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雨降りに逢える私の お友達水溜まりちゃん # 1

今朝も美味しそうなお味噌汁の臭いでKotoは目を覚ました。「あ~!今日のお味噌汁は大根とインゲンと油揚げとワカメだ~!」Kotoはお味噌汁の具材を臭いだけで,大抵は分かってしまうのだ。素晴らしい嗅覚の持ち主である。窓を開けると外は薄曇りである。「今日は雨降りになるのかな?この前,逢ったのはいつ?今日,逢えるかなぁ~!…逢えますように!」と,外へ話掛けている。さぁ~!起きないと遅れちゃうよ~」まずは歯ブラシをやる。歯磨き粉を少しペロリッと舐めると,ニコニコ笑い,「美味しいね!イチゴ味の歯磨き粉。私のおやつにでも良いのにな!」朝ごはんを済ませると「ハンカチ持ったよ~、ちり紙有るよ~,雨降りそうかな?傘を持ちました~,(笑)」ランドセルを背負うと家を飛び出し,「いってきま~す」隣のおばちゃんは庭の花に水撒き中「おばちゃん,おはようございます。」と言い,頭をペコリ!「おはよう,Kotoちゃん,知らない人に話掛けられたら,逃げるのよ~。」「は~い。大丈夫!学校の先生もいつも言ってるから。いってきま~す!」「はい。いってらっしゃ~い。」また暫く,てくてく歩くと或る畑の前で立ち止まり,「あっ!ピーマンちゃん,お友達たくさんになったね!すご~い!私も学校にお友達いるよ。でもね~,お名前はまだみんな覚えていないの。私の名前はKoto。もうひとつの名前は「……」と言うの。お家の名前だよ!と大人はそう言っているから私は……Kotoというのピーマンちゃんのお名前な~に?そろそろ,私は学校!」畑を後にすると見慣れた家を通り又々Kotoは足を止めると,何度も首を傾げて,「おかしいな~,この前はお庭に有ったのになぁ~!今日はないのね!「何処にあるの?」辺りをキョロキョロする「ブランコ大好きなの。お家のは壊れちゃったの。ブランコに揺れて目をつぶるとね~,風さん私に話掛けて来るの。「こんにちは!今日はどのくらいお喋り出来るのかな?いつもあまりお喋り出来ないね!」でも,今は壊れちゃっているからブランコに乗れないのよね~「……さ~んのお家の誰かさ~ん!お庭に有ったブランコ何処に有るんですか~。」Kotoは独り言を呟いた。後ろから走って来るランドセルを背負う少し上なおねえちゃん,お名前は知らないけど,朝どこかで会っているのかな?少~しお顔を見たこと有るのよね~。そのおねえちゃんなぜ走っているのかな?なんでなの?」,Kotoの横を走り過ぎる時に,「走らないと,学校に遅れちゃう!」「えっ!遅れちゃう!?大変だ~。先生の来る前に教室にいないと,みんなの前で怒られちゃう。嫌だ~。走るね~。」『それで走れているの?遅刻しちゃうよ!』と,何処からか囁き声を聞いた。Kotoは一生懸命に走っている。でも,Kotoの背中には不釣り合いのランドセルは重くて…。「先生の来る前教室へ入らないと…」いつもで有れば文房具屋さんのおばちゃんに,「おはよう!」挨拶をやり,通り過ぎるのだけど,今朝はその様な時間はない。,丁度Kotoは文房具屋さんの前に来た時,お店の奥からおばちゃん歩いて来る。「おはよう!」言うとKotoは既に文房具屋さんを通り過ぎていた。背中からおばちゃんの声…叫んでいる?「Kotoちゃ~ん,転ばないでね~。気を付けて!いってらっしゃ~い!」いつも元気なおばちゃんの声どこまでも響く。「さ~て!もう少しで学校だ!」「ハァー!…ハァー!。あと,もう…少し…門たぁ~」門に辿り着いたので少し安心してしまったのか,歩き出してしまう。時間は過ぎているんですよ~。2階への階段に来た時,「キーンコーン……」ベルは鳴り始めた。「あ~ぁ!先生,教室に来ちゃうよ~。怒られる~。何て言おうかなぁ~。『ピーマンちゃんとお喋りしていました。』なんて答えたら,「Kotoちゃん!嘘はいけません。お寝坊さんでしょっ!』なんて,言われちゃうなぁ~。私,朝ちゃんと起きたもの,いつも一人で起きられるのよ!だって私は,おねえちゃんなんだもの。教室への廊下を歩いていた時,「誰か私にご用事なの?」Kotoへ向かって前方から歩いて来ます。「あっ!」その人は,担任の先生です。「先生!おはようございま~す。あの…」と言い掛けた時,それを遮る様に,「おはよう,Kotoちゃん!席に着いてね!」言い,先生は教室の前の扉から教室へ。Kotoの座席は,前の席になるけれど,先生のすぐ後ろから教室へ入るのは,子供のKotoにも,あまり良くない,と感じたのだろう。後ろの扉から教室へ入り,自分の座席までお友達の横を歩く,「誰かに笑われたらどうしよう!」と,思っていた。でも,先生は既に来ている教室でKotoを笑えば,先生に,「静かに!」と言われる事を感じていたのか,誰一人として笑いは出ない。「は~い!出席,とりま~す。」学校の1日の始まりです。「先生なぜ,廊下で先生に会った時,何も言わなかったの?ベル鳴ったのに……。あ~!もしかしたら,先生もピーマンちゃんとお喋りやっていたのかな?それとも,ブランコのお家で立っている私を見ていたの?先生はな~んでも知っているのね!学校のお勉強だけじゃないのね!『先生!ごめんなさい。明日はもう少し,お喋りの時間を少しだけにすま~す。だって私はおねえちゃんなんだもの。いけない事はやってはダメなの。『いい子』でいないとね!

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