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元Pairs運営の僕がカウンセリングサービスを始めるに至った理由

導入からすこし重いことを伝えると、僕は心の病気にかかって、日常生活が普通に送ることができなくなっていました。

去年末にPairsを運営するエウレカを退職し、今年の1月に起業。その後しばらくしてから、寝れなくなり、発熱、頭痛、気分の落ち込み、食欲不振などの症状に襲われました。病院を受診すると、抑うつ型の自律神経失調症と診断され、かなり精神的にきつい数ヶ月を過ごしました。

正直、自分が心の病気になるとは思ってもなかったです。僕のことをよく知っている人はよくわかると思うのですが、僕は「お調子」「自信家」「声がでかい」「明るい」みたいなタイプで、自分自身でもこういうことがは無縁だと思っていました。

いまはもう元気になっていて、心も安定しています。辛い時期に色々気づいたことがあり、またそこから新しいチャレンジを決めたので、その報告として文章を書いていこうと思います。

長い文章になると思うので、興味あるところだけでも読んでもらえると、すごく嬉しいです。

オンラインカウンセリングサービスを始めます

新しいチャレンジとして、オンラインカウンセリングサービスの立ち上げをしていて、本日に事前登録を開始しました。ありがたいことにすでに多くの人にご登録いただいていて、すごく身の引き締まる思いがあります。

Unlace(アンレース)というのは、靴紐を解く・ゆるめるという意味の単語に由来していて、気持ちを解く・ゆるめるような場であり、靴を脱いで入る家のような場でありたいという意味を込めています。

メンタルケアの需要はすごく大きくなっていると思っていて、それに対し質の高いカウンセリングを提供できるように急ピッチで準備をしています。(12月上旬にサービス提供予定)

まだ事前登録開始という段階でサービス提供には至ってないのですが、興味のある人は是非登録をしてみてほしいです。

起業をして相談できる人が身近にいなくなった

なぜオンラインカウンセリングを立ち上げようと思ったかというと、先に伝えた通り自分自身が心の病気になったことがその理由となります。

その理由をすこし詳しく説明したく、僕が経験したことを書きます。また伝える上で僕がどういう人かがわかった方がイメージがつきやすいと思い簡単に自己紹介をすると、僕はいわゆる起業家という職業です。

2019年末までPairsを運営するエウレカにいて、Pairsの事業開発の責任者や、新規事業であるPairs engageの事業責任者を経験。そして2020年1月にUnlace, Incを創業し、事業の立ち上げとその事業立ち上げに必要な開発費用を稼ぐためのプロダクトマネジメントやマーケティングの支援の仕事をしています。(記事執筆の当時は業務委託の仕事をしていましたが、その後資金調達をし、自社事業のみ展開)

僕の不調の原因はすごくシンプルで、起業をした後の4月にリリースした新規事業がうまくいかなかったということにあります。新規事業が改善する兆しもない中で、1人で開発費用を稼ぐためにクライアントワークに謀殺される日々を過ごしていたら体調を崩しました。

ただエウレカ時代にも仕事がうまくいかないということはよくありました。戦略をうまく描けなかったことも、炎上しているプロジェクトを担当して、寝る間を惜しんで働いていたこともあったし、自分のスキルの不足を実感して落ち込むなんてことはしょっちゅうでした。

この時と体調を崩した時の差は振り返ると「相談できる人が身近にいたこと」ということだけだったと思います。エウレカ時代は上司である経営陣の石橋さんと中村さんを始め、いろんな先輩に相談に乗っていただいてました。

こういった人の存在が僕の心のセーフティネットになっていたのですが、それがなくなり、1人で仕事をしていたら、どうもおかしくなってしまった訳です。

自信家が自信と元気をなくし、4kg痩せる

まず僕が最初に自覚をしたのは寝れなくなったということでした。どれだけ疲れていても寝ることができませんでした。起業家としてすごく恥ずかしいのですが、僕は寝れなくて深夜に何時間もYoutubeとTiktokとLINE漫画ばかり見ていました。(Tiktokはいつまでも見てられた。。。)

そしてある時から急に熱がでるようになり、1週間38度を続く熱が続きました。毎日コロナのニュースで騒がれる時期だったので、PCR検査を受けたりもしたものの、検査の結果は陰性。

最終的には、朝起きたときに喉の詰まった感覚があったり、PCをみると頭痛がしたり、体がものすごくだるく、仕事のやる気が全くなくなり、人と会うのが億劫になり、鏡を見れば頬がげっそりしていて、1ヶ月に4kg痩せているような状態に。

僕は前職のエウレカでもそれなりに仕事を頑張ってきた自覚もあり、割と仕事に自信もあったタイプで、前述した通り声のでかいお調子ものだったのですが、気がつけば、自信も元気もないガリガリな人間になってました。

ここまでなってやっとは僕は精神科を受診しました。

「心の病気になる人 = 弱い人」というスティグマ

精神科を受診し、抑うつ型の自律神経失調症と診断され、睡眠剤や安定剤を処方してもらうことになったのですが、正直精神科や心療内科を受診することにはかなり抵抗があり、受診を躊躇していました。

自分の自覚した症状をGoogleで検索すると、心の病気であることはなんとなくわかってはいました。ただ病院に行くという選択肢を検討してから、実際に行動に移すまでには1ヶ月はかかったと思います。

僕は心の病気に対して、「弱い人がなる病気」という印象を持ってました。

だから病気であることも自覚したくなかったし、自分の状態をばれたくなくて誰に相談したりもしませんでした。病院に行くことやそこで薬をもらうことにはすごく抵抗がありました。

この心の病気の治療に対する敷居の高さというのは、僕だけの話ではなく、日常生活に支障をきたすほどの精神症状を経験した方のうち、医療機関に受診した方は、3割しかいないことが明らかになっています。*

*川上憲人ら 『精神疾患の有病率等に関する大規模疫学調査研究
(世界精神保健日本調査セカンド)』2016

この調査からも心の病気というものにスティグマがあると言えるのではないでしょうか。スティグマとは「負の表象・烙印」という意味で、心の病気になった人は弱い人というレッテルを貼られてるというのが、この領域のスティグマだと考えています。

スティグマを負った人に対して、周囲の人は偏見を持った思考や態度で接するため、スティグマを負った人は、差別や偏見を感じる。実際に周りがそういった態度ではなかったとしても、本人がそう感じることもあります。

僕はこのスティグマをなくしたいと思っています。

ただこのスティグマは非常に厄介です。僕自身はエウレカにいたのでこの厄介さをよく知っています。

Pairsには「出会い系」というスティグマがありました。いまはマッチングサービスとして市民権を得ていると思うのですが、数年前まで「出会い系の危ないサービス」と思っている人は少なくなくなかったと思います。ただ僕はPairsがマッチングサービスのイメージを変えてきたように、心の病気に対してもイメージを変えていきたいと強く思っています。そして変えられると本気で思っています。

気軽に相談ができるサービスを作る

そのためにまず「気軽に相談ができる」ようにします。あまりこの場で戦略性を語っても仕方ないと思うので、すごく簡単に僕が実現することを書きますね。

心の病気の解決には「自己開示して、思考の歪みを直す」ことが必要だと考えています。なので課題に対しては、カウンセリングというソリューションでアプローチをします。

すごくざっくり書くが僕自身は「完璧な自分を演じる必要があるので、弱みなんかは誰にも見せられない。感情的な表現はできない」という思考の歪みがありました。これが僕が心の病気になった原因です。(コンプレックスによる部分が大きかった)

なのでTiktokを見ても、占いをしても、お酒を大量に飲んでも、サウナにいっても僕の課題は解決しなかったのです。

また僕はすぐに誰かに相談できることができることがすごく大事だと考えています。だから「ネガティブなことがあったら、72時間以内に誰かに相談して客観性を補完した方が良い」というのが持論です。

人は感情と論理で動いているが、悩むようなネガティブなことがあると、論理力が低下し、感情的になってしまう。そのため客観性がなく、事実よりもネガティブなことと認識して記憶に定着させてしまいます。(そもそも人の記憶はそもそも曖昧で誤りがある。)

そして記憶が定着するのにかかるのが72時間となるため、それまでに他人に相談し、事実に対する客観的な解釈を得られるようにすることが不安を大きくしないことに繋がると考えています。(極端なこといっているので細かい部分のツッコミはあるかもです)

だから気軽に相談をできるようなサービスを作っています。気軽に相談できるようにすることが、不安について考えて、不安が大きくなるということをなくすと考えているからです。

そしてこの気軽さを担保していくために、どういうサービスを作っていくかというのはサービスページを見てもらいたいです。

気軽さという部分に対して、コミュニケーションのハードルを下げるためのシステム的な仕組みはもちろんのこと、どういうカウンセリングであるべきかについても、精神科医である尾林先生と一緒にこだわって作ってます。

ちなみに尾林先生は「開成高校→東大→リクルート」というキャリアから、課題意識を持ち、医学部に進学して精神科医になっている方です。ビジネス経験があるという点ではかなり珍しいキャリアの先生だと思います。また僕がいま書いているnoteを運営する会社の産業医でもあります。 

リクルートを辞めて30歳で医学部へ。僕が「産業医」を目指した理由
https://forbesjapan.com/articles/detail/37181

感情の自由を選択できる社会を作る

僕がUnlaceを通して目指したいのは「感情の自由を選択できる社会を作る」というものです。

感情の自由を選択できるというのは、悩みから開放されて、不安という感情以外を選択できることもですが、人の目とか気にせずに、他人から見られた自分らしさとかではなく、自分を向いて自分らしくいれるという状態のことだと考えています。ここでいう自分らしさは「人の目を気にしてやっていること」=「人の目がなくてもやれること」である状態です。

これを実現するために、今日からUnlaceの事前登録をスタートします。

また、僕の思いに共感していただけた方とも是非お会いしたいので、ぜひお気軽にご連絡ください。

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最後まで拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

Unlace, Inc. CEO 前田康太

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