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大手採用担当が就職人気ランキングの価値を考察しました

私は大手企業で採用担当をしています。
この時期になると就活シーズンで慌ただしくなり、今年のエントリー数がどの程度になるか不安で一杯になります。

エントリー数は、採用担当が追う数字としては今年一年の活動の成果が最も分かりやすい数値です。

その数字を大きく左右する要素として様々な企業が発表する「就職人気ランキング」があります。

私が就職活動をしたのは今から10年ほど前なのですが、その時も各採用ナビサイトが発表する「就職人気ランキング」を結構見ていた記憶があります。

何となく、「人気ランキングの上位に入ったら人生安泰で友達や親戚にも自慢が出来る」と考える方も多いのではないでしょうか?

同じ様に考える人も多いのか、この人気ランキングに入るとエントリー数が増えるという傾向があります。
※エントリー数が多いからランキングに入るのか、ランキングに入るからエントリー数が多いのか、ニワトリ卵的な話しですが

そんな訳で現在は採用担当としてこのランキングは注目していますが、もし今私が大学生に戻って就職活動を行う場合「就職人気ランキング」は絶対に見ない(気にしない)と思っています。

その様に考える理由と合わせて改めて「就職人気ランキング」の価値について考えてみました。


そもそも「就職人気ランキング」とは?

​就職人気ランキングとは、就職ナビサイトを運営する企業が年に数回発表しているランキングです。

有名なランキングだと

マイナビ
キャリタス
あさがくナビ
東洋経済
ダイヤモンド・ヒューマンリソース

この辺りかと思います。(実際もっとありますが追い切れず、、、)

最近のランキング結果はこんな感じになっていました。

ダウンロード (5)

※3媒体以上のランキングの載った企業は黄色く塗りました。
※伊藤忠商事が圧倒的ですね。


ランキングの集計方法にカラクリあり

表の中にも記載していますが、調査方法は
①自社の運営するメディアに登録した学生
②自社の主催する就活イベントに参加した学生
に対してアンケートを取る2パターンが一般的です。

この調査方法が私が就職人気ランキングを信用していない部分だったりもします、、、

と言いますのも

①自社の運営するメディアに登録した学生:メールで案内、Web上での回答
②自社の主催する就活イベントに参加した学生:会場で案内、回収

この様な形式で回答を回収しているので、どう考えても回答数として②が多くなるよなと思っています。(メールに反応する人は少数派ですよね)

②で回答する時に想起される企業ってそのイベントで触れ合った企業になりますよね。なので、その会社のイベントに出展した方が上位に掲載されやすくなるといった仕組みになります。

この仕組みをイベント運営側も参加企業も何となく分かった上で出店をしているので、ランキングの信頼性や意味になんらかの違和感を感じますよね。


「就職人気ランキング」のあり方、考え方

そんな訳で「就職人気ランキング」には一定のカラクリがあり、掲載されている企業が本当に人気がある企業か?という信頼性には多少の疑問があります。

ですが、そもそも人気企業に入社して何の意味があるのか?という点を考える必要があります。

就職活動って自分の長い社会人としてのキャリアの第一歩を考える大切なイベントですよね。

その目的は人それぞれですが、共通しているのは幸せな人生を過ごすことが出来る可能性の高い会社に入りたいという点ではないでしょうか?

私はその様に考えているため「就職人気ランキング」をその目的を達成するための指標になっているか?が存在価値を左右するかと思っています。


そんな観点で現在のランキングを分析してみました

現在のランキングは果たして「幸せな人生を過ごすことが出来る可能性の高い会社」を判断する指標になっているのか?を従業員満足度と比較してみました。

今回参考にさせて頂いたのは転職・就職口コミサイトのOpenworkです。

Openworkでは従業員から企業に対しての評価付けを5点満点で集計しています。(評価のポイントは以下8点です。)

・待遇の満足度
・社員の士気
・風通しの良さ
・社員の相互尊重
・20代成長環境
・人材の長期育成
・法令順守意識
・人事評価の適正感

また、これらの数値を総合評価した点数も確認することが出来ます。

現在の人気ランキングで複数掲載されている企業について、このOpenworkの点数と比較してみました。

FireShot Capture 497 - 調査 - Google スプレッドシート - docs.google.com

ここで私が注目した数字が業界平均値との差です。

Openworkではそれぞれの業界ごとの平均値を見ることもできます。
キャリアを選択する上で企業業界・職種に就くことも重要だと思うので、自分が希望している業界の中で従業員満足度が高い企業はどこか?を見ることが出来ると考えました。

この結果を見ると以下の様な傾向が見えてきました。

・総合商社はそもそもの業界平均値が「4.09」と高い
・メーカー系が業界平均値との差が大きい
・生保・損保は業界平均値との差が小さい

総合商社はこの中では比較的ハードワーク寄りであるものの、給与や仕事内容から従業員の満足度が高くなりがちな様です。
※個人的主観ですが会社に文句があったら口コミ書かないで転職するわ!という人が多い気もします。

メーカーは中小~大手まで数多くの企業が存在し、ランキングに掲載される様な超大手はトップ中のトップのため業界順位との差が大きくなる傾向があるかと思います。

一方で生保・損保は業界の平均値も低く、人気企業と言われる企業の点数も低めです。口コミの掲載者には一般職、総合職の方が多く混在している点は他の業界と異なるという前提はありつつ、どの企業も従業員満足度は低めとなっている様です。

結論

人気ランキングの企業に入っても人生安泰かは怪しいく、友達や親戚に自慢する程度にとどまりそうです。

大手病なんて言葉がありますが、人気ランキングを片っ端から受ける方もいますよね。

ですが上述した通り、企業によっては満足している人もいるしそうでない人もいます。中には業界平均と比較しても満足度が低くなるケースもあります。

なので私が今就活生に戻って周囲に人気ランキングを気にしているかつての自分や友人にOpenwork見た方が良いよ、とアドバイスしたいと思います。(と言っても10年前はまだOpenworkは無かったのですが。。。今の就活生が羨ましい)

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