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Mother Spaceship:セルフライナーノーツ

皆さんこんにちは。齊藤耕太郎です。

ついに今夜、緊急事態宣言が解除されるようですね。このnoteが公開される頃、首相の会見が始まると聞いています。少しずつ世の中が動き始めている、そんな空気をこの週末も感じました。もちろん、とはいえ油断は禁物ですね。音楽業界も、少しずつ動き出すといいなぁ。

そんな中、僕らのアルバム制作も、現在佳境を迎えています。順調な曲と、思うように進んでいない曲と色々ありますが、出来栄えには自信があります。どうか楽しみにしていてくださいね。


そして、今回はそのアルバムからのシングルカット曲の先行リリースについて。楽曲について、生まれた背景についてを語り尽くします。

5月20日(水)新曲リリース!

その他の配信先はこちらからどうぞ!

タイトルは、「Mother Spaceship」。その名の通り、宇宙母船をイメージして作りました。なおこの曲はアルバム「Voyager」では2曲目に入ります。リリース前から関係者の評判もとても良いこの曲。今年の僕らの音楽活動の大きな方向性でもある、「TOKYO NEW WAVE」を地でいく作品です。


「Hello」との関係性

この作品は、2月にリリースした「Hello」と兄弟のような作品です。年末年始に箱根で合宿をしていたときに、肇さんと一緒に作り進めた楽曲です。

楽曲「Hello」は2020年の僕たちの音楽スタンスをかなり明確に示したものでした。テーマとして掲げている「少年性」「パンク」を僕らなりの形で、決して汗臭くなくスマートに、それでいてはみ出しモノ感炸裂な、ヤンチャな楽曲を目指して作っています。

今回の曲である「Mother Spaceship」はその流れを汲むシリーズです。「Hello」は楽曲の大元を僕が作っているのに対し、この曲は肇さんが

ワンコード、ワンアルペジオで曲を作りたい。

と持ち込んでくれた曲です。デモ段階でただただ、ドラムがドコドコ!と鳴りながらベースはストイックにレの音を8分で刻み続けている、なかなかアレンジに頭悩ませる楽曲でした(笑)

どうやって、ワンコードの曲を、自然にかつ展開を持って作り進めていくか、まずはそこから紐解いていきました。


ドラムのRec

この作品を引っ張ってるのは、間違いなくドラムとベースの2要素。楽曲の持つスピード感と、曲が進むにつれて飛び立つようなワクワクする飛翔感の根幹にあるのは、ドラマー・宮内告典(こうすけ)くんの高速リズムです。

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僕らの作品のメインドラマーとして、渋谷音楽祭、「Hello」そしてアルバム「Voyager」作品では「Waterfall」という壮大なポップアンセムを叩いてくれています。「Hello」のドラムRecのあと、出来立てホヤホヤだった肇さんのデモトラックを聴いてもらい、彼の感覚でドラムを叩いてもらったのがこの楽曲。なんとなくの楽曲展開は伝えつつ、細かいことはほぼお任せ。

長らくドラムやギターの名門メーカー、Gretsch(グレッチ)からのエンドーズを受けていた彼。この日も海外アーティストたちの元を渡り歩いてきた最高級仕様のドラムセットを持ち込んでのRec。その瑞々しさは本当に魅力的で、力強いキック、タイトでポップなスネア、推進力の要ともいえるタム回しとシンバル使い、どれに至っても最高のテイクを僕らにくれました。


ボーカリストとの出会い

この曲は年末年始でほぼほぼトラックそのものができていたにもかかわらず、ボーカルがなかなか決まらず、ずっとリリースせずにいました。

そんな時に出会ったのが、Charlotte is Mine。

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実は僕たちが最近楽曲をリリースしている、ヒップランドミュージック主宰のデジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」の講習会にて知り合いました。※このサービスについては後ほど詳しく書きます。

講習会には10代〜20代のアーティストばかりが来ており、アラサーの僕、ましてやアラ還(笑)の肇さんは完全に浮きまくり。ヤバい、場違いかな・・・と思って若干ヒヨっていたところに、彼女が。話しかけてみたところ、とっても盛り上がり「何か一緒にやりましょう」と言い会場を後に。

帰りに肇さんの車で、彼女の作品を2人で聴いて、一発で惚れ込みました。何これ、めっちゃいいじゃん!!って。特に、肇さんはそれ以降も自身のプレイリストに彼女の過去作をガンガン入れ始め、その様子を横で見ていた僕は、「そんなに好きなら彼女にMother Spaceship歌ってもらいましょうよ」と提案。打診したところ、彼女も快諾してくれて、コラボが決定!


ボーカルRec

Charlotte is Mineに歌ってもらう、と決まってすぐに、我が家で打ち合わせ兼ご飯会を開催しました。今考えればあの頃、こんな自粛ムードになるなんて想像もしていなかったなぁ。

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写真はこの日僕が作った得意料理、牛すじの煮込み。一度に1キロくらい煮込むのですが、Charlotte is Mineが日本酒を持ってきてくれたおかげで、皆とんでもない食欲を発揮し、終わる頃には仲間4人で完食(笑)

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このご飯会で、当時買ったばかりのJuputer-8を使って、トラック自体を増強しました。ベース、上物のリードシンセにJupiterの音色を足すことで、よりスペーシーな空気が曲中を漂い出しました。毎回書いていますが、僕らの楽曲の根底を支えるのはアーティストや楽器の持つ音色です。これこそが生命力の塊。音色を制すれば、音楽は8割完成と言っても過言ではない。

こうして楽しく会がお開きになり、1週間後くらいに時間ができたので、僕がトラックのミックスを直して、彼女にステムデータ(各楽器帯がまとまったデータ)を送付しました。確か数時間後に、「試しに歌ってみました!」と送られてきたボーカルテイクを聴いて、ぶっ飛びました。

なんだこれ。最高じゃん。これでいこう。

もう、本番録音するのはやめようと決意しました。彼女の持つインディ・オルタナロックの魂が、肩の力が抜けた状態でテイクに宿っていました。

元々肇さんが仮歌を歌っていたボーカルテイクでかなりハモリを積んでいたのですが、彼女はそれを全然違う形で積み直し、素晴らしいハーモニーを生み出してくれました。この曲がワンコードなのにとても展開があるのは、Charlotte is Mine流コーラスワークがかなり貢献してくれているように感じます。本人は試しに録ってみた、くらいの気持ちだったのでしょう、それが功を奏し、ほぼテイクを直すこともなくミックスに。


ミックス・マスタリングについては改めて
アルバム全体で特集記事を書きます。


アートワーク

今作も、アートワークは「Lotus」「Hello」「Primavera」に引き続き、イラストレーターのNoL(ノル)に依頼しました。

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この絵、実はよくみてみると、天地が逆転した街並みの風景画なんです。そこから、タイトル文字が飛び出してくる、という推進力たっぷりの絵。

最近NoL君と物づくりする時あるあるなのですが、毎回、最初に作品を見たとき、当初掲げたオリエンから外れたものが届いて「なんでこうなった?」って思うのですが、その絵のパワーに何も言い返すことができず、即座に「これだ!」と返信しています。音楽を聴き込んだ上でこれができたのなら、もう僕はそれに従うしかない。毎回そう思っています。

今作はもちろんのこと、NoL君にはアルバムのアートワークにも参加してもらいます。今回のアルバム「Voyager」のアートワークは、実は非常にコンセプチュアルな作り方をしていて、その事についても今後noteで特集記事を描いていこうと思います。単なる音楽のアートワークではなく、絵そのものがアートとして一人歩きできる作品になると思います。


ミュージックビデオ

MVを作りたい。

そんな思いはありつつも、この自粛ムードの中、撮影は自由に行えない状況で、いかにこの楽曲の魅力をポップな世界観で伝えていくか、ということを考えました。この曲らしい方法とは、なんなのか。

そう考え抜いて完成したのが、これ。今作は、歌詞もこのビデオの中で英語、日本語でご覧いただけます。是非観てください!

初めて、3DアニメーションのMVに挑戦!

誰に作ってもらおうか考えていた時、僕のインスタで目に留まったのは、以前から友人として付き合いのあった後輩が作ったサンプリングMVでした。

正方形のMV、めっちゃかっこいいな。
そしてこの、音楽の勘所を掴みまくったエディット。
好きだなー。そうだ、彼女にお願いしてみよう!

彼女の名は、Peri(ペリ)

ぱっと見は今時の女の子。なんだかK-POPのアイドルグループにいてもおかしくなさそうな風貌っていう第一印象。

中身はゴリゴリのヒップホップマニアであり、アニメオタク。元々ファッションデザイナーの仕事をしている彼女。トラック制作をするのが夢だと友人を通じて僕のもとにやってきました。僕より10歳ほど年下なのに、聴いている音楽は僕より更に世代上のヒップホップ、エレクトロが中心。デザイナー出身とあって、バランス感覚がとてもよく、ナードな趣味の持ち主。

肇さんに彼女のリンクを送ったところ、すぐさま気に入り、今作のビデオを依頼する事になりました。音楽が好きで、その気持ちが高じて3Dアニメーションのことを最近学び始めたという彼女の世界観は、ストリート感あふれるお洒落な世界そのもの。

今後彼女はトラックメイクも行っていくとのことで、いつか僕らともコラボの機会を作れたらいいなぁ、なんて勝手に思っていたり。

期待の新星24歳に注目です!


配信は、FRIENDSHIP.を活用

昨年末から僕らがリリースする多くの作品の配信をお願いしている、ヒップランドミュージックが展開する「FRIENDSHIP.」(フレンドシップ)。このサービスについて一番詳しく書かれているのは、責任者である山崎さんのnoteかと思います。是非参照ください。

数ある配信サービスを僕は使ってきましたが、アーティストの横のつながりまで関係性を、レーベル主体で作ってくれたサービスはここが一番。今後、配信アーティスト支援のための様々な環境やコンテンツを整備していくとのことで、僕自身もその展開に注目しています。

配信するアーティストも、彼ら独自の視点でキュレーションしており、皆十組十色なイメージ。そこは流石レーベルだなと僕は思います。非常に良心的な手数料からスタートでき、配信作業だけでなく、アーティスト個別の課題に合わせてプロモーションのサポートをしてくれるこのサービス。僕らも彼らの力を借りながら、2020年は音楽をたくさんリリースしています。


#StayHome バージョンをYouTube配信

この時期、なかなかレコ発イベントを組みにくい状況で、フルリモートアコースティックバージョンをYouTubeに公開しました!

オリジナルとは全然違う趣になったこのバージョン。ソーシャルディスタンスを意識しながら新録してくれたCharlotte is Mine、宮内告典両氏に感謝!

今後、ライブがストレスなくできるようになったり、従来とは違う形で表現方法が確立されていければ、より発表方法を多面化させていくつもりです。緻密に録音されたスタジオバージョンと、リアルタイムで表現するライブバージョン両方の良さを感じてもらえるような音楽活動を目指します。


現状の成果

これまでとは違った動きを見せたプレイリストイン。

まず、Spotifyでは初めて、「Indie PALACE」というインディポップ・ロック専門のプレイリストに入りました。

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これまでムード系と呼ばれるチル、フォーカス系や、New Music Fridayなどのニューリリース系のプレイリストに入った実績があった僕。今作の持つインディロックとしての疾走感は僕らがアルバム全体でプッシュしたいサウンドでもあり、そこにSpotifyが呼応してくれたのは嬉しい限り。

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また、AWAでも今週の新着トラックとしてプレイリストに入っています。AWAは「Not Found 404」でも僕のことをバナー展開してくれた実績があり、新譜に対する注目をしてもらえ、嬉しいです。


リリースしてみて、強く思うこと

新たなサウンド・新たなリスナーとの出会い。

数々のプレイリストに入ったことで、僕の音楽はこの2年で世界中に広がりました。しかし僕自身が音楽を作っていても、ファンの方々との繋がりはプレイリストだけでは実感できていませんでした。

今、僕は新たなフェーズに差し掛かっている。その理想は数的根拠だけでない、音楽を通じた生の声を双方向に投げかけ合えること。実際に、どんな人が僕のファンでいてくれるのか。僕の楽曲を聴いてくれる方が、曲を聴いてどんな想いでいてくれるのか。曲が、その人の人生にどんな影響を及ぼしてくれたのか。それをもっと知りたいと思うんです。


先日、こんな嬉しいコメントをいただきました。

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2年前にリリースして、八景島シーパラダイス「LIGHTIA」のテーマソングとして聴いてもらっている楽曲「Love Song」この曲を聴いて、高校受験を無事第一志望合格という形で終えられた方がいるそうです。

綺麗事なしに、僕は130万回の楽曲再生実績より、この1通のコメントをもらえたことの方が嬉しいです。音楽が与える夢や力を、僕自身がもらえた気がしてなりません。このコメントをくださった方の想いを忘れず、より多くの方に僕らの音楽を届けたい。音楽を届けた先に、こうして深く音楽と関わってくれるリスナーの皆さんに出会えたら嬉しいです。


広く、深く届く音楽活動を目指して

プレイリストを活用した音楽マーケティングは、時折数字上たくさんの人に聴いてもらえている事実を誤認してしまう危険があると思います。たくさんの人が僕の曲を聴いてくれたのは事実。けれど、それは僕目当てではなく、プレイリスト目当てで再生して僕の曲に出会ってくれただけ。

それだけでは、音楽活動として僕の望む形ではありません。音楽に込められたストーリー、音楽を作った僕たちの想いを知ることで、次の楽曲も聴いてみたい、過去作品も聴き直してみよう、そう思ってもらいたい。

ありがたいことに、音楽活動への想いを書き綴っているこのnoteは、現在9,300人もの方にご覧いただいています。ここで書いていることは僕の音楽活動におけるかなり深い部分。音楽で興味を持ってくれた方、noteのおすすめやSNSでの記事、検索で知ってくれた方、様々だと思います。

最近は応援のコメントも増え、皆さんからの言葉が僕の音楽制作へのモチベーションになっています。2年前、人知れずアルバムを作っていた自分に、これだけの喜びが待っていることを伝えたいです。諦めずにやり続けてよかった。だから、これからも自分たちのサウンドを信じて突き進むんです。

次のアルバム「Voyager」、そして客演や別のコラボ企画も、水面下で動きまくっています。この夏はどんどんニューリリースを、しかもいろんな角度からしていけたらいいなと考えます。引き続き、応援よろしくお願いします!そして最後に改めて。Mother Spaceship、聴いてください!


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