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ご質問にお答えします!『シナリオコンクールの審査に関して』

脚本家志望の方からこちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。


【回答にあたってご理解いただきたい前提】

今回のご質問へのお返事は、
「私はシナリオコンクールの主催者ではないので、何もお答えできません」
と済ませることもできるのですが、それは忍びないな、という気持ちです。
というのも、質問者さんがすでに10作品をコンクールに応募されているからです。
私もかつてはコンクール応募者でしたので、これが容易なことでないのは分かりますし、1作品ごとに落選の理由を返してもらえるわけでもない中で応募を続けていくと、さまざまな不安が募ってくるだろうと思います。
そのお気持ちを察した上で、「私がお答えしても差し支えない」と判断する範囲内で精いっぱいお答えしたいと思います。

【中川の経験からお伝えできること】

プロの脚本家をしていると、シナリオコンクールの審査に協力を依頼される場合があります。
コンクール名や詳細は伏せますが、私も以前、依頼に応じて審査に関わったことがあります。
そのコンクールでは、主催者側から「制作費がかかりそうな作品は落としてください」といった指定は一切受けませんでした。
制作費の問題に限らず、特定の題材を扱ったものやジャンルを優先的に選んだり、落としたりするように、という類のことは全く言われませんでした。


【中川の個人的見解】

以下は、あくまで私の個人的な見解です
その点をご理解の上、お読みください。

主催者側の気持ちになって想像してみてください。
コンクール開催には多大なコストがかかります。
それでも開催し続ける目的は何なのでしょうか?
今後ドラマ界、映画界に良い脚本を多く提供し、貢献してくれる人材を探しているということなのだろうと私は思います。
「何か面白そうなネタ出してよ」というのが究極の目的ではなく、見つけたいのはあくまでも「人」であり、その手段として、
「作品を1本書き上げて、応募してください。その作品を通して、あなたがドラマ界、映画界の未来を担ってくれそうな人材かどうかを判断します」
ということなのだろうと考えます。

その前提で考えると、「制作費がかかりそうな作品を応募してきた人は、門前払いする」といった”裏ルール”を設けるのは、かなりの悪手です。
良い人材を見落とすリスクが大きすぎるので、「裏ルールを設けるのは現実的でなく、信憑性もない」と私は感じます。
同じ前提に立って、視点を応募者側に切り替えると、応募作は「自分の実力、個性を最も発揮できている作品」であるべきではないでしょうか。
「予算がかかる作品は落とされるらしいという噂があるから、そういうのは避けよう」などと言っている場合ではない、と私は思います。
公式に発表されている応募の規定の範囲内で、とにかく自分のベストパフォーマンスを見せるべきだ、というのが私の考えです。


【中川が、自分のコンクール応募経験から感じたこと】

因みに、私のコンクール応募時代を振り返ると、
「1次審査もろくに通らない状態」→「1次、2次ぐらいまでは通る」→「最終選考や、それに近いところまで残る」
という風に変化していきました。
(残念ながら入賞には至らないまま、コンクール以外の経路でデビューしています。)

この過程で私は、「シナリオ教室の仲間等、身近な人の評価とコンクールの結果は比例している」と感じていました。
身近な人に応募作を読んでもらい、「前より面白くなったね」「うまくなったんじゃない?」と言ってもらえることが増えるにつれて、コンクールの結果も良くなっていった、ということです。

この経験を基に、私はコンクールの審査結果は信頼できるものだと感じています。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


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