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無限道

香港3割、東京7割という生活なので、香港映画を観ていて、馴染みのある場所や行ったことのある所が出て来るとテンションが上がります。
例えば大好きな『インファナル・アフェアシリーズに登場する中環(セントラル)駅のタクシー乗り場や、ステーキハウス『Ruth Chris Steak House』。(今日のタイトルの『無限道』は、『インファナル・アフェア』の原題です。)
シリーズ1作目の冒頭に出て来る「固めの杯」のシーンは萬佛寺というお寺で撮影されています。リンク先の通り、ここは香港版の探偵ナイトスクープがあったら確実に紹介されているであろう珍スポットなので、そういうのが好きな方は、香港旅行の際にぜひ立ち寄ってみてください。

インファナル・アフェアはトニー・レオン演じる「マフィアに潜入した警官」と、アンディー・ラウ演じる「警察に潜入したマフィア」のストーリー。
息詰まる展開や映像のカッコよさなど、魅力満載の作品ですが、私が特に好きなのは、潜入捜査官ヤンの苦悩の描写。
ヤンは決してマフィアに正体を見破られてはいけないため、彼が潜入捜査を行っているということを知る人物は、警察のたった一人の上司だけ。
その上司が殺害され、ヤンは、真の自分の姿を証明してくれる人間を失ってしまいます。
この、「自分という存在が大きな力にかき消されてしまう恐怖」に、私は自分でも驚くぐらい感情移入してしまいました。

香港ノワールの登場人物の潜入捜査官と、平凡な日常を過ごしている私の間に共通点なんてあるわけない。
……かと、思いきや、この辺りの描写が、我がことのように恐ろしいんですよね。

例えば組織の中で働いていたりすると、色んな事情や都合のために、自分の思いや考えが、呆気なくはねのけられたり、そんなものははじめから存在すらしていなかったように扱われてしまうこともある。
私自身の、過去のそういう経験が呼び覚まされてしまったんですよね。
自分という存在の軽さ、小ささ、弱さ、はかなさを思い知らされる苦しみは、ヤンも私も同じなんじゃないか……という気がしたんです。

こういう感覚を味あわせてくれる映画やドラマが私は好き。
たとえ設定は突飛でも、心の部分の描き方が繊細で、観る人が登場人物の心情に寄り添える作品。
自分の作品もそうありたいなと思っています。

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