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まともな成人男性はうんこを漏らさない

友人2人とご飯を食べていた際、「あんたの旦那がおかしいのは絶対薬物のせいだ、薬物をやってるに違いない」と言い始めた。旦那がうんこを漏らしたことがある、と言う話をしたら、それは明らかにおかしいと言うのだ。  

そもそも、成人男性がうんこを漏らすというのはなかなか有り得ないことで、絶対それは酒じゃなくて薬物のせいだと2人は言う。
逆にどうして疑わなかったの?と言うので、「だって本当によく漏らしてたし、うんこ漏らしてズボン洗って帰ってきた事あったし、漏らしがちな体質なのかと思ってた」と説明した。
お漏らし体質。2人は理解できないと笑っていたが、成人男性だって漏らすときは漏らすだろ、と私は思った。  

思い返せば結婚前、私が買ってあげたトロピカル的お花柄のウルトラキュートなパンツが気が付いたら無くなっていて、なんで?と問い正したことがあった。
彼は私の目をまっすぐみて「うんこ漏らしたから捨てた!ごめん!」と堂々と言い切った。

最初はもちろんあり得ない、と思った。他の女の家に置いているのか?変なプレイでもして破ったのか?!と思ったので、どこでどう漏らしたか詳細を問い詰めた。すると、大きな声でハッキリと「渋谷の!!トーホーシネマ の地下にあるトイレに駆け込もうとして!!間に合わなかったんだッッ!!!」と答えていた。目は泳いでいない、まるで帝国軍人のようにハキハキと答えていたので、これはガチの答えだ…と思った私は、怒るのもなんだかおかしくなってしまい「おめぇはケツの穴の緩い男だな!ガハハ!」と笑ってしまった。  

私は、面白かったらなんでも許してしまう傾向がある。それはとても強い傾向で、もはや笑わしてくれたら法に触れない限りなんでもあり、みたいなところがある。いつもそうやって許してしまうし、たいていのことがどうでも良くなってしまうのだ。  

友達は「それはそれ、これはこれ」って思わないのか?と真顔で聞いてきたが、好きな男がうんこを漏らしたからといって嫌いになるわけがないだろ。それが私だ。

あなたはどう思うだろうか。好きな男がうんこを漏らしてしまった、、、としょんぼりしていたら、しょうがねぇなコイツめ(コツン☆)と思いながら可愛いなと思わないだろうか。私は思う。人間だなぁと思う。人間が人間らしいのは可愛いことだ。憎めないではないか。
だいたい「うんこ漏らしちゃったから拭いといて」と言われたなら「てめぇで拭けよこのアナル&ガッバーナめ」と思って中指を天に突き刺すところだが、「今日、漏らしちゃった…」の事後報告だ、損害はぶっちゃけ私にないし、仕方ないじゃないか。それに、友達には言えなかったが、私も漏らしてパンツを捨てた事がある。しかもそれで終電を逃した。30歳の時の話だ。そんな人間が人を責められるわけがないだろ。  

しかしながら、過去に旦那がベッドでおしっこを漏らした時、私はひどく落ち込んだ覚えがある。
正確には、漏らしたのではなく、酔っ払って隣で寝ていた旦那がクローゼットをトイレと思ったらしくズボンを脱ぎ始めたので、「節子、あかん、それはトイレやない!」と注意したところ、うーん、むにゃむにゃ、と何か言いながらベッドに横になったので、「あれ?寝た?」と思ったら、そのままベッドの上で放尿し始めたのだ。
ジョバババ…と水音が聞こえてきた時は、さすがに背筋が凍った。
全力でやめろーーー!!と止めたが、そのまま彼は全て出し切った後にぐーすか眠ってしまい、あろうことか、翌朝そのまま仕事に出かけて行った。  

あり得なすぎて、私は泣きながら布団を拭いた。このままにしておくのは自分が許せなかった。赤ちゃんのおしっこと違って40過ぎのおっさんのおしっこはいくらなんでも臭い。当たり前に臭い。無視できるレベルではない。しかもこのマットレスの下には、私の冬物のブーツとレザーのバッグが保管してある。当然安否も気になる。  

クイーンサイズのマットレスをどう洗ったり干したりしたら良いか分からず、「マットレス おねしょ 対応」でGoogle検索をして、その日の朝に全力で対応した。
帰宅した旦那に「布団、洗っといたから」と言うと「おう。」とだけ返事が返ってきたので、「ありがとうとかごめんねとかないの?!」と驚きブチ切れると、「だって〜!!恥ずかしかったんだもん!!」と言われた。
なぜ私がこんなことをしなければならないのか悲しくなり、次の日、イタリアへ旅立つ友達を成田空港まで見送りに行く電車の中でめちゃくちゃ落ち込んだ。
その日のことを友達はよく覚えていて「あんなに落ち込んでるあんたを見たのは久しぶりだったよ」と言っていた。  

この時は確かに損害があった。
私は傷ついたし、せめてありがとうは言って欲しかった。恥ずかしくても、ごめんね、くらい小学生でも言えるはずだ。しかし、人に話すと気が軽くなって、まぁそんなこともあるよね!と思いがちな女・関東選抜チーム代表である私にとって、この出来事は友達に話すことで8割は消化されてしまった。
その時も、帰宅後に彼になんか面白いこと言われた結果、どうでも良くなってしまったのだと思う。渾身のギャグがあったのかもしれないが、覚えてないので多分言いくるめられたのだろう。  

今思い返すとまさに「それはそれ、これはこれ」である。
ごめんねとありがとうは、ギャグではなく、どう考えてもちゃんと言葉で伝えるべきものだ。(そもそも自分で始末をしろ)面白いのと許す許さないは、明らかに別問題だった。  

アナル&ガッバーナなのは、ネコだからではないか説も出てきた。薬物ではなく、男に突っ込まれているから緩いのではないか?と言うのだ。
しかし、私が聞いた時はゲイにモテないことを悔しがっていたし、どうやっても男は無理、でも風俗で突っ込んでもらったことはあると答えていた。  

おいおいまた風俗か、どこまで風俗が好きなんだ、てかなんでそんな男と結婚したんだろう私は、と心底思った。

しかしその問いは、何千回考え直してもやはり「面白かったから」以外に答えがない。

くだらなくて、しょうもなくて、私には出来ないことを堂々とやってのけて、すべてのトピックを面白くする彼の能力に憧れていたのだ。ガンガンに振り回してくれて、飽きることなくネタを持ってくる。飲み屋のお兄ちゃんで止めておくべき人間を結婚相手に指名してしまった。そんな男に魅了されてしまった私が愚かだっただけなのだ。  

帰宅後「私って本当にバカなんだな…」と一人で家で反省していた時、オナラと同時にプッ、とうんこが漏れた。
やはり、似たもの同士が結婚してしまうのは運命だったのかもしれない。(でも私はお前みたいにパートナーのこと裏切ったり傷つけたりなんかしないけどな!!!!!!怒)


※離婚理由はうんこではありません。いつか消化できた頃に書きます。

このお金で一緒に焼肉行こ〜