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豊玉毘賣との出会い 海幸山幸9 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。百七二

海神のお宮の姫 豊玉毘賣(とよたまびめ)

おはようございます。今日は朝から「ことの葉綴り。」のひとときです。

兄の海幸彦の大事な釣り針を失くした山幸彦は、
海の老賢人・塩土老翁神の助けを借りて
海の神・綿津見神(わたつみのかみ)の宮殿へとやってきました

宮殿の泉のほとりの桂の木の上で待っていると、
綿津見神(わたつみのかみ)の娘神が見つけてくださるはずです。

綿津見神(わかつみのかみ)の娘である豊玉毘賣(とよたまびめ)の侍女が泉の水を汲みに現れました。

すまないが、その清らかな泉の水をいただきたいのです

侍女は山幸彦に水を汲んで差し出しました。

すると山幸彦は、首飾りの玉の緒をほどいて、その勾玉を口に含むと、唾とともに器へと吐き出して、侍女に戻したのです!

玉を器から取り出すことができるのは
この宮殿の姫神だけなのだよ

侍女は、大慌てで、宮殿の中へと入っていき、
豊玉毘賣(とよたまひめ)に、器を差し出して奉りました。

豊玉毘賣(とよたまひめ)さまは、器とその底にある玉をご覧になりながら侍女に問いかけます。

宮殿の門の外に、誰かいるのですか?

はい。豊玉毘賣さま。
泉のほとりの桂の木の上に、いらっしゃいます。
それ、それは、とても見目麗しく素敵な男の方です。
私たちの海神よりも、さらに貴い神のようでした。
とってもカッコいい男神さまです!!

それで、その神が、泉の水をくださいと仰っいましたので、
お水を差し上げましたところ、お飲みにならずに、
首飾りの玉を、この中にお吐きになりました。
でも、この玉は、器の底から離れず取れません。
そして、「これを取り出せるのは、姫さまだけだ」と、仰るので、急ぎ、姫様のもとに持ってきた次第です。


いったい、どなたなのかしら?

話を聞いていた豊玉毘賣も、相手が誰だか見当がつきません。

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運命の恋 一目惚れ

では、私が行ってみましょう。

豊玉毘賣さまは、宮殿の門を出て、
桂の木の上の山幸彦さまをご覧になりました。

その瞬間、目を大きく潤ませて息を飲まれて、
その場に立ち尽くされのです。

まあ、なんて素敵なお方でしょう……


胸がドキドキ高鳴ってきます。

山幸彦さまも、宮殿から出てきた
豊玉毘賣さまの美しさに目を奪われています

お互いの視線が絡み合い、
それぞれの心に、恋の炎が灯った瞬間でした。

視線をはずすことができません。

出逢った瞬間に、恋に堕ちたのです……。

神話の物語の出会いも、情熱的出会いが多いですよね(^^)
須佐之男命と櫛名田比賣さまとの出会い

大国主命さまと、須勢理比賣さまとの出会い

大国主神さまは、とても恋多き神様で、出会いも多かったですね。

山幸彦さまの、父の邇邇芸命さまも、
母である木花佐久夜毘賣さまも、一目惚れ
でした。


恋の物語として、読んでみるものおもしろいですね。

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豊玉毘賣さまの選択

さて、山幸彦さまと、海神の娘の豊玉毘賣さまへ
話を戻しましょう。

海の宮殿の外、恋の火花が散っています

言葉はまだどちらも発していません

山幸彦と豊玉毘賣さまは、
熱視線を交わしているだけです。

でも、なぜか、目と目で見つめあうだけで、
お互いが感じていることはわかっていました。

今すぐにでも、まぐわいたい……。

その熱い恋の熱気が、あたりを包み込みます。

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このまま結ばれるのか!

と、思ったときです。

豊玉毘賣さまは、「はっ」と我に返られたかのようになり、
身を翻すと、海の宮殿の中へと戻っていかれた
のでした。

山幸彦さまは、宮殿の門のほとりの桂の木に、一人、残されたのでした。

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―次回へ。

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