別人

詩を書く時 話し言葉はなんの助けにもならない
ノートに一つ文を書いては 中断し
正しい言葉を探したり 構成し直す
ほとんどの文を やり直す
骨が折れるが 最初からやり直す
満足するまで狂ったように 書き直す
自身の考え方自体さえも 丸ごと変えたりする
毎日 間違いばかり目につき 屈辱的な気分
私はいっそ 別の人間になりたいと考えている 
自分のことを考えると嫌悪感を覚えてしまうから

私はあまりにも 不完全すぎる
過去の人生を いつも思い出すたびに 
別バージョンだったら良かったのにと思う 
だから 自分自身のもう一つの
別のバージョンを 産み出したくなった
そして本当の自分の存在は この世から
少しずつ 消し去りたい
持ち物も最終的には 全て捨ててしまいたい
海で拾った貝 色とりどりのボタン
集めてきたガラクタみたいなもの 私を


お読みいただきありがとうございます。 このうえなく貴重なサポートに、書くことの楽しみを 続けさせていただけることに、厚くお礼申し上げます。 このようにささやかな詩をつくることができるのは、 ひとえに皆さまのお力添えあればこそでございます。