の気持ちがリンクすることがある。そういえば、カレー屋を営むカメラ仲間の知人も同じことを言っていたなあ。

11月8日
日曜日の朝は、大通りを走る車が少なくて気持ち良い。一台ずつ通り過ぎる車を見ていると色々で飽きない。ずっと見ていられる。コインランドリーのクルクル回るやつをずっと見ていられるのと同じ現象だ。ティアレグが通る。「あの直線美もカッコいいけど、やっぱり僕はトゥアレグが好き。往年のV6に乗ってみたい。プラットフォームはポルシェ・カイエンと同じ、乗り心地が最高らしい。でも、僕の夢はやっぱりゴルフRヴァリアントを所有することだ。」僕はスマホで中古相場をググった。「中古で300〜400万円ってとこかあ。」やっぱり僕は、今乗っている相棒のゴルフ5が最高に気に入っている。

朝のちょっとした掃除が好きだ。掃除といっても部屋の掃除はあまりしない。電子タバコの芯に付着した煤を落とす。そして、カメラを磨くことは最高に好きだ。まるでお金持ちが猟銃を毎日手入れするのと同じ感覚なのだろう。カメラがすごく汚れている訳でもなく、ちょっとした埃や手垢をブロアーやクロスで拭いていく。一点に集中できるこの作業がとても心地良い。これを仕事に出来たら面白そうだ。「カメラ修理職人」、そんな資格が世の中にあるのかは知らないが、黙々と仕事をこなしていく「職人」という響きに憧れがある。

コンビニではセブンイレブンが好きだ。ただ、夜中のセブンは接客態度の悪い男がいてそいつにお金を払うのが嫌だから、あまり行かないようにしている。それに比べ、日中の店員さんは愛想がいい、気が利く。汁物はちゃんとビニル袋に包んでからレジ袋に入れてくれる。やっぱり女性の気遣いは素晴らしいものがある。

日曜の朝のコンビニは駐車場に車が少ない。僕は喫煙ポールの近くの縁石に座ってタバコを蒸すのが好きだ。煙草と珈琲の組み合わせは癖になる。そして、「丸ごとたくあん」にかぶり付くのが最近の僕の食べ方。YouTubeでぷろたんが漬物を大食いしているのを見て僕もいつかやってみたかったのだ。切られた食材よりも、姿そのままを齧り付くほうが絶対に美味しいと思う。まるで野生に戻った気分になれるから。カレーやポトフだって、刻まれたお洒落なものよりも野菜達がごろっと丸ごと入ったものが好き。そのほうが栄養素もそのまま包まれているように思える。一方、刻まれた野菜たちはグツグツ煮込まれてビタミン類が全部スープに溶け出した「食物繊維だけのカス」にしか思えない。

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