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ご質問にお答えします!『シナリオを読む、本を読む、映画を観るのうち、どれが重要?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます!
質問者さんが挙げられた三つのなかでは、「シナリオを読む」と「映画を観る」の優先度が高いでしょうね。
二つの間で優劣は決められませんが、「同一作品のシナリオも読み、映像も観る」ということができれば、理想的ではないかと思います。
シナリオを読むことは「その作品を書いた人の視点に近づくこと」だと思いますし、映像を観ることで「観客の側の視点」が体験できるからです。
両方を経験することが、「脚本をどう書くと、観客からどんな反応を引き起こせるのか?」を体得する助けになると私は考えます。

とは言え、シナリオが公開されている作品は限られていますし、ソフト化がされておらず、映像を観ることが難しい作品もあります。
すべての作品において「シナリオを読み、映像を観る」とはいかないわけですが、どちらか一方のみでも、もちろん得るものはあります。
ただ、注意すべきは「ひたすらたくさん読み、たくさん観れば良いわけではない」ということだと思います。

私がこちらのマガジンでレビューを投稿している『ストーリー』(ロバート・マッキー著)という本のなかに、このようなことが書かれています。

作曲を夢見る人が、はたしてこんなことをつぶやくだろうか――「交響曲はたくさん聴いた……ピアノも弾ける……よし、今週末に一曲作ってみよう」。そんなことはありえない。だが、脚本となると、まさにこんなふうに書きはじめる輩が多い――「映画は傑作も駄作もたくさん観た……国語の成績はAだったな……そろそろ休暇が始まるし……」。
作曲がしたければ、音楽学校へ進んで理論と実践を学び、交響曲の勉強に力を入れるだろう。何年も努力を積み、知識と創造力を融合させ、自分を奮い立たせ、それからようやく作曲に乗り出す。(P26より引用)

音楽で言えば「たくさん聴いていること」、映画で言えば「たくさん観ていること(たくさん脚本を読んでいること)」は、「自ら創れること」には直結しません。
どんなに多くの映画を観ている人でも、書き手としての経験はゼロからのスタートとなります。

映画を観るにせよ、シナリオを読むにせよ、「そこから何を、どの程度学べるか」は、「自分の作品を書き続けているかどうか」によって大きく違ってきます。
自分の作品を書き続けていれば必ず、思うように書けないもどかしさを味わい、「どうすれば、もっと登場人物を魅力的に描けるのだろう?」「どうすれば、もっとテンポよくストーリーを展開できるのだろう?」といった具体的な疑問を抱くことになります。
その上でプロの脚本を読み、映画を観ることで、「自分の作品との差異=学ぶべきポイント」が自ずと見えてくるはずです。

シナリオを読むことも、映画を観ることも、「自分の作品を書くこと」と並行して行うことで、その効果が何倍にもなるということを、ぜひ心に留めておいてください。


これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。


これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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