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こういう表現をしたいんだけどどう? 人を巻き込んでいくのが企画。

やりたいことをやるためにやっていたのに、つづけるためにやるようになっていた。

松居大悟監督の話を頷きながら、「ああ、そうだったのか…」と、僕は思った。

「企画する人を世の中に増やしたい!」という思いから、2015年に立ち上げたBUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」。今年は、3期目。5月にはじまり、隔週で全12回。ちょうど先日、その最終回でした。

なかでも、特別な思いで臨む回があった。それは「映画の企画」と題し、お招きした松居大悟監督。今年、大きな話題を集めたドラマ「バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」のメイン監督。そして僕は今、東京国際映画祭にも選出された松居監督の最新作、映画「アイスと雨音」のプロデューサーを務めている。

実は、松居監督と僕は、大学のクラスメイト。友人と仕事をするのがいちばん緊張する。近しい関係だからこそ、改まった席で、モデレーターとして話を聞いていくというのは、楽しみでもあり、落ち着かない。緊張を打ち消すべく、知り尽くしてる友人のインタビュー記事を読み漁ったりもした。

松居監督が主宰する劇団「ゴジゲン」。2011年の舞台ののち、ゴジゲンは3年間、活動を休止する。冒頭の言葉を聞いて、僕はあることを思い出していた。その時の公演、席におかれているパンフレット。主宰のメッセージ。その言葉で切実で、どこか苦し気で。でも当時は、それは気合が入ってるからこそだろう、と思っていた。楽しさの奥にあったしんどさに気づけなかった。

3年後の2014年。ゴジゲンは「ごきげんさマイポレンド」で活動を再開する。その時の舞台は、空白の期間を懐かしみながら、舞台に懸ける愛と熱を、存分に発揮していたことをよく覚えている。心の底から嬉しそうな顔を見て、こっちまで嬉しくなった。

「企画でメシを食っていく」では、「企画とは―?」という質問をするようにしている。松居監督はこう言った。

こういう表現をしたいんだけどどう? そう言って人を巻き込んでいくのが企画。一緒にいる人と本気で面白がれたら、それは面白くなる。

その言葉を象徴するように、本日・19日からはじまる公演「くれなずめ」の稽古中、松居監督は、面白がっている様子をちょくちょく報告してくれた。

そして、わざわざメッセージまで送ってくれた。

企画という意味では、自分にとって劇団公演というのはすごく意味が強くて、ここでいつも大事な気持ちとか初期衝動を確かめて作品にしています。見ていただけたら、企画や、明日生きることへの活力になると思います!どんなにネットやスマホが普及しても、演劇という、目の前の作品を体感するというのは、絶対になくならないと思っています。

6年ぶりの物語。6年前とは違う、真剣で、面白がっている切実さ。あの時とは違う、どんな舞台を見れるのか、本当に楽しみだ。今日19日が舞台初日で、初日の空気が好きで、それが今から楽しみで、本人にメールするのもなんだか気恥ずかしくて、思わずnoteに書いてしまった。

登場人物は29~30歳の男たち。高校の帰宅部仲間で、久しぶりに東京の友達の結婚式で再会するという設定だそうだ。

東京は、今日から、29日(日)まで、詳細はこちら、予約はこちら

巻き込んだり、巻き込まれたり。やりたいことは、いつまでもつづけていたい。監督、楽しみしてます。

<後日談>

見に行ったんです。初日。緊張感のある初日に。もし見に行けた人は、席においてあるパンフレットを見てほしいです。そこに書いてある主宰・松居大悟の挨拶を。僕はそこに書かれている文章がとても良いと思いました。

社会人になって、最近会えていないあの人に、会いたくなる青春劇でした。

ありがとうございます◎ 新刊『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)手にとってもらえたら嬉しいです🙏🏻 https://www.amazon.co.jp/dp/4478117683/