【100円】プラトン『国家』第4巻の要約

哲学する高等遊民です。大学院ではギリシア哲学を主に研究していました。

プラトン『国家』は、史上最大の哲学者プラトンの主著と言われる著作です

非常に重要な作品なのですが、少々長いし難しい。(岩波文庫で上下巻。900頁ほどです)

このnoteでは、『国家』の内容をおよそ10分の1に縮めて、議論だけ丁寧に追っています

こちらのnoteを読めば、『国家』第4巻の議論の内容は9割ほどはカバーできます


全10冊ありますので、マガジンでまとめ買いされることをおすすめします



第1巻の無料部分で、

・『国家』はどんな作品か?
・『国家』を読む意義

などを簡単に説明してます

全10巻あるうちの、第4巻の要約です。私の要約の手間賃として、100円を頂ければ幸いです。

プラトン『国家』の購入を検討される方はこちらからどうぞ↓


プラトン『国家』 第4巻要約 ( )内は要約者の補足・解釈


守護者の幸福(419A-421C)

第3巻の最後に、ソクラテスは守護者へ私有財産の所有禁止と共同生活を義務付けた。これにアデイマントスが、それでは守護者たちは雇われ兵隊と何が違うのか、裕福な暮らしもできず、さっぱり幸福ではないことになると口を挟む。これに対しソクラテスは答える。

「国家を建設するにあたっての目標は、国全体の幸福であり、一階層のひいきではない。目を向けるべきは国家全体であり、そのためには彼らが自分自身の仕事に対してできるだけ優れた専門家であるように、また守護者以外の人々に対しても同じようにしなければならない。
それがよく治められている国家の姿であり、この状態で自然に与えられる幸福にあずかるようにさせるべきである(守護者としてのプライド)。
優れた守護者であるためには私有財産の禁止と共同生活が必要だと証明されたから、守護者にはこの状態での幸福で満足するよう説得・教育しなければならない。
このような国家にこそ正義が見出され、悪く治められている国家に不正が見出されるだろう。」


富と貧乏(421C-423D) 


 納得したアデイマントスにソクラテスは続いて問う。「職人たちに有害な影響を与えるものとは、富と貧乏ではないか。すなわち、いったん富を得たらなおも技術に精を出そうとはせず、前よりも怠け者になってしまう。貧乏は道具やその他、技術の発揮のために必要な環境を整えられず、製品は粗悪になるだろう。このように富も貧乏も製品と職人たち自身を悪化させる。とすれば守護者は富と貧乏が国家に忍び込むのを防がなければならない。富は贅沢と怠惰を生み、貧乏は卑しさと劣悪な職人根性を生み出す。」

アデイマントスはこの意見に納得しながらも疑問を呈す。「(富を追い払っては国家にお金がないことになるが、)それでは戦争が起こったときにどう戦えばいいのか、負けてしまうのではないか。」ソクラテスは2つの国と同時に戦い、さらに一方と同盟を組めば困難ではないと言う。戦争の目的は財貨の獲得である(2巻373D-E)。ところがわれわれの国家に富は不用であるから、われわれと共に戦って敵国の財貨を手に入れてはどうか、と一方の国に交渉すれば首尾良くいかないはずがない。

しかしそうして一国に財貨が集まるのは危険と心配するアデイマントスをソクラテスはおめでたいねと笑う(422E)。「そのような大国は一つの国家と呼ぶに値せず、「たくさんの国々」の集まりなのである。なぜならその大国の中には貧乏な国(州地区?)もあれば金持ちの国が数多く含まれるからであり、また富と貧乏が国家の分裂を生み出す。しからば大国を一つの国として外交するのではなく、多くの国々を相手にするつもりで外交し、(金持ちの国との交渉で得た財貨を貧乏の国に与えていけば、)われわれの国はつねに多くの味方と少数の敵を持つことになる(423A)。このような外交により、財貨を持たずとも多くの味方を持つ最大の国家となろう。」

これにより国家に必要なだけの領土もわかる。守護者たちは国家の分裂を防ぐため、領土を必要な分のうちの最大限増大させ、また余分に増大させないように監督しなければならない。また国民たちがそれぞれの自然本性に適した仕事に就くよう監督することで、国民たちを真に一人の人間と成長させ、ひいては国家全体も自然に一つの国になることができる。

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