見出し画像

ヒトはなぜ言葉を話せるのか②「狩りと集落生活」


今回は「どうして人は言葉を話せるのか」
というテーマの第2弾です。

詳しくは前回のその①を、お読みいただけたらと思いますが

少し、かいつまんでお話しますと
我々人間の祖先たちは生き残り戦略として
理由は解明されていませんが
2本足で歩き始めた類人猿がいたわけですね。

外敵から身を守るのに
4本足で寝地面を這うスタイルより、
2本足で歩いた方が周りがよく見える。
そして2本の前足を、地面から離し「手」として使えるようになったので
指や道具を使うこともできるようになってきた。

そして2本足で歩き始めたことで重い頭を支えられるようになり
大脳が大きく発達した、と言われています。
ということで今回は
この「重い頭を支えられるようになった」
人間の脳機能について少し深掘りしたいと思います。

集団生活の中での生き残り戦略

大脳が大きく発達してきた人類は
生き残り戦略のために
人間は集団生活を始めます。

1人で例えば狩りの場合。
例えばイノシシとかシカとかマンモスとか
1人で獲ろうと思っても
なかなか難しいのが現実ですよね。

自らの身体ひとつで
狩りができる動物というのは
例えばチーターとかライオンなどの
肉食動物の一部です。
ライオンだって
狩りの成功率は低いと言われています。
足がものすごく速いとか
遠くまで見渡せるとか
優れたパワーがない限り
1人で獲物を仕留めて
生き残っていくっていうことは
私達ホモサピエンスの身体能力では
なかなか難しいわけです。

だからこそ集団生活をし
社会を形成していく必要がありました。

人間は社会的な生き物である

きっとお猿さんの頃からね
サル山・ボス猿に代表されるように
群れで生活するようなDNAが
私達には備わっているのだと思います。

奥さんと子供がいて
いろんな集落があって村があって、集団生活をしていた。
そしてそれぞれのグループが協力し合うわけです。
俺らのグループはここから追い立てるから
追い立てた獲物を
こっちで隠れながら仕留めてくれっていうふうに
チームワークで獲物を獲る。
そして得た獲物を、みんなで分けて食べていた。
狩りを効率よく行うためには
情報連携をしなくちゃいけないですよね。

社会生活をしていく上で、情報のやり取りが必要になってくる。
そうすると、やはり言葉を使うということは非常に効率的でした。
まずはジェスチャーや発声で伝え合っていたかもしれませんね。
例えば、言葉にならない「ホー!」という声が
「今、仕留めろ!」なのか、「まだ、そこで待っとけ」っていう意味なのか。
バリエーションをつけるのが発声だけだと、難しいですよね。
だからちょっと高めに言ったり、低めに言うとか多分そういうような部分から
言葉が生まれたのかなって想像するんですけど
そういう生き残り戦略として、言葉を使って連携し始めた。
それが言葉の実態なんだなと思うんです。

なので「社会性」みんなで集団生活をし社会を形成する
そしてその中で言葉が生まれていく。
これはやはり人間と言葉、
そして社会性の関係性なのかなというふうに思います。

ヒトは弱いもの。単体では生きていけない。

どうして人は言葉を話せるのか。
この答えは「人間は1人では弱い存在だから」
というところに行き着きました。

1人で生き残れるんだったら
たぶん言葉は生まれないし必要性がないけれども
1人では獲物を取ったり子孫を増やしたり
豊かな文化を育んだりっていうことが難しい。

人間は、1人では生きていけないと思うんですよ。
私達は弱いんです。
他の個体と情報を交換して助け合うために、
大脳を発達させ言葉を使って連携をし始めた。
そして言葉を使うようになったんじゃないか
と思いますが、いかがですか。

社会を形成する、みんなで助け合って生きていくっていうことが
人間社会では大切なんです。
なので、やはり言葉と人間というのは
切っても切り離せないなって思っているんですね。
その言葉というのは
書き言葉や話し言葉や
手話だったり、サインだったりシンボルだったり
いろんなものがあります。
そこに表情や、声の調子なども相まって
言葉、コミュニケーションを形づくっています。

それらを手助けし、お手伝いをするのが
私達 「ことばのしごと」=言語聴覚士なんですよね。
言語治療のプロフェッショナルとして
ことばの中でも
どの部分でつまずきがあるのかな
どの部分を支えていったらいいんだろうということを
結構細かく考えているんです。

「ことばのしごと」っていうと
一見優しいイメージ、ほんわかとしたイメージを
持たれる方もいらっしゃると思いますが
医学的な知識や、体の仕組みだったり脳科学の分野も
細かく、それぞれ勉強していかないと
ことばの分析や困りごとの紐解き
そしてどんな手助けをしたらいいか考えることは簡単ではありません。

言語発達や発音、言語障害や嚥下障害
認知症や高次脳機能障害でお困りの際には
ぜひ、言語聴覚士を頼ってくださいね。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?