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ご質問にお答えします!『就職するかどうか迷っています』

脚本家志望の方からこちらの質問をいただきました。

こんにちは。_...

ご質問、ありがとうございます。
まず、「ありきたりだけれど、正しいこと」を言いますが、借金があるなら早く返したほうがいいです。
今後デビューのチャンスがめぐってきて、「生活費稼ぎの仕事を辞めるなり、制限するなりして、原稿に集中したい!」となった時に、借金があるとそれが足かせになります。
めでたく原稿が採用されてデビューできたとしても、一般に脚本は、書き終えてから報酬が入ってくるまでのスパンが長いので、なるべく貯えを持っておくことをお勧めしたいです。
借金を抱えている場合ではありません。
今、内定が出ている会社で働くことで収入が増え、借金返済が早まるのでしたら、そうした方がいいと私は思います。


次に、違う角度からお答えすると、質問者さんが「何がベストなのか決めかねている」のは、後になって「あっちの道を選んでおけば良かった」と後悔したくないからですよね。
今、質問者さんの目の前にある道は二つ。

A)現状のままフリーターを続け、インプット、アウトプットの時間を確保しつつ脚本家を目指す。

B)インプット、アウトプットの時間がこれまでより減るのを覚悟した上でCM制作会社に就職し、脚本家を目指す活動も続ける。

身も蓋もないことを言うようですが、どちらを選んでも「あっちを選んでおけば良かった」と思う瞬間は、やって来るだろうと思います。
というのも、人は誰でも、現状に満足できていない時、不安な時には「こっちじゃなくて、あっちを選んでおけば良かった」と思ってしまうからです。

私も含めプロの脚本家のほとんどは、脚本を書くことで生計が立てられるようになるまでの過程で、紆余曲折、試行錯誤、七転八倒を繰り返しています。
質問者さんがA)かB)のどちらかの道を選んだ後、
名作を書いた! → コンクールに入賞! → テレビドラマや映画でドドーンとデビュー → その後も順風満帆!
と、トントン拍子に事が運べば「あっちを選んでおけば……」なんてことは思わないでしょう。
ですが、現実問題として「トントン拍子で脚本家になった人」は、ほぼいないと思います。

「脚本家への道」の途中で絶望的な気持ちになれば、その瞬間は誰しも「あっちを選んでおけば……」と、自分の選択を後悔するでしょう。
と同時に、事態が好転すれば(例えばデビューの大チャンスがめぐって来たりすれば)一転して「やっぱりこっちが正しかった!」と、考えがガラリと変わるはずです。
「後悔するかどうか?」というのは、この程度の、とてもあやふやなことだと私は考えています。

つまりは「今、A)とB)のどちらの道を選ぶのか?」よりも、「どちらを選んだにせよ、その後も状況を好転させようとする気概を持ち続け、筆力を上げるための研鑽を続けられるか?」の方が重要、というのが私の考えです。
……とは言え、上記の通り、質問者さんの場合は借金返済が急務だと思うので、B)が現実的でしょうね。

それと、B)を選んだ場合にインプット、アウトプットの時間が減ることを懸念されていますが、私は、過去に多くの脚本家志望の人たちと接してきた経験から、「書けない理由として”時間がないこと”を挙げる人の大半は、たとえ時間があっても書かない」と思っています。
B)を選べば、仕事を通して学べることも数多くあるでしょう。
質問者さんは、仕事で学んだことを「アウトプットに活かしたい! もっと書きたい!」と思うのか、あるいは「時間がないから書けない」と思うだけなのか……。
B)を選ぶことで、質問者さんにとって「脚本を書くこと」がどれだけ大切なのかを測ることも出来そうな気がします。

これからもお互いがんばりましょう!

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