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24.10 複素数と2次方程式(判別式の利用)

理一の数学事始め

前回、2次方程式の判別式を紹介しました。判別式は2次方程式の根の公式に出てくるルートの中身でした。一般の2次方程式
       $${ax^2+bx+c=0 \quad (a, \: b, \: c \in \mathbb{R}, \: a \neq 0)}$$
のときは $${b^2-4ac}$$ が判別式で、この式を文字 $${D}$$ で表すことにしました:
            $${D:=b^2-4ac}$$.
2次方程式
       $${ax^2+2b'x+c=0 \quad (a, \: b', \: c \in \mathbb{R}, \: a \neq 0)}$$
のときは、判別式として $${D/4:=b'^2-ac}$$ も使えます。もちろん、判別式をすべて $${D=b^2-4ac}$$ で考えても構いません。

判別式はルートの中身なので次が成り立ちます(※1):
    $${D>0}$$ $${\iff}$$ 実数解2個(異なる2つの実数根)
    $${D=0}$$ $${\iff}$$ 実数解1個(重根)
    $${D<0}$$ $${\iff}$$ 虚数解2個(異なる2つの虚数根)▮

ということは、実数解を持つための必要十分条件は $${D \geqq 0}$$ です。
:判別式が上のような意味をもつためには、$${a, \: b, \: c \in \mathbb{R}}$$ でなければなりません。こういう細かい部分は忘れがちです。

例1 2次方程式 $${x^2+kx+4=0}$$ の解を判別せよ。ただし $${k}$$ は実数定数とする。
解答解説
実際に2次方程式を解いてもいいのですが、結局は同じことをすることになります。ルートの中身がプラスか0かマイナスかを考えるからです。
判別式 $${D}$$ を計算してみます。
          $${D=k^2-4\cdot 1 \cdot 4=k^2-16}$$.
$${k}$$ の値によって $${D}$$ の値もいろいろ変化しそうです。でも次のことはいえます。
          $${D>0}$$ のとき、実数解2個,
          $${D=0}$$ のとき、実数解1個,
          $${D<0}$$ のとき、虚数解2個.

不等式・方程式はグラフを利用して次のように解きます。

つまり
         $${k<-4, \: 4< k}$$ のとき 実数解2個,
         $${k=-4, \: 4}$$ のとき 実数解1個,
         $${-4 < k < 4}$$ のとき 虚数解2個.  ▮


例2
 2次方程式 $${x^2-2kx+k-1=0}$$ の解を判別せよ。ただし $${k}$$ は実数定数とする。
解答解説
$${x}$$ の係数が $${-2k}$$ なので、判別式 $${D/4}$$ を計算します。
       $${D/4=(-k)^2-1 \cdot (k-1)=k^2-k+1}$$.
例1と同じように解きますが、$${D/4=k^2-k+1}$$ を $${k}$$ を変数とする2次関数とみてグラフをかくと横軸より上側に放物線が現れます。

実際は次のように書きます。
判別式 $${D/4}$$ を計算すると
          $${D/4=(-k)^2-1 \cdot (k-1)}$$
              $${=k^2-k+1}$$
              $${=(k-\dfrac{1}{\:2\:})^2+\dfrac{3}{\:4\:}>0}$$.

つまりすべての実数 $${k}$$ に対して $${D/4>0}$$ であるから、実数解2個。▮

注1:この問題は次のように解かれがちです。

     $${k^2-k+1=0}$$ を解くと $${k=\dfrac{\:1\pm \sqrt{3}\: i \:}{2}}$$.  よって
     $${k<\frac{\:1-\sqrt{3}\: i \:}{2}, \: \frac{\:1+\sqrt{3}\: i \:}{2}< k}$$ のとき 実数解2個,
     $${k=\frac{\:1\pm \sqrt{3}\: i \:}{2}}$$ のとき 実数解1個,
     $${\frac{\:1-\sqrt{3}\: i \:}{2} < k < \frac{\:1+\sqrt{3}\: i \:}{2}}$$ のとき 虚数解2個.  

いま $${k}$$ は実数なので $${k=\frac{\:1\pm \sqrt{3}\: i \:}{2}}$$ は誤りです。さらに、虚数では大小を考えませんでした。例1のような問題ばかりを解いていると起こるものです。これをテストに出したら意地悪問題だと思われるでしょうね。
$${k=\frac{\:1\pm \sqrt{3}\: i \:}{2}}$$ を出したときに気づけば、ここで修正して例2のように解くことが出来ます。

注2:判別式のつもりで単に D と書いても読み手にはそれが伝わらないので、問題が解けるようになったら、めんどうでも 「判別式 D」 という表現を入れましょう。数学の力がついてくると、単に計算だけをするだけでなく、だんだん説明文が多くなるものです。
一方、テストは時間との勝負なので、説明を省略することになります。大学の先生たちもそれは承知のことと思うので、判別式と書かなくても前後関係から判断し減点はないと思います。▢

練習問題1 $${k}$$ は実数定数とする。次の2次方程式の解を判別せよ。
(1) $${x^2-2x+k=0}$$
(2) $${x^2+(k-1)x-2=0}$$
(3) $${x^2+2kx-2k+3=0}$$

練習問題2 2次方程式 $${x^2+(3k-1)x+2k^2-1=0}$$ の解が実数解となるように実数定数 $${k}$$ の値の範囲を定めよ。





練習問題1の答え
(1) $${k<1}$$ のとき実数解2個, $${k=1}$$ のとき実数解1個, $${1< k}$$ のとき虚数解2個. 
(2) 実数解2個. 
(3) $${k<-3, \: 1< k}$$ のとき実数解2個, $${k=-3, \: 1}$$ のとき実数解1個, $${-3< k <1}$$ のとき虚数解2個. 
解説
(2) 判別式 $${D=(k-1)^2-4 \cdot 1 \cdot (-2)=(k-1)^2+8>0}$$ だから。

練習問題2の答え
     $${k \leqq 1, \: 5 \leqq k}$$
解説
判別式 $${D \geqq 0}$$ であればよい。


※1 教科書などが「異なる2つの実数解」という表現になっているのはこのような「異なる2つの実数根」の名残です。根と解はほとんど同じなのだから1つに統一した方が良いと判断した結果だと思うのですが、学習指導要領を改訂し広まってしまいました。そのため「重解」などという奇妙な言葉が出来てしまいました。
過去に
数学雑談「『解』と『根』を考えていたら、頭が頭痛で痛くなった話」
を書いているので、よかったらお読みください。

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