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32歳という1年。


12月11日で、33歳を迎えます。

この1年、自分にできることは全力でやり切りました。結果、なかなか自分が満足のいく成果を出すことができませんでした。この過程にあえて名をつけるのならば、「準備」という言葉が自分の中で最もしっくりきます。


KOTARO SAITO、32歳の成果

こちらは、Spotifyがまとめる、僕のこの一年の活動結果。2019年、述べ146万回僕の楽曲を聴いてくださった方が、約60万人いたそうです。正直、数字の持つパワーと僕の体感が一致していないのもあり、60万人という規模が頭の中で描ききれません。中〜大規模都市の人口くらいでしょうか。

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形に残る成果で少しだけ、自分を認められるとすれば、Spotifyのトップ5トラック全てが10万再生を超えたことでしょうか。それはひとえに、聴いてくださるすべての皆さんあってのこと。本当にありがとうございました!


そして、インディペンデントにとって中々参入の糸口がなかったApple Musicにも、先月くらいからプレイリストに入れてもらえるように。

まだまだSpotifyほどの伸びは無いけれど、来年はApple Musicでも音楽を聴いてもらえる機会を増やします。そのための足がかりになり得ることは、今月リリースの楽曲から仕掛けていこうと思っています。


毎月楽曲をリリースするということ。

年初に決めた「世界へ行く」というテーマを実現するために行った、月1でのシングルリリースという活動方針。それ自体は、結果的にSpotify上で自分自身の存在感を向上させるためにものすごく意味をなしたと思うし、何より毎月全力で自分たち名義の音楽作品を作っていくという精神状態自体、とてつもなく心が鍛えられました。

さらにこれまで、CM音楽を主として(今も勿論すごくお世話になっているけれど)音楽を作ってきた僕が、この1年で少しずつ、いわゆる「アーティスト」と呼ばれる立場に身を置き換えていこうと心が動き始めました。

いわゆる職業作曲家、音楽プロデューサーというクライアントがいて成立するタイプの音楽家から、自分自身の名義でリリース活動を行い、ライブをし、ファンの方と直接ふれあう場を作っていく。全くのゼロベース、というスタートで始めるアーティスト活動。博報堂をやめてフリーになった時にも同じ思いを経験したけれど、この1年で感じたそれは、それ以上の変化です。

それでも1年ずっと、「自分の音楽とは?」に真剣に向き合ってみて見えてきたことがある。それは、僕は僕が思っていた以上に、自分の音楽を世界に届けたいという欲が強いということ。そして、それは自分のエゴと同じくらい、僕がこの世界にできる癒し、鼓舞であり、感情の揺れ動く瞬間を、全世界と共有する価値があると思えた、とも言い換えられます。


資本主義、消費経済下において、価値があるかどうかを決めるのは市場。でも、少なくとも僕は自分自身が発表した楽曲には価値があると思えます。たとえ今、トップ5にいない楽曲だとしても、僕の中ではどの曲も都度本気で作った楽曲だし、その価値は絶対に変わらない。

悪い曲とも、1つも思っていない。ただ今年は聴いてもらいたい人たちに届けるという点で、その目標をすべての楽曲で叶えられたとは、到底言えなかった。だから、これらの楽曲を正しく、自分が価値を感じている通りに届けたい。これは33歳へ持ち越した大きな目標です。


理由と課題に真摯に向き合う。

自分に、自分が掲げた様々な課題をクリアするポテンシャルはあると信じています。かなり大きな課題を設けている自覚もありますが、達成不可能な目標を掲げているとは1つも思わない。世界中に自分の音楽を届けることは、漠然としていますが僕の頭の中で描けるスケール通りに叶うはず。

具体的な戦術をしっかり練りこんで、きちんとやってみて、叶えられなかった数々の目標を、どう読み解くべきなのか。僕は以下のように思います。

①Spotifyに頼ろうとしすぎた。
②KOTARO SAITO名義一点突破で世の中を突き進む限界を知った。
③僕自身の人間力が世界に通用するに至っていなかった。


①Spotifyに頼ろうとしすぎた。

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以前も書いたことですが、僕のSpotifyでの流入源のほとんどは彼らが公式に編集しているプレイリストです。上のグラフは直近1カ月のものですが、ざっくり言うと僕の音楽を聴いてくださった約60万人のうちの83%は、僕ではなくプレイリストを聴いていたら僕の音楽に出会った方です。これをいかに、僕を検索してもらって曲を聴いてもらえる状況に変えていくか。がアーティストとして必要。

5%、つまり約3万人の方が、僕の楽曲を自身のプレイリストに入れて楽しんでくださった。そして1%、つまり約6千人の方が僕を検索してくれて、2%のOtherの方たちはおそらく、スマートスピーカーで僕の名前を呼んでくれた。合計、約4万8千人。冒頭でシェアしたリンクによると、その方々の中で、89人の方が僕の楽曲をこの1年で最も聴いてくださったそうです。叶うなら、その89人と会ってみたい。


想像もできないほどのリスナーの方に出会えたのは、紛れもなくSpotifyあってのこと。それは本当に感謝しています。しかし、これをいつまでも続けていたら、僕の楽曲の聴かれ方は彼らの方針に依存しすぎてしまう。現に、僕が最も力を入れて出した楽曲は、正直僕が納得いくほどの推され方はしなかった。感謝を前提に言いますが、めちゃくちゃ悔しいです。

でも、この悔しさを誰に当てるかといえば、間違いなく力不足な僕自身。アーティストとしての知名度やバリューのなさは勿論のこと、プロデューサーとしてのプロモーション企画力のなさ、営業力のなさが主たる原因です。

プレイリストに入れてもらえれば何もしなくても数十万回聴いてもらえる。これはある意味事実でしたが、毎月作ることばかりに必死になっていた僕は、その楽曲たちが世の中にどう広がるかの部分まで、充分に考え抜けませんでした。来年はやり方をアップデートし、より勢いを増していきます。


②KOTARO SAITO名義一点突破で世の中を突き進む限界を知った。

年初に掲げた目標は、昨年急に顕在化した「KOTARO SAITO」をハブにして、僕や僕の周りの才能あふれる音楽仲間を世の中に提案していく、というものでした。実際、かなりのコラボレーションが達成できたし、極めてセンスと腕のいい周りのミュージシャンたちが、僕のアクションをきっかけに有機的な動きを始めてくれたことも事実だと思います。

多種多様な仲間とともに作った作品は、組む相手と一人一人、音楽を作る前から丁寧にコミュニケーションを重ねた上でリリースにまで至ったもの。これ以外の楽曲も含め、僕にとっては今年のコラボレーションは非常に意味があるものでした。

名義の先頭に自分の名前がある違和感

ただ、これは狙ってそうしてきたことですが、どうしてもどの曲も僕が先頭に名義を置く作品ばかりでした。僕のクレジットを経由した方が聴いてもらえる機会が多いはず。その狙いでそうしてきましたが、楽曲に合った名義の並びというのは、意味なさそうに思いがちですがすごく重要なこと。

僕の名前が先頭に来てしまうことで、意図せず、「KOTARO SAITOと仲間たち」のような見え方をしてしまっていたのではないかと感じます。確かにそのように今年は活動してきたけれど、来年からはもっと多面的に物事を考えていこうと思っています。

KOTARO SAITOを発端にせず、チーム全体で展開する

今、僕の周りには経験豊富かつセンスのいいプロデューサーが集まっています。来年は、自身の活動内容の重きを、彼らプロデューサーのプロデュースに充てようと考えています。それが、彼らと共にプロデュースするアーティストたちにとっても最適解だと感じました。

楽曲制作力に非常に長けた彼らと、日々楽曲を共作しているので、みんなの楽曲は僕の楽曲でもあり逆も然り。ならば、全てを自分に集約するのではなく、楽曲の狙いに合わせて主役を変えた方がアプローチも増えるし、一人で無駄に悩んでいる時間が減り、その分広報活動・渉外活動にも時間を充てることができる。楽曲の数が必要なので、信頼でき、僕が別の仲間に作業を任せていいと思える仲間と共作することでそれらを実現したいと思います。

個人で戦おうとする意識を持っている時より、周りの大切な仲間がどうしたらうまくいくか、を考えている時の方が、僕は自分の頭の回転が速まる。ならば、自身の活動もチーム全体の方針に組み込んでしまえば、より強い力で、高速にみんなの目標を叶えていける。ディストリビューション面でも去年より発展的な方法を取れそうなので、果敢に攻めていこうと思います!


③僕自身の人間力が世界に通用するに至っていなかった。

今も決して至っているとは思いませんが、少なくとも去年の今頃より、何を言われても、何が起こっても動じにくくはなりました。それが今年の収穫でもあり、僕が今年今ひとつ、大きく世界に出て行けなかった大きな理由だともいます。一言で言ってしまえば、「アーティストはすごい」。


姿と名前を出して、誰かに何かを言える人になれているか?

肩書きも守るものもなく、人前に出ていくという恐怖も、面白さも、今年少しずつ体験する機会が増えました。というか、なるべく増やしました。取材も、いただいたお話は積極的にお引き受けしました。

僕の周りには半生以上を表舞台で生きる、本当に尊敬する人たちが沢山います。アーティスト、役者、タレント、そしてミュージシャン(演奏者)など、様々な、しかも一流の表現者に囲まれています。

彼らの立ち振る舞い、そしてパフォーマンス力を改めて尊敬し直すとともに、人前での立ち振る舞い、自分自身の演奏やトーク、お恥ずかしながら体型も含めたパフォーマンス力の低さを痛感することばかりの1年でした。


裏方とのプレッシャーの違い。

優劣の話では決してありませんが、誰かの傘の下で表現活動をするのと、自分自身が屋根にも柱にも壁にもなる、屋台そのもののような活動というのは驚くほどプレッシャーが違います。成功も失敗も、喜びも落胆もCM音楽を作っているときのクライアントからのフィードバックとは明らかに質が違う。より、直に聴いてくださった方からの声をいただくようになりました。

表現活動に邁進すればするほど、自分はもちろん他人の心の動きや模様に敏感になります。より直感も鋭くなり、いい情報も、悪い情報も押し寄せてくるようになりました。そこに来て、大変ありがたいことに、お誘いやお声をいただく機会も増えてくる。心温まる嬉しいお話と同じだけ、人の「闇」や負の感情を見つけてしまうことも増えました。

僕は性格的に一度見てしまったものを無視する、というのがすごく苦手です。知ってしまうと、関心ごととして興味を持ってしまう。それを止めることがなかなか難しいところがあります。だから、いっその事「直感的に見たくないものは見ない」という選択を、今年はしばしば決断しました。

世の中で絶対に目を背けてはいけないことは、本当に沢山ある。けれど、「それ深掘りしても、本質的に誰も幸せにならないじゃん。」って思うことからは、勇気を持って手を退きました。そこにエネルギーを使っている時間はない。前向きな力を、前向きな環境に全力で投じる為の取捨選択です。


明るい未来は、周りの人が照らしてくれる。

言い続けていると、人は自然と未来への道筋を照らしてくれるものです。自分にとっては何一つ成し遂げられらなかったと思いがちな今年の僕がたった一つ、誰に対しても誇れるものが、周りの仲間たちです。

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左から、渋谷音楽祭に一緒に出演した、MAYUMIさん(Vo)、友田絢さん(Vn)、内田朝陽(Gt, Syn)さん、内山肇(Gt)さん、宮内告典(Ds)さん、森田晃平さん(Bs)。彼らとの音楽制作、そしてライブパフォーマンスを通じて、僕は自分たちの音楽を演奏という形で広く世の中に届けなければいけない、と確信できました。公私ともに支えてくれる頼もしい仲間です。

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そんな朝陽さんから誘ってもらって参加した、THE XXXXXXプロジェクト。朝陽さんの周りの仲間たちは、音楽に対しても表現全体に対しても心の底から純粋で、平和な人たちばかり。

シックスの音楽は少しだけ凝り固まっていた僕の音楽性をすごく柔らかくしてくれました。孝之さん、そして音楽業界のスタープレイヤーである是永さんや潮崎さんたちとの出会いは、僕がこれから表現活動において大切にしたい沢山のことをアップデートしてくれました。正直、最初は皆さんにちょっとだけビビっていたけれど、今、本当に尊敬する大切な存在です。

様々な縁が一つになっていく瞬間。

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朝陽さんとの出会いはそもそも、僕の長年の音楽仲間であり、孝之さんのお姉さんであるSAYUKIさんの紹介があってのこと。僕が会社員の頃から、音楽への強い想いに向き合ってくれたSAYUKIさん。天から授かったとしか言いようのない、その歌声。共にライブに出演させてもらったり、博報堂時代に一緒にプレゼンさせてもらったり、僕の黎明期を支えてくれた大切な仲間。

そんな彼女から紹介してもらった朝陽さんだからこそ、仲良くなるのに全く時間を要さなかったのでしょう。僕の楽曲「Love Song」そして「Reason」で非常に大きなテーマで歌詞を書いてくれた彼女は、僕の音楽活動になくてはならない人。来年は彼女とのコラボ作品、増えていくことでしょう。ぜひ、ご期待ください。

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そして、元々僕の先輩だった肇さんと、朝陽さん、潮崎さんとで最近新ユニット?を結成しました。それぞれの頭文字をとって、「KAHH(カー)」というユニットです 笑 実はすでにKAHの3人名義でシングルも出ています。年明けにも早速、1曲リリースを予定しています。

来年はライブ活動を活性化させていくので、僕らの音楽もきっとすぐに聴いていただけると思います。それぞれの縁同士が、しっかりと必要な時間をかけて1つになっていく。打算・メリット・デメリット。そんな下心が一切ない、健全で前向きな人間関係の支柱。この1年で特に、僕の中で色々な縁がいい形で結ばれていった実感があります。これは決して成果とは呼びたくないですが、何ものにも替え難い僕たちみんなの財産です。


より表現に邁進する33歳へ。

11日当日に、早速1曲新曲をリリースします。33歳はとにかく積極的に表現の世界へと足を踏み入れていこうと思います。

周りはみんな表現のプロフェッショナル。自分は、裏方から突然表現の世界にやってきた「新人」。周りの足を引っ張らぬよう、それでいてプロデューサーとしてチームの指針を打ち出し、それぞれのプレイヤーが一番いい形で音楽を奏でてくれるよう、直感と戦略を研ぎ澄ませて活動します。

皆さん!僕たちの活動をぜひ応援よろしくお願いします!


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