#18 なぜやめられなかったのか

許すとか許さないとかで言えば絶対に「許さない」「許せない」んですよ。
それは間違いないんです。

元号が変わるとき、刑務所内は恩赦で盛り上がったようですが結局何も起きず、変わらぬ毎日。

私は私で、面と向かって喧嘩も出来ず、一方的に怒りをぶつけるだけ…。
喧嘩って、間を開けずに時間をかけずにダイレクトにやり合うから喧嘩になるのであって、こっちの怒りに対しての言い訳や答えが2週間後に手紙で届く、なんて全くナンセンス!
何に怒ってたのかも忘れるっつーの。

手紙をやめた一ヶ月の間、なんと心が軽くなったことか!
ただでさえ毎日同じ相手に手紙を書く→ポストに投函する、という作業を継続するだけでも、かなりな労力です。
週末でも朝イチの集荷に間に合うように、着替えてポストまで行くのが必須だったので、相当負担になっていました。
もちろん、いつでも止められたし、続けていたのは自分の意思だけど、それでもやっぱり、その先には自分にとっての良い事が待っているはず、という想いはありました。はい。
無償の愛なんて、血の繋がりがない限り存在しないと思ってます。はい。
でもね、そんな愛が存在したら素晴らしいな、とも思っているんです。ややこしいです。

自慢の手紙が届かなくなった彼は、塀の中で悶々とします。
いま分かりますが、本当に私以外に彼の事を気に掛けている人間は誰一人いなかったのです。
彼のご両親でさえ、後に「彼が刑務所に入っている間だけが平和」と語っていました。
「彼から幸せをもらったことは一度もない」とも。
切ない話です…。

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