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短歌と和歌と

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中学生向けに和歌・短歌を語る練習をしています。短歌は初学者。和歌は大学で多少触れたレベル。
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#古典

2021年1月16日

2021年1月16日

 一年で一番しんどい時期を終えました。疲れがどんよりと身体を浸しています。

 三日振りに子どもたちが起きている時間に帰ってきました。ドンジャラをして、絵本を読んで、寝かしつけます。すると2歳の娘が、パパと寝ると言います。

 パパの抱っこに揺られながら、調子っ外れのお歌を聴いて寝るのが大好きなのです。今晩は「なごり雪」「海の声」「時代」「ハナミズキ」を歌ったところでようやくうとうとし始め、握った

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2021年1月15日 少し春

2021年1月15日 少し春

 ダウンジャケットを刺し通す、錐のような冷たい空気が拭われた。日中は上着を脱げるほど。三寒四温というにはまだ少し早いが、一番寒い時期は終わったのかも知れない。

谷風にとくる氷のひまごとにうち出づる波や春のはつ花
                     (『古今和歌集』12 源当純)

 春風にとけた氷の割れ目から飛沫あげる波春の初花 

 谷風は谷を吹く風で、何だか骨身に沁みそうな印象もある。

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2021年1月14日 しんどい!

2021年1月14日 しんどい!

 新型コロナとコロナ禍に対応する日々は続く。

 入試がある。生徒は生きている。

 忙しい。

 忙しい時は忙しい人の和歌を振り返ろう。

 忙しい人。藤原行成だ。

 清少納言の百人一首歌、「夜をこめて・・・」を詠んだ相手。博学多才の仕事人。『大鏡』には「和歌はちょっと…」と書かれていて、実際八代集には一首しか入集していない。鎌倉以後を含めても数首のだけ。

 和歌、苦手だったのかも知れない。

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2021年1月13日

2021年1月13日

 長男が7歳になった。7歳になった感慨は特になさそうだ。

 親の側にはそれなりにある。1年間、6歳だと思ってきた生き物が今日からは7歳の生き物になったのだ。

 7歳といえば小学一年生の年齢だ。もちろんすでに小一だ。でもこれまでは6歳なのに小一をやっている生き物だった。ようやく中身が立場に追いついた。

 朝、重いランドセルを背負って長い階段を登っていく7歳の生き物を見送った。トントンとはいかな

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2021年1月12日

2021年1月12日

 2歳の娘が、今日は長く昼寝をしたらしい。

 放っとけば寝ると言った妻の言葉とは裏腹に、10時を過ぎた頃寝室を出て僕のところにやってきた。「パパと寝る」という。否応なく抱っこする。ぼくと娘はそういう関係だから。
 背中をトントンする。「お歌を歌う?」と聞くと「うん」と言うので、静かに「なごり雪」を歌う。

 寝ない。

 「糸」「海の声」を歌う。

 寝ない。

 仕方ないので徳永英明の「voc

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《和歌日記》2021年1月11日

《和歌日記》2021年1月11日

 小学一年生の長男は明後日が誕生日です。今日はプレゼントを買いにでかけました。

 しばらく前から欲しがっていたのは天体望遠鏡でした。夏に天文台に遊びに行ったことが忘れられなかったらしく、何度聞いてもブレませんでした。月や惑星などを見てみたいそうです。
 しかし天体望遠鏡は、入門機でも2、3万はするものが多いのです。子どもに気軽に触らせられるような値段ではありません。近所の電気屋には5000円ほど

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《和歌日記》2021年1月10日

《和歌日記》2021年1月10日

 校庭に数センチほど雪が積もり、生徒が元気に走り回っていました。中には半袖短パンの生徒もいます。僕ら教員は暖かい職員室からそれを眺め、ちょっと呆れつつ「沖縄から来た生徒かもしれないね」なんて言ってました。沖縄からくる生徒の中には雪を見たことがない人も居るんです。

 生まれて初めて実際の雪と出会う。それはどれほどの感動を伴うものなのでしょうか。想像してもピンときませんが、その感動を身体ぜんたいで味

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《和歌日記》2021年1月9日

《和歌日記》2021年1月9日

 「はじめてのおつかい」×炭治郎ナレーションということで期待したけど、炭治郎がそんなに炭治郎じゃありませんでした。それはそれとして泣いちゃうけどね。
 
 今日も寒い。雪がパラパラと降っていました。熱で学校を休んだ長男は、どうしてだか元気はたっぷりあったようで、午前中に小さな雪だるまを作ったと言います。
 雪が降ったといってもほんの少し。芝生の部分に1cmも無いほど積もった程度です。雪だるまも、草

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《和歌日記》2021年1月8日

《和歌日記》2021年1月8日

 いやさむっ!!!寒いわ、あほかっ!!冬あほーーー!!

 手がアカギレしまくるこんな日に、三学期が始まりましたわけですけども。立っても寒い歩いても寒い、チョークを握る手が寒い。窓の外みりゃ南国鹿児島に雪が散らついてます。
 何にもなきゃスクワットしたり叫んだりするいつもの古文をやってるはずなのに、新型コロナがいつまでもコロナコロナしてるもんだから、こんな寒い日にしんと静まり返って身動き一つしない

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《2021年1月7日》

 冬休みが終わります。 

 実家から遠いところに住み、子どもが生まれ、父と母に会う機会が減りました。年末年始は両親に会う貴重な時間になるはずでした。

 巣ごもりで年は暮れ、巣ごもり続けて新しい年を始めました。

 多くの本を買いました。そのうちのいくつかは読みました。
 思えば去年も買っていたし、一昨年も買っています。年末年始は僕にとって、本が欲しくなり、また本が読める時間であるようです。

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《和歌日記》2021年1月6日

《和歌日記》2021年1月6日

 ようやく初詣に行きました。

 例年参拝している、市内で一番大きな神社を今年は避けました。かわりに向かったのは、郊外の、小さな山の上にある神社です。

 お参りに来れば、祀られている神も気になります。境内に掲げられている縁起を確認し、さらにネットで調べました。

 どうやら鎌倉期の英雄が、神として祀られているようです。「市内で一番おおきな神社」の御祭神も、同様に人神です。そして南北朝時代、「小さ

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《和歌日記》2021年1月5日

《和歌日記》2021年1月5日

 元気な兄たちを妻に任せ、僕は今日も末の娘と引きこもりだ。娘は熱も下がったが、様子を見るために待機した。
 絵本を読み、歌を歌い、テレビを見て、昼寝もした。一昨日からそんな1日を繰り返している。もういい加減やることが無い。ぼーっとする。こういう感覚を「徒然(つれづれ)」という。そして徒然は「物思い」をもたらす。
 夜になり、徒然に任せて娘と2人、「ナウシカ歌舞伎」を鑑賞した。娘は30分ほどで寝た。

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《和歌日記》2021年1月4日

《和歌日記》2021年1月4日

 朝。娘の熱は下がらず、息子たちは早起きせず、妻は肩を痛め、僕は1週間かけて塩漬けしたバラ肉の乾燥に失敗した。

 バラ肉について。
 自作のベーコンの旨さを仄めかすキャンプ好きの同僚に感化され、ベーコン作りに取り組んだ。年末から1週間経った昨日までバラ肉を塩漬けした。24時間乾燥させ、今日の午後に4時間燻し、直後に味見した。
 肉は煙くさかった。それ以上に、酸っぱかった。驚いた。
 煙には酸味成

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《和歌日記》2021年1月1日

《和歌日記》2021年1月1日

ふる雪の みのしろ衣 うちきつつ 春来にけりと 驚かれぬる(『後撰和歌集』1 藤原敏行)

 舞い落ちる雪のように
 真っ白な衣をいただいて  
 年経た肩に引っかけながら
 こんな我が身にも春が訪れた、と
 驚きが溢れ出しているのです

 お年玉、もらえましたか?

 僕はいつの間にかもらう側からあげる側になり、そして親族間での金額調整にも気を使う、大人な立場になりました。親世代同士であらかじめ

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