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直島雑記

メモ帳からの書き出し 在来線では眠気に耐えられず目を閉じていた.地元と殆ど同じ景色だったので、目を開けることより睡眠を優先したかった. ぴかぴかの晴れ、春前だからか田んぼの緑も色素が薄い. 12:25 全く海の見える気配がない. 目の前が山に囲まれているようにしか見えないのだが、本当に10分後には港に着くのだろうか。 山を走る。草木に顔を撫でられているような感覚.そして真っ暗になる.トンネルだ. また明るくなった。 びぜんたい どこかの方言みたいな駅名.漢字を見ると「

    • osmosis(浸透)

       気付いたら、小雨が降り出していた。展示室に集められた私たちは、森山未來に導かれて21世紀美術館内を回遊していた。閉館後の美術館は全くの静寂で、ともに歩いている他の参加者の足音がいやにうるさく響く。先へ進んだと思ったら消え、モニターを通じて話し出したと思ったら予想だにしない方向から現れる。私たちは自在に館内を行き来する森山未來に翻弄されるまま、奇妙な堂々巡りを続けていた。  現在21世紀美術館で開催中の「時を超えるイヴ・クラインの想像力」展をふまえて行われた、森山未來による

      • 李禹煥ヤバい

         結論から言うと、初めて展覧会で図録を買ったし比喩じゃなく泣いた  冬休みはほとんどバイト、それ以外はずっと引きこもっていた。大晦日から新年を迎えるその瞬間まで職場にいて、近所のおじさん達にお酒を注ぎ、ママお手製の年越し蕎麦を啜り、帰宅。電話口で泣いた。新年早々。どこにも行く気力はなかったが、このまま冬休みの記憶を労働と宅配ピザの味で埋めるほうが辛いことは明白なので、前から気になっていた李禹煥展のためにがんばって腰を上げた。  展示に行くのってなんであんなに億劫なのか。アニ

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