マガジンのカバー画像

短歌と和歌と

177
中学生向けに和歌・短歌を語る練習をしています。短歌は初学者。和歌は大学で多少触れたレベル。
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

6月21日(月) 僕と西行の老い

6月21日(月) 僕と西行の老い

 梅雨の気配が遠くなった。空は雲を浮かべているけどわりと青い。今年の梅雨は降る日と晴れる日のけじめがはっきりしているみたいだ。

 昨日、父の日参観で幼稚園に行った。次男は僕の似顔絵を用意してくれていた。息子の頭に残る僕が笑顔であることにホッとした。

 こめかみが赤い。赤いというか、赤の何かがほとばしっている。なんだか無口な東洋系の凄腕スナイパーに狙撃されたみたいだ。
 幼稚園の先生が「似顔絵の

もっとみる

6月15日(火)

 今日はテスト。出来るすべてのことをやり尽くした生徒も、出来ることをやりきれなかった生徒も、とりあえず来ただけの生徒もいる。

99点を失点1という君の平均97点

テストにてあくびをしたり正体が不明な罪悪感を背負ひて

跳ねたるも横たわれるも落ちたるも昨夜は汗を吸いしシャーペン

かき上げて答えが見えるわけも無き前髪憎む君の手黒し

6月9日(水)僕の憧憬と先達の見出だす梅雨の歌

6月9日(水)僕の憧憬と先達の見出だす梅雨の歌

 暑い。
 夏日だ。空は青く日差しは強い。エアコンをつける。教室を閉め切るわけにはいかない。二度目のコロナの夏が来た。

 小テスト中に窓を見た。三階より高い松の先端が空に向かい、白雲に飾られていた。

風誘ふ空に白雲天蓋の縁には柔き波触れるらむ

☆ ☆ ☆

 夏の歌を探して勅撰集をめくってみても、ほととぎすの歌が多くてうんざりしてくる。そこで自分以外の目に頼ることにした。

 渡部泰明『古典

もっとみる

6月8日(火)晴れたり曇ったりする梅雨と恵慶の夏

 授業が急に増えて、汗をかいた。夕方が近づくと思考が息切れをする。

 最近は数日雨が降り、数日晴れが続く。梅雨のありようも変わったのだろうか。しかし案外昔からこのようなものだったのかもしれない。

水無月の葉上る露に風吹きて斑の雲を入り日染めたり

☆ ☆ ☆

 気温が上がり、夏らしくなってきた。季節の風物を楽しむより涼を得たくなってくる。

松陰の岩井の水をむすび上げて夏なき年と思ひけるかな

もっとみる
6月3日(木) やってみただけ

6月3日(木) やってみただけ

 古今和歌集で遊ぼう。

 目指すはパロディ。

 ひとまずシンプルに歌枕を現代化してみる。ただ季節の歌を季節の歌に本歌取りすると俊成卿に叱られそうな気もするので、恋の歌を時節の歌に。

恋せじと御手洗川にせし御祓神は受けずぞなりにけらしも
                   (恋一 詠み人知らず)

 音が合うので、御手洗川をUSJにしてみよう。USJに神はいないものとして、ハリーに変更。

もっとみる
6月1日(火) 賞味期限の歌

6月1日(火) 賞味期限の歌

 今日は穂村弘『ぼくの短歌ノート』(講談社 2015)から、「賞味期限の歌」を学ぶ。

 いくつか詠み方があるようだが、たとえば

缶詰の消費期限の日の空は晴れか曇りか日本はあるか 藤原健一

には「批評的な苦さを含んだユーモア」があるという。そんな感じを目指してみよう。

カンパンを消費期限のギリギリにモソモソ食べるきっとそうなる

 批評的要素がないな。

本当に消費期限は延びるのかSDGsと

もっとみる