父にだけ言えなかった
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父にだけ言えなかった

Kota Maeta | Unlace

鬱になったのはもう1年半以上前のこと。

今は元気に仕事ができているし、寝れないことや体がだるいと感じることはない。ただ僕はまだ鬱に悩まされていたことに最近気づいた。

鬱病の治療はもう終わっているし、すっかり元気にはなっている。ただ元気になった今でも鬱になったことによる弊害があった。それを父との青森旅行で気づいた。

父との青森旅行で言葉に詰まる

僕は社会人になって広島から上京していることもあり、旅行中は僕と父があまり話をしなかった「社会人になってからの期間」について話すことに時間を使った。

僕の前職であるPairsを運営するエウレカには広島から上京するかたちで入社をした。

その時に父からは「反社みたいな会社に行くな」と反対されていた。

エウレカに入社した時はマッチングアプリはまだ普及してなく、「マッチングアプリ=出会い系」みたいな社会的スティグマが強かった。いまとなっては「良い会社にいたね」と言ってもらえる。それくらい時間経過によって父から言われる言葉は変わった。

そして、僕がいま熱を注いでいるメンタルケアサービスUnlaceのことを話すこともあった。

ただ父はスタートアップというものを知らない。VCが何なのかもわかっていないし、会社を経営しているだけで相当儲かっていると思うような感じだった。Unlaceはまだシードラウンドで投資を受けたばかりで、良いこともあれば、同じ分だけ悪いこともあるような日々を過ごすような状態だ。父のイメージとは乖離があるという理解をすることは容易かった。

そんな父にどういう事業を運営しているのかを話し、そこに父が質問をして僕が答える。そういうやりとりを繰り返した。そして父からのある質問に言葉を詰まらされた。

「なんで康太がこの事業をやろうと思ったの?」

これは起業してから何度も質問されたもので、今年は資金調達もしたこともあり、1年間で最もされたものの1つだった。だから僕にとって答えることが難しい質問ではない。
ただ鬱になったことを父に伝えることで、心配をかけてしまうことが容易に想像できた。その思考が言葉を詰まらせ、僕は「精神疾患の患者が増えているから」とピッチコンテストに出たら即落選になるくらいの薄い内容を父に伝えた。

事実として精神疾患の患者数は増えている。ただ僕がUnlaceを始めた理由は僕が鬱になったからだ。僕が事業に熱を込められるのは自分の経験があるからだ。

ほんとは熱を伝えたかったが、鬱になったことを隠すためにそれができなかった。大袈裟に言えば、鬱が原因でいまの自分を表現出来なくなっていた。そんなことに気がついた。

ちゃんと断っておきたいが、「鬱になったことを父に知ってほしいけど言えなかった」のではない。
今の自分を語るために「鬱になったことがあることを語る必要があったのに、言えなかった」のだ。

ここまで鬱というキーワードについて書いてきたが、自分が過去に経験した辛い時期についても同じように話せなかったことがある。「心配させるから」「自分の評価が下がるから」「相手のリアクションが怖いから」といった理由でネガティブな感情には蓋がされる。こんな経験が僕にはたくさんある。

「鬱になるのは恥ずかしいことだから、言えない。」

「楽しかったことは言いたい。けど悩んでいたことは自己評価を下げるから、言えない。」

「弱い人だから悩むという社会の空気があるから、言えない。」

「SNSはキラキラしていて、みんな幸せそうだから、キラキラしてないことは言えない。」

そう思うたびに失っているのは自分のことを表現できる幅で、表現できる幅が狭まることで失っているのは自分らしさだと思う。

ただこれは自分自身が変われば良いと言う話ではないと思ってる。「ネガティブな感情は表現すべきじゃない」という社会の空気がネガティブな感情に蓋をさせていると考えている。これをUnlaceを通して変えていこうと思っている。

またUnlaceとして鬱になったことを誰もが発信するという世界観を目指しているわけではない。鬱になったことを前向きに捉えることが難しい人もいるので、僕らは、発信するかしないかの選択ができる社会を目指している。

最後にすこしだけそれがどういうことかを書かせてください。

感情にも黄金比があり、ネガティブな感情も幸福のために必要

感情の黄金比

人間が幸福を感じるのは、ポジティブな感情とネガティブな感情の比が2.9対1のバランスという心理学の有名な研究結果*があり、幸福のためにネガティブな感情も必要なことが明らかになっています。

*引用:Positive Affect and the Complex Dynamics of Human Flourishing

ただ現在は自身のメンタルヘルスや感情を測る術はなく、自分の心理状態や感情に気づくことは容易ではありません。そのため感情ダッシュボードという機能を本日リリースしました。

感情ダッシュボードのUI

この機能のコンセプトとして「Show , don't tell」というものを設定した。

空気感により表現しにくい「鬱になった」「不安な状態があった」「悩んでいた」というものを、画面のスクリーンショットを見せれば表現できるというものだ。
この機能を通して「鬱の人のためのメンタルヘルスケア」ではなく、「心の整理が必要な人のためのメンタルヘルスケア」という認知になることを僕らは目指している。

ただメンタルヘルスケアも感情を見つめることも一般的ではない。だから身近に感じてもらうきっかけが必要だと思い、Twitter連携だけで2021年の自分の感情が分かるサービスもリリースしました。(すでに300名以上が使ってくれました)

あなたの感情

会員登録もいらないので使ってみてもらえると嬉しいです。(下は僕の結果)

Unlaceは”感情を可視化する”手段として感情ダッシュボードを提供することで、無意識に蓋をしている感情も含めた自分らしさを理解し、自由に発信・表現することをサポートしていきます。

盛大なポエムを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(この文章を感情分析にかけたところ比率はポジティブ0.7対ネガティブ1だった。僕はまだまだポジティブが足りないみたいです。)


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Kota Maeta | Unlace
Unlace, Inc. CEO | CtoCのオンラインカウンセリングUnlace(アンレース)の運営をしてます http://www.unlace.net / 起業←Pairsエンゲージの事業責任者(エウレカ)←Pairs BizDev責任者(エウレカ)