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大衆演劇という名の異文化体験(3)

本日(8/2)発売の『週刊漫画TIMES』掲載の「解体屋(こわしや)ゲン」は、大衆演劇編の最終回です。


このNoteでは、賀美座さんとの出会い、そして漫画で伝えきれない大衆演劇の魅力をなんとか伝えようとしています。

第1回はこちら。


第2回はこちら


そうして賀美座(よろこびざ)編も今週でおしまいです。終わる時はあっけないものですね。


若手のみんなもがんばってる


ここでは、賀美座さんの普段の活動を少し追いかけてみたいと思います。

劇団を立ち上げ、公演をし、お客を集める。そのためには何をすればいいでしょうか。HPを作り、ブログを作り、FB、インスタ、ツイッター、LINE等のSNSを駆使して宣伝をする……まあこんなところですよね。ただ口で言うのは簡単ですが、それを実行するのは難しい。これを読んでくれているみなさんなら、毎日更新するのがどれほど大変か分かると思います。

………やってるんです。賀美座のみなさんはそれをすべて実行しています。

賀美座サイト(右側に各種SNSへのリンクがあります)


それどころか、You Tubeやインスタライブも毎日のように更新しています。


「解体屋ゲン」に掲載された後、実際に解体現場で体験する不動倭(ふどうやまと)座長。

これには本当に驚いたし、頭が下がります


今回、紙面にも出てくる引っ越しの様子。これを彼らは月1でやってます。


大衆演劇ファンの平均年齢って何歳くらいでしょうか。彼ら・彼女たちがSNSをどれくらい追いかけているのかが気になります。最近はスマホも上の世代に普及してきているので、案外みんなで楽しんでいるかも知れません。


よく、漫画を週刊連載するのは大変だと言います。それを10年続けたらもはや人間業じゃない、とも(笑)。「解体屋ゲン」は連載16年だし、自分たちにもちょっとは頑張ってる自負がありました。でも、賀美座のみんなを見ていると、ちょっと足元が揺らぐというか、自信が無くなってきます。とてもじゃないけど敵わない。

毎日の舞台(一日2回公演)、夜は翌日のリハーサル、各種SNS更新、YouTube収録に加えて、老人ホームの慰問から雑誌やラジオのメディア出演まで…。いや、芸能人というのはこういうものなのか、と考えさせられます。あまりにストイックで、ある種の求道者というか、祈りに近いものを感じる時があります。

賀美座の舞踊や歌謡ショーを観ると、昭和や明治が顔を覗かせ、お芝居では江戸時代から続く歴史が垣間見れます。その一方では、平成生まれの役者も多く、素顔はまだあどけなさの残る、今の時代を生きている若者たちです。歌舞伎や能ほど伝統や格式に縛られない分、自分たちで新しいことに挑戦し、時代を切り拓いてゆく余地が大きいのだと思います。つまり、大衆演劇とは決して古臭いパターン化されたものではなくて、伝統を守りつつも常に進化しています。それは公演を見れば分かります。


それにしても、彼らのフットワークの軽さと実行力、そしてバイタリティはどこから来るんでしょうか。実は倭座長に将来の夢を聞いているのですが、それを勝手にここで公開する訳にはゆかないので、ぜひ劇場に足を運んで、その目で確かめ、なんなら直接話しかけて聞いてみてください。

どれだけ言葉を尽くしても、生の舞台の感動を伝えるのは難しいです。一人でも多くのみなさんが劇場に足を運んでくれることを期待して、ひとまずここで筆を置きたいと思います。       

ー了ー


ここでいただいたサポートは、海外向けの漫画を作る制作費に充てさせていただきます。早くみなさんにご報告できるようにがんばります!