見出し画像

天・夜・海を三貴神に委ねた父・伊邪那岐命 ことの葉綴り。其の九十

伊邪那岐命様 三貴神へ世代交代 

こんにちは。午前の仕事を終えて「ことの葉綴り。」の午後のひと時です。

伊邪那岐命さまが、祓い清め抜かれた末に、
貴い三柱の神さまがお生まれになりました。

日の女神さまである天照大御神(あまてらすおほみかみ)さま
夜を照らす月の神さま月讀命さま。
そして勇猛迅速な建速須佐之男(たけはやすさの)命さま。

「国生み、神生みと、私はこれまで多くの神々、御子を産んできたけれど、最後に、これほど貴い神の子を授けていただるとは」

最愛の妻ももういませんが
それでも、高天原の天つ神諸々から委ねられた、
“修理固成”(しゅりこせい)
漂える国を、つくりおさめかためなせという使命を
十分にベストを尽くして果たされた
のです。

その最後に誕生された三柱の神さま。
私のやるべきことはやった……。
これからは、この貴い神子たちに、委ねよう

と、ご自身の使命を継承することをお決めになりました。
今でいう世代交代です。

父の伊邪那岐命さまは、この尊い貴い御子を、嬉しそうに感慨深気にご覧になられます。

画像1

光華明彩 天照大御神さま

伊邪那岐命さまは、ご自身の首飾りの美しく輝く玉を手に取られて、その玉の緒をゆらゆらと揺らされました。
玉飾りのまばゆい勾玉と勾玉が触れあって、美しい音が鳴り響きます
この玉の緒を揺り鳴らしながら
キラキラと光り輝くお日さまのように美しい天照大御神さまにこう仰せになったのです。

『日本書紀』では、そのご誕生は、「光華明彩」ひかりうるわしく、世界中を照り通らせる子だったとあります。
どれほどのまばゆさなのでしょう。
まさに太陽の姫神さまですね。


「あなたには、あまてらすおおみかみという名前をさずけよう。
あなたは、これから高天原へと行って、
天上から、この世界中を、葦原中つ国を
あまねく照らす
太陽の光の女神となり、
この世界の昼の世界、
そして、高天原をお治めしなさい。いいですね」

そこから、この伊邪那岐命さまの、お首にかけていた球の名は
御倉板擧之神(みくらたなのかみ)、倉の上に安置する神さまといいます。
これは、親から子へ、愛する姫神へと継承された
伊邪那岐命さまの、御霊のこもった依り代でもあるのです。

伊邪那岐命さまは、美しい玉飾りを、愛しい娘の天照大御神の首へとかけてあげました。
すると、その眩さ・輝きはさらに光を増しました。

画像2

天地初めて發けし時
高天原に成りませる
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)の御心を受け継いで、
葦原中つ国をつくり固めてきた伊邪那岐命さま

この継承は、日の女神さまである
天照大御神さまへと
受け渡されました。

そして、天照大御神さまは、神々のいらっしゃる
天の高天原へと昇っていかれました

神々のトップとして、神々のいる高天原を
治めるにふさわしい神さま。
神話の中でも、最高至上神とされています。

伊勢の朝日IMG_6842


月の満ち欠けを読む 月読命さま

そして、次に伊邪那岐命さまは
月のようにさやけき輝きを放つ月読命さまへは、
「あなには、つくよみのみことをいう名前を授けよう。
お姉さまの天照大御神とともに、高天原へと昇り、
夜の世界、そして食について治めなさい」

月読命(つくよみのみこと)さまは、夜の闇の、すべてのものを包み隠してしまう夜の世界を統べることになりました。

月読命さまは、また月夜見尊、月弓尊とも書きます。
伊邪那岐命さまがお名づけになったお名前の字のごとく
月を読む、月の満ち欠けを支配される神さまです。
古来、月の欠けていくのは、死を意味し、
満ちていく月は、再生ととらえられていました。
月の満ち欠けは、稲作などの農耕とも深い関係がありました。

画像4


禊祓から三貴神が生まれた意味

そして、元気そうな須佐之男命さまには。
「あなたは、たいそう勇猛迅速ではないか。すさのおのみことという名を授けよう。風や雨、そして波がたつ海原を治めなさい」
と、仰られました。

画像5


妻の伊邪那美命さまと共に、高天原から
葦原中つ国に降りられてからのことを振り返り
貴い三柱の神子たちに、
それぞれの神さまの特徴を活かした使命を託されて
伊邪那岐命さまは、どんなお気持ちだったのでしょうね。

自分の役割は、これで終わった。
あとは、禊祓いをした末に生まれた
あの貴い子どもたちに委ねよう。
きっと、受け継いで立派に努めてくれるだろう。

きっと、安堵されたのではないでしょうか。

画像6


清めると
祓うこと

そこから神話でも、最も貴い三貴神が
お生まれになった……。

これも不思議な気がしませんか?

清浄を尊ぶこと。

それが、神話の物語の神さまがつくられた
日本の、根本になっています

身も心も
清める

日々知らぬ間についた穢れ、汚れも
清める。

今、世界中の流行病においても
日本では、亡くなる方が少ないのが不思議
と言われています。

私たちは、暮らしの中に気づくと、
神話から続き
先人たちも大切にしてきた
清め祓いが根付いています

もしかしたら、神話から受け継いだ
禊祓
お清め
清浄を尊ぶ

それが、今の私たちの
“助け”になっているのかもしれませんね
……。

画像7


―次回へ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?