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葬儀①

四年の闘病生活を経て33才で旅立ったダンナ君。

病院で息を引き取った直後の、続きの話です。


ダンナ君は、一人多重録音の動画をギリギリまで撮り続けていた。

体調の波の合間をぬって、「これが最後の動画や、ここまで完成したら終わり」、、「いやもうちょっといけるんならこれも録ろう」、「サイレントベースを録り忘れてた、今のうちならまだ間に合うかも、、」とほんとにギリギリまで。

闘病の初期、末端神経障害で指先が痺れるとウッドベースに柔らかめの弦を張り直し、難聴がひどい時期は音の編集時に私の耳を貸し、大腿骨頭壊死症で足が動かなくなりドラムに無理がでてくると、奏法を変え、次はシンプルにしても違和感のないアレンジにし、最後はドラムレスにして他の楽器を使い。。

その動画を撮り溜めてYouTubeに上げて非公開の状態にしていたものを、自分の死後に番号順に公開していくように私に頼んであった。


それと、自分の死後にスマホに残した私宛のメモを「すぐ」見て、と念を押していた。

ダンナ君が息を引き取った後の病室で、かけつけた義母と無宗教葬だ家族葬だ、あーだこーだとやっている時に、おそらく何か本人の希望が書いてあるだろうと思い、いざ開いてみた。

そこには私宛のメッセージと、自分のSNS上にあげて欲しい文面が書かれていた。


以下、××× の部分には私が詳細を入れてダンナ君のSNSに本人のIDでアップした。
※YouTubeのページはここでは一応伏せておきました。

…………………


死んでしまいました。
振り返れば出会いに恵まれた人生でしたが、
今はそんな皆様が自分の事を忘れてしまう様に願っています。
こんな形で済まそうとする臆病者をお許しください。
今までお世話になりました。

お通夜お葬式もやります…

××××

是非顔だけでも見に来てください。
そして可能な方はお金をピラっと持ってきてください。

生前にこんなものを上げてました。
は新作です。
上げた本人は死んでますッ☆…
https://www.youtube.com〜〜


………………


…お通夜お葬式もやるんかい。。


かくして、このご時世なので簡略化するつもりでいた葬儀を、大々的にやる方向に舵を取りなおした。






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