【新古今集・冬歌5】紅葉のしがらみ
散りかかるもみぢ流れぬ大井川
いづれ井堰の水のしがらみ
(新古今集・冬歌・555・源経信)
(訳)
川面に散りかかる
紅葉、そのままゆうらりゆらり流れない
まったくもって大井川
紅葉と堰とはどちらが本当の井堰なのか
水せき止めるしがらみなのか
この歌は元ネタの
山川に風のかけたるしがらみは
流れもあへぬ紅葉なりけり
(古今集・秋下・春道列樹)
が念頭にないと分かりづらいと思います。念頭に置いても分かりづらいですけど。特に下句。
春道列樹の歌をガイドブック代わりに思い浮かべながら大井川までやってきた体で詠んだ歌なんでしょうね、きっと。
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