大人向けの童話「痛みの交換こ」
ある朝、山のふもとにある病院で、元気な女の子が産まれました。
女の子を産んだお母さんは、長い間ずっと子どもがほしいと思っていたので、涙を流して喜びました。
お母さんは、その女の子に「たんぽぽ」と名づけ、愛しく、つつましく、人の痛みがわかる優しい女の子に育ってもらいたいと願いました。
そして、たんぽぽのことを、とてもかわいがりました。
けれど、一歳になったたんぽぽは、ある日、転んでひざをすりむいてしまったのです。
ほんのちょっと、お母さんが手を離した瞬間の出来事でした。
お母さ