【100円】プラトン『国家』第3巻の要約

哲学する高等遊民です。大学院ではギリシア哲学を主に研究していました。

プラトン『国家』は、史上最大の哲学者プラトンの主著と言われる著作です

非常に重要な作品なのですが、少々長いし難しい。(岩波文庫で上下巻。900頁ほどです)

このnoteでは、『国家』の内容をおよそ10分の1に縮めて、議論だけ丁寧に追っています

こちらのnoteを読めば、『国家』第3巻の議論の内容は9割ほどはカバーできます


単発よりも、マガジンでまとめ買いされることをおすすめします


第1巻の無料部分で、

・『国家』はどんな作品か?
・『国家』を読む意義

などを簡単に説明してます

全10巻あるうちの、第3巻の要約です。私の要約の手間賃として、100円を頂ければ幸いです。

プラトン『国家』の購入を検討される方はこちらからどうぞ↓


プラトン『国家』 第3巻要約

 「第二巻」において、正義そのものを洞察するために、「贅沢国家」の考察から、「国々にとって公私いずれの面でも害悪が生じるときの最大の原因のもの、そのものから戦争は発生する」(373E)と述べられ、国家の守護者の仕事の重要性、それに相応しい自然的素質、さらには教育の問題へと考察が進んだ。

とりわけ、アデイマントスとのやりとりから、守護者の教育の問題は「正義と不正がどのような仕方で国家に生じてくるか」を洞察することに大いに役立つとされ、身体を育む体育よりも、音楽、文芸などに象徴される魂に関わる教育、言い換えればことばを用いた物語による教育のあり方の先行性、及び重要性が説かれる。

ソクラテスと対話者のアデイマントスは「作家たちがそれに従って物語をつくるべき、そしてそれに外れた物語を創作は許してはならないような、そういう規範を知るのが役目」であるところの「国家の建設者」なのであり(329A)、その定めた規範に従って作家に物語を書かせ、守護者の父母を説得して、幼少からそれを語り聞かせなければならない。

かくして、この規範に背いて勝手に、ホメロスであれ誰であれ、詩人たちに物語を書かせ、それを聴かせてはならないことが宣言される。 

 さて、問題は、その規範の内容であるが、前提として神々や英雄を劣悪なものとして描いてはならないことが語られ、差し当たり神のあり方に議論の的が絞られる。

第一に、神々は、彼らが神である限りにおいて決して争わないこと(378B)、
第二に、神は「すべての善きものの原因」であり、悪しきもののそれではないこと(379C)、
第三に、「神は可能な限り最も美しくすぐれているからには、常に単一のあり方を保って自分自身の姿のうちにとどまる」(381C)(国家においても単一が目指される)こと、

こうした規範が示され、国家の守護者は「神々を畏敬する者となり、人間として可能な限り神々と似たものとなるべき」ことが示される。なぜならば、神々も人間も、「魂の内なる状態の構造であり、後から生じる影」であるところの「言葉における偽り」に対する「ほんとうの偽り」、つまり、「真実に関して魂において偽り、偽りの状態にあり、かくて無知であること」を憎むものであるのだから(381A-C)。 

「第三巻」は、「第二巻」の以上の議論を受けて、守護者の教育の問題に関して、守護者に幼少から語り聞かせるべき物語の内容を追求するところから始まる。 

ここから先は

3,092字
この記事のみ ¥ 100

最後まで読んでくださって謝! よかったら ・いいね(スキ) ・twitter等への共有 ・サポート をお願いします。 【一番人気】 https://note.com/kotoyumin/n/n699b2fe7e66b ゼロから哲学をしっかり学ぶ方法を丁寧に書きました。