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ご質問にお答えします!『限られた条件下で革新的な脚本を書くコツは?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

こんなご時世に...

ご質問ありがとうございます。

まずは、質問者さん以外のみなさんに補足します。
2020年春現在、コロナ禍により、通常の方式でのドラマ、映画の撮影は不可能になっています。
ですが、この状況でも、オンラインミーティングシステムや出演者による”自撮り”を活用することで、下のリンク先のような新たな作品も生み出されています。


私も、リモートで制作された作品はすでにいくつか観ています。
それらが画一的だとはまったく思いませんが、質問者さんはそのように感じていて、「自分は革新的なリモートドラマを書きたい」と思われているということですよね。
それならば、まず「既存作品のどんな点が画一的だと感じるのか」を具体的に言語化し、認識することが第一歩ではないでしょうか。

すで分析済みなのかもしれませんが、仮に質問者さんが「何となく画一化されているように感じる」と思っているだけならば、それは「観る側の人」の「感想」であって、「作り手」の「意見」ではありません。
まずは画一的だと感じるポイントを具体的に認識し、次に、それらを”自分にとっての禁じ手”とした上でアイデアを練る、というのが第二段階になるでしょう。

ここまでのことを質問者さんが実践すると、「第一段階で認識したポイントを禁じ手にしたら、何もつくれない」という結論に至る可能性もあります。
質問者さんが「何となく画一的な気がする」と感じていたポイントが、実は「必然的にそうせざるを得ない、必須条件だった」と気づくかもしれない、ということです。
この場合、「革新的な作品」を目指している質問者さんは、別の切り口で既存作品との差別化を図らなくてはなりません。

さて、ここから先の「コツ」や「発想法」はありません。
「革新的な作品は、必死で知恵を絞って考えることからしか生まれない」というのが私の考えです。
これは、リモートドラマであろうと一般的なドラマ、映画であろうと同じです。

ミステリーの書き方』という本(日本推理作家協会編著)に、東野圭吾さんがこんなことを書かれています。

多くのミステリー作家は、どうやって作品を生みだしているのか。
一言でいえば、苦労して、です。

ネット上には、「仕事の生産性を上げるハック」のような情報があふれています。
ですが、「面白い作品を生みだすこと」は、”ハック”の類を使って効率よく行えるようなことでは断じてありません。

上の東野圭吾さんの言葉は、そのことを端的に、且つ明確に表していると思います。

質問者さんがご覧になった作品も、作り手のみなさんが脳みそに汗をかくほど考え、必死で生み出したのだろうと私は思います。
この記事を投稿している2020年5月6日の時点で、すでにリモートドラマを完成させ、配信、放送している人たちの発想力、創造性、実行力は、並大抵のものではありません。
質問者さんも、その人たちと競えるレベルの発想力、創造性、実行力を身に付け、「観る側の人」から「作り手」になって革新的な作品を書きたいと考えるならば、まずは「作り手の視点」で既存の作品を見直すことが第一歩だと私は思います。

※2020/7/28追記
実は、この投稿をした頃から私もリモートドラマの脚本を書いていました。
YouTubeで配信中です。


これからもお互いがんばりましょう!

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