見出し画像

大きな変化の背後には何があるのか? 1225

ここ数年で株価が2倍以上になっている某上場企業A社があるのですが、先日、その企業を経て独立した

・A社の株価を2倍にしたと語る、研修会社の社長Bさん
・A社の株価を2倍にしたと語る、人事制度の専門家Cさん

の話を聞きました。

ある企業が急成長した時、雨後のたけのこ的に『あの急成長を生み出したのは私だ!』と語るマーケティング部長、人事責任者、ロジスティックス担当役員、経営企画室長が生まれます。

当然、大規模な成功がたった一つの変数で説明できるわけがないので、実態は様々な変数の相互作用であり、ある意味、全員がその大規模な成功に貢献しているわけです。

名著『ストーリーとしての競争戦略』で紹介される戦略ストーリーの様々な要素の連関の図はわかりやすく、そのことを示しています。

画像1

上記はサウスウエスト航空が競争優位を持っている理由ですが、

・「小規模空港間の直行便」で運行すると意思決定した経営者
・フライトごとのターンチームによるオペレーションを構築したオペレーション担当役員
・チーム単位の評価・報酬システムを設計した人事部長
etc..

これら全員が、サウスウエスト航空の成功に貢献しています。

つまり、冒頭の

・A社の株価を2倍にしたと語る、研修会社の社長Bさん
・A社の株価を2倍にしたと語る、人事制度の専門家Cさん

は両方とも嘘はついておらず、両者がA社の株価2倍に貢献しているわけです。

別の話で、1960年代にホンダが米国のオートバイ市場に進出した時、幹部が『とりあえず米国でやってみよう以外に特に戦略はなかった』と語っていたことが有名ですが、ホンダが最初にリリースした大型バイクは全く売れず、事後的に発売した小型バイクで大成功を掴みました。

この成功要因を

・海外進出を意思決定した経営幹部の直感
・偶発性の力
・実証主義の重要性
・戦略よりも組織力
・諦めなければ成功する

のどれをとっても説明はできますが、実際はどれか一つの要因ではなく、上記すべての要因の積み重ねと捉える方が妥当でしょう。

このように大きな成功や出来事の背景には、たった一つの要因ではなく、様々な要因が複合的に存在しています。逆に言うと、その様々な要因が一定数を超えたときに、大きな変化が引き起こされます。

例えば、当社では、来年、再来年とBtoBのコンテンツマーケティングでもYou Tubeなどの映像コンテンツやVoicy、Spotifyなどの音声コンテンツが花開くと思っていますが、映像や音声のコンテンツが花開くだろうと予測しているのは

・AirPods Proが世界的にバカ売れしている
・オリラジあっちゃん、嵐などがYou Tubeに登場し、マスにリーチできる人たちがコンテンツを配信し始めた
・Spotifyが総額400億円以上を投資し、ポッドキャストスタートアップを3社買収した
・スマホやInstagramが普及し、写真や映像に撮られることに日本全体が慣れ始めている
・メンタリストDaigoがスマホ一台でYou Tubeを配信し、「スマホ一台の映像のクオリティ」に視聴者が慣れ始めている
※従来のように高価な機材で、プロの手で編集された映像でなくても問題なくなってきている
・スマホの保有台数の伸びが鈍化。視聴時間も限界がある中で、テキストコンテンツの供給過多になっている
・スマホへの常時接続、メールやチャット、電話での常時通知で人の意思リソースが消耗されている。結果として、テキストコンテンツのように集中力を要するものに耐えられない人が増えている

などなど、映像・音声のコンテンツの隆盛を後押しする様々な要因が生まれているので、どう考えても大きな変化(PC→スマホにシフトしたレベルの、スマホ→AirPodsへのデバイスシフト)が起きるだろうと考えているからです。

大きな成功や変化はたった一つの要因ではなく、様々な要因の積み重ねや連関で引き起こされるので、時代の波を読むときは、変化を引き起こす要因の数がどれぐらい積み上がっているか?を考えると良いかもしれない、と思った話でした。

それはそうと『ストーリーとしての競争戦略』は何回も読み返していますが、現代に出版されたビジネス書の中で間違いなくマスターピースといえる作品ですね。これぐらい骨太な本を書いてみたいです。

▼コンサルタント採用中のお知らせ
BtoB営業・マーケティングのオンライン化・デジタル化を支援している才流(サイル)では、絶賛コンサルタントを募集中です。ぜひ奮ってご応募ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?